熱力学 > 温度


温かさと冷たさ編集

健康な人間の身体が、冬至のダンツィヒに吹く風よりも温かいことや、温かさの違う2つ以上の物体を接触させた際に、より温かい物体は冷え、より冷たい物体は温まり、ある程度の時間が経つとそれらすべてが同程度の温かさとなって以降の変化が生じなくなることは、経験的によく知られている。

しかし温かさ、あるいは冷たさといった性質についての観測は、各々の観測者が持つ感性に委ねられるため、定量的な議論に用いることが出来ない。

したがって、冷暖についての定量的な記述を可能とするにあたり、物理量としての定義が必要となる。

熱平衡編集

冷暖が異なる物体を接触させると、それらは寸法や冷暖、内部の応力などを互いに変化させながら、やがて巨視的には一切の変化が生じない状態へと向かう。

また、一つの容器に冷水と温水を注ぐと、はじめは容器内の部分によって冷暖の差が存在しても、やがて容器内の全体が巨視的に均一な温かさとなって、それ以降の変化を生じなくなる。

このように、孤立した系の内部や、2つ以上の系の間に巨視的な変化が認められないとき、それらは熱平衡状態にあるという。

熱力学第0法則編集

我々の経験は、熱力学第0法則として知られる次の原則に矛盾しない。

物体AとB、BとCがそれぞれ熱平衡ならば、AとCも熱平衡にある。

温度編集

ここで熱平衡状態にある系ごとに固有の量を導入し、これを温度と呼ぶことにする。

温度は、相異なる系A,Bについて次のように定められる。


・AとBが熱平衡状態にあるとき、Aの温度とBの温度は等しい。

・AとBが熱平衡状態にないとき、Aの温度とBの温度は異なる。

温度計編集

前節の熱力学第0法則と温度の定義より、相異なる系A,Cのどちらかに系Bを接触させてから、もう一方の系に接触させる際、Bに巨視的な変化が認められなければ、AとB、BとCの温度は等しく、したがってAとCの温度も等しく、AとCを接触させずともそれらが熱平衡状態にあることを確認できる。

このような観測で用いられる系Bに相当する器具は、一般に温度計と呼ばれている。

数値的な量としての温度の観測は、いくつか(少なくとも2つ)の温度を異とする系を基準に、それらの温度の間を等分することで実現される。

例えばセ氏温度は、1気圧のもとでの純水の凝固点を0℃、沸点を100℃に定めるものである。