「高等学校物理/物理II/電気と磁気」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
物理I で説明済みのことを、こちらのページからは除去。
1 行
{{substub}}
<small>[[高等学校理科 物理II]] &gt; 電気と磁気</small>
----
本項は[[高等学校理科 物理II]]の電気と磁気の解説である。
 
== 静電誘導と誘電分極 ==
=== コンデンサー ===
コンデンサーについては、[[高等学校理科 物理I/電気]]を参照。
 
=== 誘気と磁気体 ===
コンデンサーに誘電体を入れると、誘電体が誘電分極を起こすため、コンデンサのプラス極板で発生した電気力線のいくつかが打ち消される。
 
その結果、誘電体の入ったコンデンサーの極板間の電場は、極板の電荷密度で発生する電荷が真空中でつくる電場よりも弱くなる。
この章では、[[w:電気|電気]]と[[w:磁気|磁気]]が関わる現象を扱う。電気と磁気は1900年代の中頃にその現象の全貌が明らかにされ、それ以降多くの応用を生み出してきた。現代の技術のほとんどは電磁気に関する技術を用いている。例えば[[w:自動車|自動車]]、[[w:電子レンジ|電子レンジ]]、[[w:テレビ|テレビ]]、[[w:計算機|計算機]]などである。一方、理論的な立場から言えば、我々の身体を形作っている[[w:タンパク質|タンパク質]]や[[w:脂肪|脂肪]]もなんらかの形で電磁気力を用いて結合している場合が多く、我々の世界で電磁気力に関連しない現象はほとんど存在しないといえる。そういった意味では、電磁気力は我々の存在そのものを司っている力といえる。また、電磁気力はそのように広い応用範囲と様々な現象を司っているにもかかわらず、その現象を記述する式が比較的単純であることでも知られている。ここでは、それらの力の記述方法を見ていく。
 
この結果、静電容量が変わる。
===電界と磁界===
 
さて、真空中の静電容量の公式は、
電磁気力を記述する重要な量として、[[w:電界|電界]]と[[w:磁界|磁界]]の2つが挙げられる。電磁気力は通常電気力と磁気力の2種類の異なって見える力から構成されている。特に電気力を媒介するものが電界であり、磁気力を媒介するものは磁界と呼ばれる。電界と磁界には共通点も多いが、それらの発生の方法など異なった部分も多い。ここでは、最初の章で電気力が関連する現象を見ていき、次の章で磁気力が関連する現象を見ていく。
:<math>C=\epsilon_0 \frac{S}{d}</math>
であった。
 
誘電体のある場合の静電容量は、
====電荷と電界====
:<math>C=\epsilon \frac{S}{d}</math>
 
=====電荷=====
 
一口に電気と言ってもその現れ方は様々であり、その現象の全貌を述べることは簡単ではない。ここでは、電気のうちで特に簡単に観測が可能な現象から取扱っていく。種々の観測によると、電気は単独で存在することはなく、常に何らかの微細な粒状の物体の性質として振舞っていることが知られている。特にこの中で最も小さい電気の単位を[[w:電気素量|電気素量]](素電荷)と呼ぶ。この量は極めて小さいため、通常我々の目には電気は連続的に存在するように見える。
 
電気を持った微細な物体は通常の方法で観測することはできないが、ある物体がまわりよりも多くの素電荷を持っていたとすると、そのことは簡単に観測することができる。これは、素電荷は質量のある物体どうしに互いに力を及ぼし合う関係があり、その力は容易に観測が可能なものであるからである。実際には素電荷には2種類の符号を持つものがあり、それらは異符号のものは互いに引き合い、同符号のものは互いに反発し合うことが実験的に知られている。このように素電荷のある量の集まりであり、物体のまわりに蓄積されるものを[[w:電荷|電荷]]と呼ぶ。電気力によって反発しあったり、引きつけあったりする物体を'''電荷を持つ'''物体と呼ぶ。また、ここで観察される力を、[[w:クーロン力|クーロン力]]と呼ぶことがある。
 
