漢字(かんじ)は中国に由来し、日本に仏教が広まった5世紀ごろに伝来しました。日本語におけるおよそ70%もの語彙が中国語に由来するといわれています。個々の文字の意味はかなり一貫していますが、熟語になると別の意味を持つことが多いです。

漢字は後続のひらがなによって活用し、助詞によって格が与えられます。ほとんどの語が漢字で書かれますが、漢字で書けない語やカタカナで書く外来語もあります。同音異義語がとても多いので漢字を使うことが非常に望ましく、また漢字を学ぶことが単語の記憶の手助けになるでしょう。

漢字をうまく「書く」ことは、漢字を上手に「読む」ことよりも、顕著に難しいです。というのも、文字を単に「認識」するのではなく、「想起」する必要があるからです。さらに、日本語入力システムによってコンピュータ上で読み方から漢字を書くことができるようになったので(漢字を認識するだけでよく、漢字を書く必要がありません)、漢字を書く技能の実用性や必要性はかつてより低くなりましたが、それでも日本語をマスターするときの基礎事項です。

勉強法 編集

 
Wikipedia
ウィキペディア漢字教育の記事があります。

漢字が学習における困難な障壁となる可能性があります。漢字が音に変換される概念の視覚的表現であるという性質あるため、特に多様な漢字勉強法があります。

根本的に、最終目標は「日本語」を学ぶことであり、「漢字」自体を学ぶことではありません。そこから2つの事柄が示唆されます。1つ目に、多くの語が熟語であることから、およそ2,000字を不規則に個々に学ぶだけでは不十分で、字の組み合わせも学ばなければなりません。さらに、他の言語と同様に、語彙だけではなくその語を使う文脈も学ばなければなりません。それは語の暗記に役立つだけではなく、必然的にニュアンスも理解できます。最後に述べた方がいいこととして、他の言語と同様に読み書きを学ばずに日本語が話せるようにはなります。しかし、文章読解を学ぶ際はすぐに始め、語句の学習と同時に漢字を学んだ方がいいでしょう。

全体として、何かの技能をマスターすることは未完成であり、不完全であり、非永久的です(侘び・寂びもご覧ください)―完璧も価値のある目標ですが、期待も要求もすべきではありません―誤りは予期すべきであり、マスターはさらなる水準にあることを受け入れてください:漢字検定1級の合格者は1年に300人もいません。

勉強法に関係なく、漢字学習の基本です:

早く始める
漢字学習には長期間かかります。早く始めれば上達を制限する要因にはなりませんが、遅いと追いつくのに多大な労力が必要で意気消沈するでしょう。
常用漢字2136字や人名用漢字を覚えるだけではありません―同じ漢字でも文脈によって読み方や使い方が違います。漢字はまさしく大量の情報量を持ち、長期間かけて学んでいくのが一番です。
定期的に復習する
漢字は忘れやすく、微妙な細部や差異は復習しないと記憶からなくなっていきます。定期的な復習、特にAnkiMnemosyneなどデジタルのフラッシュカードプログラムを用いた復習、がマスターに不可欠です。
関連づける
別々に文字を覚えるのではなく、関連づけることで記憶を手助けします。たとえば、熟語で覚えたり、見た目が似ている字や字源的に関連のある字と一緒に覚えたりすることで、簡単には忘れにくくなります。
細部
1画足りなかったり、滅多に使わない字を忘れたりするなど、細かな過ちを犯しやすいです。高水準でのマスターには下記のとおり細部への注意が必要です。

漢字は非常に多く、個々の文字はその頻度が低いので(常用漢字は2136字で大半は仮名とは違いどの文例でも使用も記憶強化もされません)、単にその字形と発音を覚えるのは(ラテンアルファベットの場合は26文字、かな文字の場合はその2倍の46字)、実用的でも効率的でもありません。その代わり、より計画的な記憶法を使います。

漢字には3つの側面があります:

