「高等学校生物/生物IB‐生態系」の版間の差分

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植物のバイオーム
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水深がさらに浅くなると湿原(しつげん)になる。
 
== 植物のバイオーム ==
=== 用語 ===
:※ この単元の内容は、社会科の地理学とは区別しきれず、すべての生物学のみから説明するのは、無理である。
 
冒頭の植物のバイオームと気温、降水量のグラフを分析しよう。
 
まず、森林が形成されるには、あるていどの降水量が必要である。じっさいにグラフを見ると、確かに、降水量の多いほど、樹林が形成されている。
 
降水量が少ないと、森林が維持できなくなり、草原になっていく。さらに降水量が少ないと、砂漠などになっていく。
 
たとえば草原には、サバンナとステップがある。
 
サバンナとステップの気候は、一見するとぜんぜん違う気候だが、じつは気温が違うだけで、降水量は同じくらいなのである。
 
サバンナは、熱帯の中にある乾燥地域に見られ、サバンナの草の種類は、イネの仲間の植物を主体としている。
 
ステップは、温帯の中にある乾燥地域に見られ、ステップの草の種類も、イネの仲間の植物を主体としている。
 
 
アフリカのサバンナでは、シマウマなどの大型の草食動物が住む。また、その草食動物を捕食する、ライオンなどの肉食動物も、アフリカのサバンナには住む。サバンナというとアフリカが有名だが、オーストラリアや南アメリカなどにもサバンナはある。
サバンナには、乾季があるのが普通である。乾季のあいだ、草食動物は、水場や食料などを求めて、集団で大移動する。
アフリカに限らず、サバンナには草食動物が住みつき、その草食動物を捕食する肉食動物も住みつく。
 
 
いっぽう、気温がほぼ同じ地域を見てみると、たとえば年平均20℃〜30℃の地域は、熱帯多雨林、雨緑樹林、サバンナが、気温が同じ気候である。これらの植生を分けるのは、たんに降水量の多少なのである。
 
 
砂漠は、地域によって、温度の差が、とても広い。日本人はついつい「砂漠」と聞くと、熱い地域を想像してしまいがちなので、気をつけよう。砂漠では、サボテンのような、乾燥に適応した植物が、まばらに生育する。
 
 
なお、グラフには無いが、土壌や水質などによっても、植生は異なる。たとえば海水の多い地域では、海水の耐性のある植物が分布する。
 
またなお、グラフでの各植生の各領域の温度範囲や降水量範囲の広さや値は、教科書ごとに若干、異なる。なので、あまり細かな数値を覚えても無価値である。
 
 
=== 熱帯多雨林 ===
熱帯・亜熱帯の気候の地域に、分布している。
 
高木(こうぼく)が多い。30m〜60mの高木もある。林内は暗い。
 
また、つる植物も多い。
 
東南アジアや南アメリカ大陸などで、このような熱帯多雨林が見られる。
 
 
海岸や河口付近では、海水にも耐性のあるマングローブ林などが分布し、マングローブであるヒルギ類などが分布する。
 
 
=== 雨緑樹林 ===
熱帯・亜熱帯の地域のうち、雨季と乾季のある地域に、雨緑樹林が分布する。
乾季に落葉するチークなどが見られる。
 
 
=== 温帯地方 ===
温帯地方では、硬葉樹林、照葉樹林、夏緑樹林が分布する。
 
 
==== 硬葉樹林 ====
地中海沿岸の、温帯のなかでも冬に雨が多く、夏に雨が少ない地中海性気候の地域で見られる。
 
夏の乾燥に耐えるため、葉が小さく、クチクラ層が暑く、一年中、葉をつける、オリーブやコルクガシなどが見られる。
 
 
==== 照葉樹林 ====
 
 
 
==== 夏緑樹林 ====
温帯の中でも、比較的寒冷な地域に分布し、ブナ、ミズナラ、カエデ類などが見られる。
 
冬に落葉する。秋に紅葉する。
 
=== 針葉樹林 ===
シベリア、スカンジナビア半島、アラスカなどで亜寒帯の地域に見られ、常緑針葉樹のトウヒ類、モミ類などがある。東シベリアにはカラマツなども見られる。
 