ここで、電荷の単位は<nowiki>[C]</nowiki>([[w:クーロン|クーロン]])で与えられる。
 
これらの電荷を持った物体間に働く力の大きさは、物体間の距離と簡単な関係を持っていることが知られている。実験的には、電荷の間に働く力は、重力の場合と同様に力を及ぼし合う2物体の間の距離の2乗に[[w:反比例|反比例]]することが知られている。更に、電荷の大きさが大きいほど電荷間に働く力が大きいことも考慮すると、距離''r''だけ離れてそれぞれが電荷<math>q _1</math>、<math>q _2</math>を持っている2物体の間に働く力''F''は、
:<math>
f = k\frac{q_1 q_2}{r^2} = \frac 1 {4\pi\epsilon} \frac {q _1 q _2}{r^2}
</math>
で与えられる。これを[[w:クーロンの法則|クーロンの法則]]という。ここで、<math>k</math>は比例定数であり、物体の周囲の状況により変化する定数である。真空中では特に、
:<math>k_0 = 9.0 \times 10^9 </math>[N・m<sup>2</sup>/C<sup>2</sup>](クーロンの比例定数)
である。また、<math>\epsilon</math>は後ほど登場する[[w:誘電率|誘電率]]と呼ばれる物理定数である。誘電率とクーロンの比例定数には上式の関係がある。
 
*問題例
**問題
電荷<math>q _1</math>, <math>q _2</math>の間の距離がrの場合と2rの場合では、間に働く力の大きさはどちらがどれだけ大きいか答えよ。
また、距離が2rの時の2点間の力の大きさを答えよ。
 
**解答
クーロン力は、物体間の距離の逆2乗に比例するので、距離が2rの時は、rの時の大きさの<math>\frac 1 4</math>となる。また、働く力の大きさは、クーロン力の式を用いて、
:<math>
f = \frac 1 {4\pi\epsilon _0} \frac {q _1 q _2}{4r^2}
</math>
となる。
 
ここで、 <math>\epsilon </math>を'''誘電率'''(ゆうでんりつ)という。
=====電界 =====
<math>\epsilon_0 </math>を、'''真空中の誘電率'''という。
既に、ある電荷のまわりの電荷には、その電荷からの距離の逆2乗に比例した力がかかることを述べた。
 
{| class="wikitable" style="float:right"
ここで、ある電荷が受ける力は、その電荷の大きさに比例することを合わせて考えると、その電荷の大きさにかかわらず、まわりの電荷の大きさだけで決まる量を導入しておくと都合がよい。ここで、そのような量として[[w:電界|電界]]を導入する。このとき、電界<math>\vec E</math>の中にある電荷<math>q</math>に働く力<math>\vec f</math>は、
|+ 物質の比誘電率
:<math>
|- style="background:silver"
\vec f = q \vec E
! 物質 !! 比誘電率
</math>
|-
で与えられる。電界は単位電荷に働く力と考えることもでき、電界の単位は[N/C]である。電界は、[[w:電場|電場]]とも呼ばれる。
| 空気 (20℃) || 1.0005
|-
| パラフィン (20℃) || 2.2
|-
| ボール紙 (20℃) || 3.2
|-
| 雲母 || 7.0
|-
| 水 (20℃) || 約80
|-
| チタン酸バリウム || 約5000
|-
|}
ここで、比
:<math> \epsilon _r = \frac{\epsilon}{\epsilon_0}</math>
を、'''比誘電率'''(ひ ゆうでんりつ)という。
 
比誘電率をもちいれば、静電容量 C の式は、
上のクーロン力の結果と合わせると、まわりに電荷が存在しないとき、<math>q</math>の電荷がまとう電界<math>\vec E</math>は、
:<math> C = \epsilon \frac{S}{d} = \epsilon _r \epsilon _0 \frac{S}{d} </math>
:<math>
と書ける。
\vec E = \frac 1 {4\pi\epsilon _0} \frac {q}{r^2} \vec e _r
</math>
で与えられる。ただし、rは電荷からの距離であり、<math>\vec e _r</math>は、電荷とある点を結んだ直線上で、電荷と反対方向を向いた単位ベクトルである。
 
=== コンデンサの静電エネルギー ===
電荷の回りの電界は、平面上で放射状のベクトルとなることに注意。
:(※ 未記述)
 