字形
漢字の形と筆画
読み
発音、概して複数ある
意味
個々の字の意味と熟語の意味

漢字の学び方はいくつもあります。1つだけ選ぶよりも、個々の効果を試しながら組み合わせてください。

丸暗記 編集

漢字学習におけるもっとも単純な方法は暗記です。およそ2000字も基本漢字の一部を覚え続ける人も少ないですが―その熟語は言うまでもありません―暗記は下記のような暗記術を実践するにはいい方法です。書き取りによって文字の細部の記憶を強化し、運動学習英語版Wikipedia英語版Wikipediaを構築し(体が覚え)、手書き能力を向上させます。したがって、学習体系にかかわらず、漢字を書く練習は学習において価値のある一面です。

暗記用フラッシュカードの片面に漢字を書き、もう一方に読みと意味を書いて反復練習してください。また、カードセットをもう1つ用意し、片面に意味を書き、その裏に漢字と読みを書いて反復練習してください。漢字の反復練習できるプログラムやウェブサイトもいくつかあります。一定期間ごとに認識練習をするソフトウェアの中で著名なものとして、例ええばAnkiやMnemosyneなどがあります。

ほとんど使わない漢字は簡単に忘れてしまうので、定期的に復習するのが大切です。

手書き 編集

どの文字にも、一般に受け入れられている筆順というものがあります。はじめは余分な負担に思われるかもしれませんが、順序は非常に規則的で、他の人の手書き文字を読む能力をたいそう向上させます。自分の書いた字が読みやすくなるのは言うまでもありません。

ほとんどの手書き文字と同様に、日本の書道も長い歴史を持ち、こんにちまで非常に尊敬されています。漢字はラテン文字よりいくぶん複雑なので、手書きの質と筆画における順序はかなり重要です。事実、広く受け入れられている筆記体系でなければ、筆文字や走り書きは確かに読みにくいです。

もちろん、手書き練習の方法はたった1つです:書くことしかありません。ちょうどいい大きさのいいノートを用意しましょう。あとはひたすら練習、練習、練習です。

文脈 編集

アメリカ・カナダ大学連合日本研究センターの『文脈における漢字』では、漢字を別々に覚えるのよりも、「漢字に基づく語彙」を、特にフレーズやイディオムをとして、学んでいくのが重要であると強調しています。このアプローチ法では、その字を使う重要語も学びます。さらに、熟語と同時にそれに使われる字を覚えます―たとえば、日本という語を学ぶときには、「日」と「本」も勉強します。

構成要素の認識 編集

漢字学習を進めるうちに、パターンが現れるのに気づき始めるでしょう;多くの文字に共通する構成部分があるのです。これらを認識することで、漢字を単なる筆画ではなく、形の組み合わせと見ることができるようになり、忘れにくくなります。一般的な方法として、文字を視覚的要素へ体系的に分解します。要素の一部はそれ自体で文字として使われないこともあります。次に、これらの要素を記憶術へと体系的に配置し、これらを組み合わせて全体図や物語をつくります。


作業の原則は以下のとおりです:

分析的
複雑な文字を単純な構成要素に分解します
例:「認」は15画ですが、「言」(いう)、「刃」(やいば)、「心」(こころ)の組み合わせだと考えると少しは覚えやすくなります。
同じ構成要素を持つ字と関連付ける
「売」(うる)に「言」をつけると「読」(よむ)、「糸」をつけると「続」(つづく)になります。これによって同じ視覚的要素や類似した構成要素をもつ文字との関連をさらに構築することができます。
物語
文字と物語を結び付けるのは、その構成要素を覚えるのに強力な方法です。
例:「暖」(あたたかい)は、「日」、「爫」、「一」、「友」に分解できます。そこで、「お日さまは、一人の友に不注意(爫)だ」と覚えます。

構成部品を調べるには、"Kanji ABC"のオンライン版と書籍です。James Heisigが書いたRemembering the Kanjiシリーズもこの勉強法を用いた教材です。他にも、一般的な漢字とそれを形成する構成要素のみを収めたSmart Kanji Bookや記憶術用物語の代わりに視覚的アプローチを用いたKanji Pictographixなどが有用です。さらに、GenkiのKanji Look and Learnもあります。これらは文字だけに焦点を当てているので不十分かもしれませんが、字形、特に細部を覚えるのに役立つでしょう。

