== 明治憲法 ==
大日本帝国憲法(明治憲法)は、当時のドイツの憲法を手本に作られた。
今でいうドイツにあたるプロイセン(当時)の憲法は、君主に強い権利を与えていた。そのプロイセン憲法を参考手本に、条文の根拠を日本の歴史に求めながら大日本帝国憲法は作られた。
明治憲法で定められた日本の主権者は天皇であり、日本国民ではない。その一方いっぽうで天皇にも憲法を遵守するべきという立憲制のような義務を明治憲法では定めてある。これは五箇条の御誓文に基づくものである。
そして明治憲法は、主権者である天皇が、国民に対して憲法を授けるという'''欽定憲法'''(きんてい けんぽう)というものであった。
このように、明治憲法では、天皇が、司法・立法・行政をすべて統治権(とうちけん)を持っていた。
もちろん、実際に裁判所で司法の実務を行ったりするのは裁判官であるし、役所などでの行政の実務を行うのは、その役所の公務員などである。
なお、よく言われる「天皇の権限は非常に強かった」というのは誤謬である。先述の通り天皇も憲法に遵ずる義務を課せられ、政府への命令権や政府の決定事項に対する拒否権すらも持たなかった。故に、日露戦争・第二次世界大戦の開戦時には和歌を詠むことによって迂遠的に反戦の意を伝えるしかなかったのである。また、「大日本帝国憲法は遅れていた」というのも重大な誤解である。もちろん、現代から見れば遅れているが、当時においては時代の最先端をゆく非常に画期的で解明的な憲法であった。
== 日本国憲法 ==
日本国憲法は、「'''国民主権'''」「'''平和主義'''」「'''基本的人権の尊重'''」を3大原則とする。
{{コラム|日本国憲法における不自然な日本語|
日本国憲法の基となったマッカーサー草案は僅か1週間で英文草案を作成して和訳したものである。そのため、日本語の文法・ニュアンス的に違和感を覚える文章になっている箇所が散見される。
例)
:憲法前文
『日本国民は、正当に'''選挙された'''国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との'''協和による成果'''と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を'''確定する'''。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。
日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義'''に'''信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏'''から'''免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
'''われらは、'''いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視しては'''ならないのであつて、'''政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。
日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。』
:修正版(仮)
『日本国民は、正当に'''選出された'''国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との'''協調の結実'''と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を'''制定する'''。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。
日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義'''を'''信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏'''を'''免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視しては'''ならない。'''政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると'''われらは'''信ずる。
日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。』
<!-->その他、日本語として不自然な箇所があったら加筆してください。<-->
とある文学者は「英文和訳とみてもせいぜい『可』※である」と評している。また、文学者を中心に『最高法規たる憲法に用いられる文章が文法的に間違っているのは言語道断』という意見が出ており、それを理由とした改憲論も存在する。
※戦前からの伝統である秀、優、良、可、不可の五段階評価。
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