電荷が複数ある場合には、実際に新たに置かれた電荷が受ける力は、それらを足し合わせたものとなる。したがって、複数の電荷がある場合の周囲の電界は、それぞれの電荷が作る電界ベクトルの和となる(重ね合わせの原理)。
 
== 電流による磁界 ==
<!-- 電気力線 -->
磁石のまわりには物体を動かす力のあるものが生じている。
<!-- ガウスの法則 -->
これを'''磁場'''(じば)と呼ぶ。'''磁界'''(じかい)ともいう。
 
=====電位=====
 
[[w:重力|重力]]を扱ったとき、重力に対する[[w:位置エネルギー|位置エネルギー]]を定義した。ここで、クーロン力に対しても位置エネルギーを定義することができる。クーロン力も重力の場合と同様に逆2乗力なので、クーロン力に対する位置エネルギーも、重力の場合と同様に定義できる。ただし、クーロン力に対して電界を定義したのと同様、位置エネルギーに対しても、物体が持つ電荷の大きさを省いて定義できる量を導入すると都合がよい。このような量を[[w:電位|電位]]と呼ぶ。電位は、地上での重力の位置エネルギーを考えた際の「gh」や、万有引力による位置エネルギーを考えた際の「-GM/r」に相当する量である。
 
クーロン力の結果と、重力の位置エネルギーの結果を見合わせると、<math>q</math>[C]の電荷から距離''r''だけ離れた点の電位Vは、
:<math>
V = \frac 1 {4\pi\epsilon _0} \frac {q}{r}
</math>
となる。
 
電位Vの点に''q''[C]の電荷を置いたとき、この電荷のクーロン力による位置エネルギー''U''は、
:<math>
U = qV
</math>
となる。したがって、電位<math>V_1</math>の点から電位<math>V_2</math>の点へ電荷''q''が静電気力を受けて移動するとき、静電気力のする仕事''W''は
:<math>
W = q(V_2 - V_1)
</math>
となる。
 
一様な電界においては、電位を電界を用いて簡単に表すことができる。距離''d''だけ離れた平行平板電極の間に一様な電界<math>\vec E</math>が生じているとき、この電界の中に置いた電荷''q''は静電気力<math>q\vec E</math>を受ける。この電荷が電界の向きに沿って一方の電極から他方の電極まで移動するとき、電界のする仕事''W''は<math>W = qEd</math>となる。これより、2極板の電位差''V''は、
:<math>
V = Ed
</math>
で表すことができることがわかる。式を変形して
:<math>
E = \frac V d
</math>
とすることもできる。ここで、単位を考えると、右辺は電圧を距離で割ったものであるから、電界の単位として[N/C]のほか[V/m]を用いることもできることがわかる。
 
*発展 位置エネルギーの定義
位置エネルギーは力の大きさを[[w:積分|積分]]することで定義されるが、ここでは詳しく扱わない。[[古典力学]]、[[電磁気学]]などを参照。
 
電位の単位は[[w:ボルト|ボルト]]であり、この量は既に[[中学校理科]]などで扱った[[w:電圧|電圧]]の単位と同じである。実際電気回路に電圧をかけることは、回路中の[[w:電子|電子]]に電界をかけて動かすことと'''等しい'''。
 
*問題例
**問題
直線上で距離0, b[m]の点に、電荷q, q'を持つ物体が置いてある。この時、位置a[m](a<b)の点の電位を求めよ。
**解答
電位の式を用いればよい。電荷が複数あるときには、電位はそれぞれの電荷がつくり出す電荷の和になることに注意。答えは、
:<math>
V = \frac 1 {4\pi\epsilon _0} (\frac {q}{a} + \frac{q'}{b-a})
</math>
となる。
 
<!-- 等電位面と電気力線 -->
 
===== 静電誘導と誘電分極 =====
(stub)
:誘電率:permittivty
:
 
=====コンデンサ=====
 
[[中学校理科]]では。基本的な電気回路について扱った。ここで、電界、電位などの知識を用いて、新たな回路素子である[[w:コンデンサ]]を導入する。
 
コンデンサは、回路中に電荷を蓄積できる部分を与える素子である。具体的にはコンデンサの両端にある電位Vが与えられたとき、コンデンサには、電位に比例する電荷Qが蓄積される。このとき、コンデンサの性質を表す量をCとおいて、
:<math>Q=CV</math>
としてCを取る。Cは静電容量()と呼ばれ、単位はF([[w:ファラド]])で与えられる。
 
