「高等学校農業 植物バイオテクノロジー/組織培養の基礎」の版間の差分

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高等学校生物/生物II‐遺伝情報の発現 2016年4月21日 (木) 03:53‎ より、植物ホルモンとカルスの分化について引用。
無菌操作、クリーンベンチ、洗浄、
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いっぽう、高いサイトカイニン濃度、および、低いオーキシン濃度では、カルスは芽に分化する。
 
== 培養 ==
=== 摘出・置床 ===
培養する部位を植物体から切り取ることを'''摘出'''(てきしゅつ)という。
培養するために摘出した部位を'''外植体'''(がいしょくたい)という。
 
摘出した外植体を、培地に植えつけることを'''置床'''(ちしょう)という。
 
これらの操作は、雑菌が混入しないように無菌状態で行わなければならない。そのため、クリーンベンチを用いて、これらの操作を行う。
 
このこともあり、これらの操作を'''無菌操作'''という。
 
 
外植体こそが、これから培地で培養されて、栄養を補給される物体である。そのため、外植体のことを「培養物」や「培養体」という場合もある。
 
=== 培養 ===
培養には普通、期間が数週間から数ヶ月かかる。その間、培地の栄養分が消費されて不足たり、排出された有害物質が蓄積するので、必要に応じて培地を交換しなければならない。
 
そのため、新しい培地に、培養物(元・外植体)の移植を行う事になる。
 
新しい培地に植物体の移植をすることを'''継代'''(けいだい)という。そして、(新しい培地への)移植後の培養を'''継代培養'''という。つまり、継代して培養することを継代培養という。
 
一方、植物から摘出して外植体を置床したばかりの最初の代の培地での培養を'''初代培養'''という。
 
=== 培地 ===
培地には、養分をふくんだ溶液のままの'''液体培地'''と、その溶液を寒天などで固めた'''固体培地'''がある。
 
液体培地の場合、酸素が不足しやすいので、振とうしたり、かくはんして、酸素を補給する必要がある。そのため、液体培地では、回転装置や振とう装置のついた培養装置で、培養を行う必要がある。
 
一方、固体培地の場合、酸素の不足はないが、栄養分が不足しやすく、また有害物質が植物体のちかくに蓄積しやすい。
 
=== 培養の環境条件 ===
温度は普通、20℃〜25℃にする。これは、培養中の培養室の温度条件と同じである。
 
 
=== 順化 ===
培養によって得られた植物体は、最終的には、一般の苗で生育できるようにしなければならない。
 
しかし、いきなり一般の苗に植え替えると、植物体が環境に適応しきれず、枯れてしまう場合がある。
 
なので、少しづつ、光や温度・湿度を調節しながら、培地の材料も近づけていくことで、環境を近づけていく。
 
このような操作を、'''順化'''(じゅんか)という。
 
植物が、自ら光合成をできるようにするのが、順化のおもな目的である。
 
== 施設・設備 ==
=== クリーンベンチ ===
クリーンベンチは、紫外線を出す殺菌灯によって、雑菌を殺菌しながら、装置内で実験を行えるようにする装置である。
 
クリーンベンチを使用する1時間前には殺菌灯を点灯しておき、使用時には殺菌灯を消灯する。
 
また、クリーンベンチ内には、フィルタによって、ホコリや雑菌などが取り除かれた空気が、送り込まれている。
 
=== クリーンルーム ===
実験によっては、クリーンルームという、清浄度の特別に高い実験室で、実験をすることがある。
 
クリーンルームに入室するには、クリーンルーム用の専用の白衣、または専用の作業着があるので、そのクリーンルーム用の白衣・作業着に着替えなければならない。また、その白衣や作業着は、清潔でなければならない。
 
頭髪などが実験材料に落ちるのを防ぐため、普通は、専用の帽子をかぶる。(その専用の帽子も、クリーンルーム用の白衣・作業着に含まれる。)
 
また、土足厳禁である。専用のスリッパや専用の作業靴があるはずなので、それに履き替えてから、入室する。
 
入室時、作業室の前室として「エアシャワー」といって、上方から、排気口のある下方に向かって、きれいな空気を流すことで、通行人のホコリを落とす設備のある実験室もある。
 
== 使用後の洗浄など ==
使用後の器具には、洗浄が必要である。
 
ビーカーなど一般のガラス器具の洗浄方法と、定量容器の洗浄手順とが、異なる。
 
 
;一般のガラス器具(ビーカーなど)の洗浄
:1) 事前に、オートクレーブで培地や内容物ごと、滅菌する。
:2) 使用後の実験機器は、まず、培地などの内容物を捨てる。(この培地は、事前にオートクレーブで滅菌されている。)
:3) そして、中性洗剤をふくむ水をもちいて、ブラシやスポンジを使って、よく洗浄する。
:4) 水道水で、しっかりすすいで、洗剤を流し落とす。ガラス器具なら、すくなとも、ガラスの表面に水滴がつかなくなる程度までは洗浄しなければならないのが、目安(めやす)である。仕上げに、純水(実験室にある蒸留水でよい)ですすいで、乾燥させる。
:5) 乾燥後、清潔な収納棚に収める。
:6) (これで終わり。以上が、一般のガラス機器の洗浄方法である。)
 
;定量容器の洗浄
:1) 使用後は、まず水につけておき、内部が乾かないようにしておく。
:2) 洗うときは、中性洗剤の溶液につけておく。
:3) 水道水でよくすすぎ、さらに純水(蒸留水)でそそぐ。
:4) 自然乾燥させる。(熱乾燥しない。) 自然乾燥中にホコリが掛からないようにするための「乾燥棚」(かんそうだな)を用いるのは構わない。
:5) (これで終わり。以上が、定量容器の洗浄方法である。)
 
;新しく購入したガラス機器のおろしかた
:1)
 
== 超低温保存 ==