朝鮮語/字母とその発音

朝鮮語は、ハングルや朝鮮文字と呼ばれる特有の文字によって記します。主に韓国と(北)朝鮮で使われている朝鮮語ですが、韓国では漢字（繁体字に近いもの）が混用されることがあります。

ハングルには、母音字と子音字があり、これらを組み合わせて一つの文字を作ります。音節文字化したアルファベットである音素音節文字です。

以下に発音記号と日本語の近い音を示しますが、一度日本語読みの不正確な発音で慣れてしまうと、学習が進んでから再び発音を矯正し直す手間が生じますから、最初は面倒でも出来るだけ発音記号で覚えるべきです。

母音字母とその発音

字母	発音	説明
ㅏ	[a]	日本語の「あ」とほぼ同じ音です。
ㅑ	[ja]	日本語の「や」とほぼ同じ音です。
ㅓ	[ɔ]	日本語の「お」よりも口を広げた音です。
ㅕ	[jɔ]	日本語の「よ」よりも少し口を広げた音です。
ㅗ	[o]	日本語の「お」よりも少し口を狭めた音です。
ㅛ	[jo]	日本語の「よ」よりも少し口を狭めた音です。
ㅜ	[u]	日本語の「う」よりも唇を丸めた音です。
ㅠ	[ju]	日本語の「ゆ」よりも唇を丸めた音です。
ㅡ	[ɯ]	日本語の「う」よりも唇を平らにした音です。舌は「う」の位置で、唇は「い」の形状です。
ㅣ	[i]	日本語の「い」とほぼ同じ音です。
ㅐ	[e̞]	日本語の「え」とほぼ同じ音です。
ㅒ	[je̞]	日本語の「イェ」とほぼ同じ音です。
ㅔ	[e̞]	日本語の「え」とほぼ同じ音です。
ㅖ	[je̞]	日本語の「イェ」とほぼ同じ音です。
ㅚ	[we̞]	日本語の「ウェ」とほぼ同じ音です。
ㅟ	[wi]	日本語の「ウィ」とほぼ同じ音です。
ㅢ	[ɯi]	「ㅡ→ㅣ」の順に発音する音です。日本人には「うい」に聞こえます。
ㅘ	[wa]	日本語の「わ」とほぼ同じ音です。
ㅝ	[wɔ]	日本語の「うぉ」よりも口を広げた音です。
ㅙ	[we̞]	日本語の「ウェ」とほぼ同じ音です。
ㅞ	[we]	日本語の「ウェ」とほぼ同じ音です。

なお、「ㅐ・ㅒ・ㅙ」と「ㅔ・ㅖ・ㅞ」は、同じ発音ですが、歴史的に見ると、元々ㅐは[aj]と、ㅔ[ej]と発音されていたのが、それぞれ[ɛ]、[e]に変化し、さらに[e̞]に合流したものです。

半母音字母とその発音

字母	発音	説明
	[w]	日本語の「わ,ウィ,ウェ」の子音とほぼ同じ音です。子音字母として扱われます。
	[j]	日本語の「や,ゆ,イェ,よ」の子音とほぼ同じ音です。母音字母として扱われます。

子音字母とその発音

字母	発音	説明
ㄱ	[k]	日本語の「か行」の子音に近い音です。
ㄴ	[n]	日本語の「な行」の子音です。
ㄷ	[t]	日本語の「た、て、と」の子音に近い音です。
ㄹ	[ɾ]	日本語の「ら行」の子音です。
ㅁ	[m]	日本語の「ま行」の子音です。
ㅂ	[p]	日本語の「ぱ行」の子音に近い音です。
ㅅ	[s]	日本語の「さ、す、せ、そ」の子音です。
ㅇ	[無，ŋ]	終声に用いられるときは、日本語の「か゚行」の子音を表します。初声に用いられるときは、初声がないことを表します。
ㅈ	[tɕ]	日本語の「ちゃ、ち、ちゅ、ちょ」の子音に近い音です。
ㅊ	[tɕʰ]	日本語の「ちゃ、ち、ちゅ、ちょ」の子音を帯気音化した音です。
ㅋ	[kʰ]	日本語の「か行」の子音を帯気音化した音です。
ㅌ	[tʰ]	日本語の「た、て、と」の子音を帯気音化した音です。
ㅍ	[pʰ]	日本語の「ぱ行」の子音を帯気音化した音です。
ㅎ	[h～ɦ～無]	日本語の「は、へ、ほ」の子音とほぼ同じ音です。
ㄲ	[ʔk]	日本語の「っか」の子音に近い音です。
ㄸ	[ʔt]	日本語の「った」の子音に似た音です。
ㅃ	[ʔp]	日本語の「っぷ」の子音に似た音です。
ㅆ	[ʔs]	日本語の「っさ」の子音に似た音です。
ㅉ	[ʔtɕ]	日本語の「っちゃ」の子音に似た音です。
	[ɾ～無]	ㄹ又はㅇ(無)と発音されます。
	[l]	英語のlに似た音です。
ㅿ	[t～ɾ]	ㄹ又はㄷと発音されます。
ㆆ	[ʔ～無]	日本語の「あっ」の「っ」の部分の音です。

そのほか、終声では、次のような複合子音が用いられます。

• ㄱ系
  • ㄳ
• ㄴ系
  • ㄵ,ㄶ
• ㄹ系
  • ㄺ,ㄻ,ㄼ,ㄽ,ㄾ,ㄿ,ㅀ
• ㅁ系
  • ᇡ
• ㅂ系
  • ㅄ

文字（音節）の構成

先述のように、ハングルは、音節ごとに字母を組み合わせて表記します。この音節を構成する音のうち、頭子音を初声、母音を中声、末子音を終声と呼びます。

韓国語の音節は末子音が存在するので、1文字の構成は、子音字母 + 母音字母 (+ 子音字母 + 子音字母)のようになります。

組合せ方は、漢字と同じように原則 左から右、上から下です。具体的には次のとおりです。

1. 初声字母を書きます。慣れないうちは、左上くらいから書き始めると書きやすいでしょう。
2. 中声字母を書きます。縦長の字母（「ㅏ」や「ㅓ」、「ㅖ」など）は初声字母の右に、横長の字母（「ㅗ」や「ㅜ」、「ㅡ」など）は初声字母の下に書きます。ㅘやㅞなどのような横長の字母と縦長の字母が組み合わさった中声字母の場合も同様です。
3. 終声があるときは、終声字母をこの下に書きます。

初 中 終	初 中 終	初 中2 中1 終
간 gan	곤 gon	관 gwan

注釈