具体的に電圧をかけられたとき、内部に電荷を蓄えるようにするには、例えば'''導体の平面を2枚向かい合わせるようにする'''方法がある。この方法では、向かい合った平面間に一様な電界が生じるように、2枚の平面に同じ大きさで符号が逆の電荷が蓄積される。このコンデンサの静電容量Cは、
:<math>
C = \epsilon _ 0 \frac S d
</math>
で与えられる。ここで、Sは導体平面の面積であり、dは導体間の距離である。
 
*発展 静電容量の計算
ここで与えた静電容量は、'''平面上に電荷が一様に分布する'''との仮定で導かれる。このとき、導体間に生じる電界Eは、導体が持つ電荷をQ, -Qとした時、導体間の各点で、
:<math>
E = \frac Q {\epsilon _0 S}
</math>
で与えられる。この式については、計算に[[w:マクスウェルの方程式]]が必要である。詳しくは[[電磁気学]]を参照。電界が求められたので、ここから電位を計算できる。導体間の各点で電界の大きさが等しいので、電位の大きさは電界の大きさに電界が存在する距離をかけたものになる。詳しくは電位の定義を参照。ここで、電位Vは、
:<math>
V = Ed = \frac d {\epsilon _0 S} Q
</math>
となるが、この式と静電容量Cの定義を見比べると、
:<math>
C = \epsilon _ 0 \frac S d
</math>
が得られる。
 
 
 
====電流による磁界====
 
 
磁石のまわりには物体を動かす力のあるものが生じている。
これを磁界と呼ぶ。
電流が流れているときにも、そのまわりには、右ねじの法則(right-handed screw rule)に従う向きに磁界が生じる。
電流I[A]が直線的に流れているとき、磁界の大きさは
161 ⟶ 67行目:
ここで、aは磁束密度を測る点と、電線の距離。
 
また、<math>\mu_0</math>は真空の[[w:透磁率]](とうじりつ、permeability)を表し、値は<math>4\pi \times 10^{-7}</math>[H/m]である。
<!-- アンペールの法則? -->
 
 
=== 電磁誘導と電磁波 ===
 
==== 電磁誘導 ====
磁場を伴う物体が運動すると、そのまわりには電場が生じることを'''電磁誘導'''(でんじゆうどう、electromagnetic induction)という。
 
 
磁場を伴う物体が運動すると、そのまわりには電場が生じることを電磁誘導(でんじゆうどう、electromagnetic induction)という。
仮に、ソレノイド(solenoid、コイルのこと)の近くでそれを行なったとすると、生じた電場によってソレノイドの中には電流が流れる。
生じる電場の大きさは、
180 ⟶ 84行目:
 
 
==== 電磁波 ====
 
 
磁場の動きによって電場が引き起こされることを電磁誘導のセクションで見た。
実際には電場の変化によって磁場が引き起こされることも知られている。
192 ⟶ 94行目:
== 発展: 相対論の一次近似 ==
=== 運動する磁束は電場を誘起する ===
磁場Bの中を、電荷qの荷電粒子が速度vで運動すると、ローレンツ力はベクトル外積を用いて f=qf=qv×Bv×B の力が粒子に働くが、ここで観測者の座標系を変えたとして、同じ粒子を、粒子と同じ方向に速度vで動く座標形Kの中の観測者から見たらどうなるか? 座標系Kでは、粒子の速度は v(K)=0 であり、磁束の速度を V<sub>b</sub> とすると、前の座標系の粒子とは反対方向に動くので、
:V<sub>b</sub> =-v である。
新しい座標系Kから観測しても、粒子がf=q f=q・v×B の大きさの力を受けて加速されることには変わらないが、座標系kでは、荷電粒子は静止していたのに、ローレンツ力を受けたと考えるのは不合理である。磁束は、V<sub>b</sub>=-v=-v で運動していたので、磁束の運動によって f=qf=q・(-V<sub>b</sub>)×B=-q)×B = -q・V<sub>b</sub>×B×B の力を受けたと考えるべきである。粒子を質量0の質点とみなせば、静止している荷電粒子に力を及ぼせるのは、電場だけだから、つまり速度 V<sub>b</sub> で運動する磁束が、E=-V E=-V<sub>b</sub>×B×B の誘導電場を誘起することになる。このとき、磁場と誘導された電場は垂直である。
 