構成要素と読み 編集

漢字の大半は音的構成要素と意味的構成要素からなります:片方の構成要素(一般的に根本的な方)が意味、もう一方が読み(発音)を表します。なお、これは中国語として用いられる文字の構成です。漢字にはふつう中国語由来のものなど複数の読みがあり、文字とその読みを覚えるときの手助けになります。

これを理解し、文字を読みの部分と意味の部分とに分け、そのいずれかと共通の部分をもつ字と関連付けることで、字形、意味、音読(おんよ)み(中国語由来の読み方)を覚える手助けとなります。

たとえば、「小」の音読みは「ショウ」ですが、少、炒、抄、省、称、鈔、渉も同じ読みを持ちます。繰り返しになりますが、これは音読みに過ぎず、それぞれの字に別の読み方もあります。

細部への注意 編集

漢字を読み書きするときに小さな誤りを犯しやすいです。高水準でのマスターには細部への注意と継続的な改善が必要です。そのような水準でなくても、細部への注意によって過剰学習が起こり、理解が深まります;筆順を気にすれば、完全に文字を忘れない可能性が高くなるでしょう。

小さな間違いは手書き(例:誤った筆画、接しない箇所での接触、誤った筆順)や発音(例:誤った濁音、特に連濁や音便)で起こる可能性があります。上級者になるにはこういった誤りを「意識」し、「発見」する必要があります。漢字を忘れたことを悟るのは十分簡単なことです。他の誤りは気づかないかもしれず、または不十分さを反映して「自信のなさ」を感じるかもしれません。誤りを発見するには、定期的に復習して細部も正しく覚えていることを確かめてください。

特に、ぼんやりとした誤りに有用なのは関連する文字(字源的、また紛らわしい漢字(英語版ウィクショナリー)にあるように字形的に関連のあるもの)やいろいろな単語の文脈と一緒に勉強することです:これによって別々に覚えるのではなく「対比」することができます。

読み 編集

文脈に応じて、漢字1字に対して複数の読み(発音)があります。読みは2種類に分けられます―中国由来の音読(おんよ)みと日本が由来の訓読(くんよ)みです。名乗(なの)り読みという、人名や地名に使われる読み方もあります。

1字の読み方が音読み1つだけではないことが多いです。これは、漢字が中国の一時代だけに一地域だけから伝来したわけではないからです。

音読み 編集

音読(おんよ)みは中国由来の読み方で、熟語や数詞などに使われます。音読みはカタカナで書かれることが多いです。

たとえば、一(イチ)、二(ニ)、三(サン)、四(シ)が音読みです。

訓読み 編集

(くん)読みは日本の読み方で、1字だけで単語を表す場合も、熟語に使われる場合もあります。漢字辞典では訓読みはひらがなで書かれるのが一般的です。

たとえば、月(つき)や火(ひ)が訓読みです。

名乗り読み 編集

名乗(なの)り読みは人名や地名に使う読み方です。

たとえば、「康」を「やす」と読んだり(徳川家"康")、「信」を「のぶ」と読んだり(織田信"長")するのが名乗り読みです。

同の字点 編集

(どう)の字点(々)は漢字が繰り返されることを表します。たとえば、「我我」の代わりに「我々」、「人人」の代わりに「人々」のように書きます。

JLPT 編集

 
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ウィキペディア日本語能力試験の記事があります。

日本語(にほんご)能力(のうりょく)試験(しけん) (JLPT) は非日本語母語話者の言語運用能力を評価し証明する際の標準的なテストです。JLPTには5段階あり、入門者向けのN5から一番難しいN1まであります。

各級ごとに出題される漢字が決まっています。

JLPT N5 編集

N5ではおよそ100字が必要です。

以下は現在の進捗状況です:
  •  : まだリストに載っていない字があります
  •  : 全漢字ありますが、読みが不足しています。
  •  : 音読みも訓読みもありますが、語例が不足しています。
  •  : 語例はそろっていますが、テンプレートまたは筆順が不足しています。
  •  : 適切なテンプレート内に全漢字の全情報が載っています。