樹種が少ない。
 
針葉は、凍結に耐えるための仕組みである。
 
=== ツンドラ ===
北極圏の寒帯などに分布する。夏の一時期を除いて、年中、土壌が凍結している凍土(とうど)のため、高木が育たない。草本は育つが、地衣類やコケ類などが混ざる。
 
この地域は降水量も少ないため、低温で降水量の少ない地域に、ツンドラが分布することになる。
 
== 日本のバイオーム ==
日本では、どこでも降水量が多いため、森林が形成される。
よって日本では、おもに気温の地域差によって、各地の植生が違ってくる。
 
そして、気温の地域差は、おもに緯度と標高により、決まってくる。一般に、高度が1000m増すごとに気温が5〜6℃下がる。
なので結果的に、緯度と標高によって、植生が違ってくる。
 
標高に応じてバイオームの地域差を、'''垂直分布'''(すいちょく ぶんぷ)という。
 
いっぽう、緯度によるバイオームの地域差を'''水平分布'''という。
 
人工林としてスギなどを植えてた地域も日本では多く、そのため人の手が加わってない自然な植生は、日本では少ない。
 
=== 垂直分布 ===
2600m以上くらいに、標高が高くなりすぎると、気温が低すぎるため、森林が形成されない。この、森林の形成できる高さの限界を森林限界(しんりん げんかい)という。
また、森林限界を越えた、標高の高い場所は、強風の場所でもある場合が多く、そのため風に強い植物が多い。
 
また、その森林限界より前でも、高木の形成できる限界の標高があり、これを'''高木限界'''(こうぼくげんかい)という。
 
高木限界より高い場所の植物は、草や花や低木である。夏には、お花畑と呼ばれる高山草原が見られることもある。
 
また、森林を形成するには、夏の平均気温が10℃以上は必要である。
 
 
このような現象のあるため、森林限界(2500mあたり)をさかいにして、標高により、高山帯と亜高山帯とに分かれる。森林限界より高い側が高山帯(こうざんたい)で、森林限界より低い側が、亜高山帯(あこうざんたい)である。
 
2500m〜あたりが'''高山帯'''であり、コケモモ、コマクサなどが見られる。
 
 
1700m〜2500mあたりが、'''亜高山帯'''であり、シラビソ、コメツガなどが見られる。
 
1700m〜600mあたりを'''山地帯'''といい、夏緑樹林が見られ、ブナやミズナラなどが見られる。
 
 
〜600mあたりを'''丘陵帯'''(きゅうりょうたい)という。
 
=== 水平分布 ===
* 亜熱帯
沖縄や鹿児島は亜熱帯である。日本でもマングローブが沖縄県など南西諸島の海岸などで見られ、ヒルギ類がマングローブとして分布している。海岸以外では、ソテツ、ヘゴ、ガジュマルなどが分布している。
 
* 温帯
九州中部から関東までの、標高の低い地域で、照葉樹林の生育する気候である。
 
 
=== 暖かさの指数 ===
日本では、その地域の気温によって、植生が決まる。
 
よって、その地域の気温の積算値をもとにした指数によって、植生が説明できる。
 
植物の生育がうまくできる下限の値を5℃と考え、よって月平均気温からマイナス5℃をした値を各月もとめ、さらにその各月の値を足し合わせた積算値を、'''暖かさの指数'''(warmth index, WI)という。
 
WIが15〜45は、トドマツなどの針葉樹が分布し、亜寒帯に相当し、北海道の北東部などである。
 
45〜85は、ミズナラなどの夏緑樹林が分布し、冷温帯に相当し、東北地方などである。
 
85〜180は、スタジイなどの照葉樹林が分布し、温暖帯に相当する。
 
180〜240は、沖縄県や鹿児島などで見られ、亜熱帯多雨林が分布し、亜熱帯に相当する。
 
== 用語 ==
(※ 未記述)
:・ 優先種