=== 運動する電場は磁界を作る ===
もし、「運動する電場は磁界を作る」とすれば、アンペールの法則 「直線状に無限に長い導線を流れる 電流I は距離R だけ離れた場所に B2πr=μI2πr=μI の磁場を作る。」という現象は、じつは「導線の中で荷電粒子が運動することによって、荷電粒子といっしょにその粒子が作る電場も動き、その電場の運動が、磁場を誘起している。」という可能性がある。
電流が流れている無限長の、まっすぐな導線を考える。線密度q[C/m]で分布した電荷は、図のように円筒対称な電荷を作る。直線から距離rのところの電束密度は
:D=εE= q/2πr
:D=εE=q/2πr
:εEεE2πr=q2πr =q
電流I は電荷分布q  q が速度 Ve  で運動しているとして 
:I = qVe
:I = qVe 
:[A]=[c/mc/m]・[m/sm/s]=[c/mc/m]
電流qVe qVe が距離r  r のところに作る磁場はアンペールの法則から、
:B・2πr(=μI)= μqVe ②
:B・2πr(=μI)=μqVe ②
このとき、磁場の向きは、Ve から B にねじを回す向きである。このとき、電流は E から B にねじを回す向き E×HE×H の方向に流れている。
:②÷①から B/εE=μVeB/εE = μVe B=εμVeB=εμVeE
向きまでふくめてベクトル席で表せば、
:B=εμVe×E  B=εμVe×E となる。
あるいは、 μH=B をもちいて B=μH=εμVe×EB=μH=εμVe×E より
:H=εμVe×EH=εμVe×E となって、さらに D=εED=εE より 
:H=μVe×D 
である。
つまり
:速度Ve で運動する電場E は誘導磁場 B=εμVe×EB=εμVe×E を作る。
 
まとめ
速度Vb Vbで運動する磁束Bは 
:E=-Vb×B
:E=-Vb×B 
の誘導電場を誘起する。 ・・□1
 
速度 Ve  で運動する電場 E 
:B=εμ B = εμ Ve ×E×E 
の誘導磁場を作る。
または
:D = -ε Vb × B
:D=-εVb×B
または
:H=Ve×DH = Ve×D    (・・・□2) 
 
電磁波では光速Cで電場と磁場が伝わるので、 Vb=  Vb = Ve =C = C とする。 □1式と□2式の外積をとると、
: E×H =(-Vb×B)× (Ve×D) = (-C×μH) × (C×εE) 
: E×H = (-Vb×B)×(Ve×D) = (-C×μH) ×(C×εE) 
:= εμ(Cεμ ( C^2)E×H2) E×H
よって
:εμ・c^2=1c^2 = 1 
である。
これは実験による光速の測定値 c= 1/ √(εμ) と高い精度で一致する。
これより、運動電場の誘導する磁場は
:B=(1/c^2)Ve×EB = (1/ c^2 )Ve×E    ③
とも変形できる。
③式を、ガウスの法則(①式) と組み合わせると、アンペールの法則(②式)が得られる。
244 ⟶ 146行目:
 
