有機化学>アルキン
アルキンの定義と命名法
編集アルキンの定義
編集炭素間に三重結合を1つだけ含む脂肪族炭化水素をアルキン (alkyne) という。 アルキンは一般式CnH2n-2で表される。 定義より、炭素原子が1つのアルキンは存在しない。
命名法
編集アルカンの語尾aneをyneに変える。 エチン (ethyn)、プロピン (propyne)、ブチン (buthyne)、ペンチン (pentyne)・・・
但し、エチン、プロピンは正式な名称(国際名)より、慣用名アセチレン、メチルアセチレンの方が良く使われる。
アルキンの性質
編集置換反応
編集C≡Cに直接結合したH原子は弱いイオン性を示すので、アンモニア性硝酸銀水溶液([Ag(NH3)2]+を含んだ溶液)にアセチレンを通じると銀アセチリド(白色沈殿)を生じる。アセチリドは不安定で、特に乾燥したものは爆発性がある。末端三重結合の検出に用いられる。
H-C≡C-H + 2Ag+ → Ag-C≡C-Ag + 2H+
H-C≡C-CH2-CH3 + Ag+ → Ag-C≡C-CH2-CH3
付加反応
編集三重結合のうち1本はσ結合、残りの2本はπ結合である。よって、アルキンは付加反応する。
- H-C≡C-H + 2H2 → CH2=CH2 + H2 → CH3-CH3
- H-C≡C-H + 2Cl2 → (CHCl=CHCl + Cl2) → CHCl2-CHCl2
- 水素付加はアルキンからアルケン、アルケンからアルカンへと連続的に変化するが、ハロゲン付加はアルキンから一気にアルカンになる。
- H-C≡C-H + 2Br2 → CHBr2-CHBr2
- H-C≡C-H + H2O → (CH2=CHOH) → CH3-CHO
- ビニルアルコールCH2=CHOHは不安定なので、ヒドロキシル基のH原子が二重結合の反対側に飛んで互変異性を起こし、アセトアルデヒドとなる。
付加重合
編集アセチレン分子は少数で付加重合する。
- 2 H-C≡C-H → CH2=CH-C≡CH
- 片方の原子の三重結合が1本開き、もう片方の原子はCH間の結合が切れてそれぞれ結合する。
アセチレン三分子が重合するとベンゼンを生じる。
- 3 H-C≡C-H → C6H6
- ベンゼンC6H6は芳香族化合物の最小単位である。
CH=CH / \ CH CH \\ // CH-CH ベンゼンC6H6