=== ポインティング ベクトル ===
電磁波では電場 E と磁場 B が光速 C で運動しているので 磁束の運動速度Vb Vb Vb=CVb = C であり、誘導電場 E E=-Vb×BE =-Vb×B であるので、両式より E= -c×B E = -c×B である。(電磁波の電場と磁場の関係式)なお B=μHであるので、電磁波は E×H  E×H の方向に進んでいるはずだ、ということを注目しよう。この E×H を '''ポインティング ベクトル''' とよぶ。
これは単位面積をとおって流れ出る電磁場のエネルギーの流れをあらわす。
電磁場のエネルギ-密度は u=(1/2)εu=(1/2)εE^2E^2 + (1/2)μ(1/2)μH^2H^2 なので、これに電磁波の電場と磁場の関係式 E=-c×BE=-c×B を代入して 、後述の εμ・c^2=1 c^2 =1 の関係を用いると、(エネルギーでは、2乗により、マイナス符号がなくなるので、絶対値を取って|E|=|c×B| としておくと、計算が簡単になる場合がある。)
結果として 
:u= u = ε・E^2E^2   (電磁波のエネルギー密度)
となる。
電磁波が、壁にあたって吸収されるとき、単位時間に単位面積あたり 光速c の大きさの体積のなかの電磁波が壁に衝突するので、 
:cu 
のエネルギーが、単位時間に単位面積に流れ込むはずである。
:s= c・u に u= ε・E^2 を代入してεμ・c^2 = 1 と
:s=c・u にu= ε・E^2を代入してεμ・c^2=1と|E|=|c×B|を利用すると、結果的に s= |E|・|H| よってポインティング ベクトル E×H
|E|=|c×B|
 は単位面積をとおって流れ出る電磁場のエネルギーの流れをあらわす。
を利用すると、結果的に s= |E|・|H|
:E×Hの単位は [V/m]・[A/m]=[V・A/m^2]=[W/m^2]
 
=== よってポインティング ベクトル E×H は単位面積を 運動量密度 ===おって流れ出る電磁場のエネルギーの流れをあらわす。
:E×Hの単位は [V/m]・[A/m]=[V・A/m^2]=[W/m^2]
 ポインティング ベクトル S=E×H = εμ(C^2)E×H は
 
:D=εEとB=μH をもちいてS= E×H =(C^2)D×B ともかける。
=== ポインティング ベクトル と 運動量密度 ===
:D×B={1/(C^2)}E×H である。天下り的な説明だが、G=D×Bは運動量密度である。実際、単位は
ポインティング ベクトル S = E×H = εμ(C^2)E×H は
:[D×B] = [{1/(C^2)}] [E×H] = [1/(m/s)^2] [W/m^2]
:D=εE と B=μH をもちいて S = E×H =(C^2)D×B とも書ける。
:= [N・s/m^3]
:D×B={1 / (C^2)} E×H である。
確かに運動量密度の単位と等しい。ところで光電効果では u=cp だった。
 
:s=c・uはs=cu=|E×H|でu=cpとあわせて、
天下り的な説明だが、 G=D×B という量は、運動量の密度である。「運動量密度」という。実際に、D×Bの単位は
:s=c(cp)=(c^2)p=|E×H|
:[D×B] = [{1 / (C^2)}] [E×H] = [1 / (m/s)^2] [W/m^2]
:= [N・s/m^3]
となる。
確かに、運動量の密度の単位と等しい。ところで光電効果では u=cp だった。
:s=c・u は s=cu=|E×H| で u=cp とあわせて、
:s=c (cp) = (c^2) p =|E×H|
これより
:p = (1/c^2) |E×H| = εμ |E×H| 
:p = (1/c^2)|E×H| = εμ|E×H| 
: = |εE×μH| = |D×B|
:= |εE×μH| = |D×B|
向きまで含めて
:p = D×B
:p = D×B
となって、確かに G= D×B G = D×B は運動量密度となる。
 
=== 電磁誘導の再検討 ===
長さLのまっすぐな針金が、速度vで磁場Bの中を横切るとする。簡単のため、針金の軸と速度vの方向と磁場Bは垂直とする。このとき、針金の中の電荷にかかる力および電場はローレンツ力により、
:F = q v×B
:F=qv×B
:F/q=E=v×B F/q = E = v×B の電位が針金の長さ方向に派生する。
電場Eにそって長さLだけ、電荷qが上げられたら、エネルギーはqEL変化する。電位はV=ELである。
:V = LvB = ⊿Φ/⊿t 
:V=LvB=⊿Φ/⊿t 
これより、誘導電圧 V は、磁束の1秒あたりの時間変化になる。
では、仮に固定された回路の中にソレノイドを通して、このソレノイドに交流電流を流した場合も、回路に誘導電圧が発生するのだろうか。答えは「する」。