「高校化学 合成高分子化合物」の版間の差分

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凝固点降下法や沸点上昇法では、分子量が大きすぎるために濃度が小さくなるためだろうか、凝固点や沸点が変化せず、よって分子量を求められない。
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なお、高分子化合物であっても、タンパク質などのように天然に由来するものは、分子量のばらつきが少ない。
 
== 付加重合 ==
[[File:Vinyl polymer reaction jp.svg|thumb|400px|left|付加重合による樹脂の合成反応]]
付加重合によって合成される樹脂について、その単量体はエチレン C=C やビニル基 CH<sub>2</sub>=CH のように二重結合を持ってる。
 
付加重合で合成せれた分子の構造は直鎖状の構造を持つものが多い。
== 熱可塑性樹脂 ==
 
高温に熱すると柔らかくなり、冷やすと固くなる樹脂を<span style="font-size: large;">'''熱可塑性樹脂'''</span>(ねつかそせい じゅし、thermoplastic resin)という。付加重合によって合成される樹脂のほとんどが熱可塑性樹脂である。
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構造は直鎖状の構造を持つものが多い。
== 熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂 ==
高温に熱すると柔らかくなり、冷やすと固くなる樹脂を<span style="font-size: large;">'''熱可塑性樹脂'''</span>(ねつかそせい じゅし、thermoplastic resin)という。付加重合によって合成される樹脂のほとんどが熱可塑性樹脂である
 
合成繊維に用いられる高分子は、ほとんどが熱可塑性である。
 
いっぽう、熱可塑性樹脂に対して、別の種類の樹脂として、熱硬化性樹脂という樹脂がある。熱硬化性樹脂は、加熱しても軟化せず、加熱によって固くなり、また、冷やしても軟化しない樹脂である。
 
フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂が、熱硬化性樹脂である。
 
一般に、熱可塑性樹脂は付加反応で合成される場合が多く、いっぽうで熱硬化性樹脂は縮合反応で合成される場合が多いが、例外もある。
 
たとえばPET樹脂(ポリエチレンテレフタラート)は縮合反応で合成されるが、熱可塑性である。
 
== 熱可塑性樹脂 ==
=== ポリエチレン ===
[[ファイル:Polyethylene_repeat_unit.svg|thumb|150px|ポリエチレンは最も簡単な構造をした高分子である。]]
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熱可塑性樹脂。透明。電気絶縁材料として使われる。イオン交換樹脂の母材に使われる。
いわゆる「発泡スチロル」とは、このポリスチレン樹脂に気泡を含ませた材料。
 
=== ポリ塩化ビニル化合物 ===
==== ポリ塩化ビニルの付加重合により得られる。 ====
ポリ塩化ビニルは、塩化ビニルの付加重合により得られる。
[[Image:PVC-polymerisation.svg|left|250px|ポリ塩化ビニル合成の化学反応式]]
:(polyvinyl chloride)略称はPVC 。
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水道管などに用いられる。
 
==== ポリ酢酸ビニル ====
ポリ酢酸ビニルは、酢酸ビニルの付加重合で得られる。略称はPVAc 。(polyvinyl acetate)
[[ファイル:PVA.svg|thumb|150px|ポリ酢酸ビニル]]
 
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加熱しても軟化せず、加熱によって固くなり、また、冷やしても軟化しない樹脂を<span style="font-size: large;">'''熱硬化性樹脂'''</span>(ねつこうかせい じゅし、thermosetting resin)という。
構造は立体網目状の構造を持つものが多い。
 
 
=== フェノール樹脂 ===
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:略称はPFR。(phenol formaldehyde resin)
 
フェノールにホルムアルデヒドを、酸または塩基触媒で加熱反応させると、酸の場合は'''ノボラック'''(novolac)また、塩基の場合は'''レゾール'''(resol)という、重合度のひくい中間生成物ができる。これに効果剤を入れて加熱すると、熱硬化性の'''フェノール樹脂'''(ベークライト)ができる。
 
このフェノール樹脂の合成反応は、付加反応(フェノールとホルムアルデヒドの反応が付加反応)と縮合反応(さきほどの付加反応で生じた2種類の物質がそれぞれ単量体となって縮合していく)が、くりかえし行われて合成される反応なので、'''付加縮合'''(ふかしゅくごう、addition condensation)という。
 
==== ノボラック ====
フェノール樹脂の合成で、フェノールとホルムアルデヒドを反応させるさい、触媒に酸を用いると、'''ノボラック'''(novolac)という鎖式構造の重合分子が得られる。ノボラックは軟らかい固体物質である。このノボラックから重合によってフェノール樹脂ができる。
重合の際、ノボラックに硬化剤としてヘキサメチレンテトラミン(CH<sub>2</sub>)<sub>6</sub>N<sub>4</sub>を加える。
 
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==== レゾール ====
フェノール樹脂の合成で、フェノールにホルムアルデヒドを反応させる際にノボラックとは触媒を変えて、塩基を触媒としてフェノールにホルムアルデヒドを反応させると'''レゾール'''(resol)という鎖式構造の重合分子が得られる。レゾールは液体であり、また、分子構造がノボラックとは異なる。
 
レゾールを加熱すると重合反応が進みフェノール樹脂になる。
 
==== フェノール樹脂の性質 ====
用途フェノール樹脂は電気絶縁材料に用いられている。熱硬化性樹脂である。
アルカリには、やや弱い。
 
フェノール樹脂は、分子構造が、網目の立体構造になっている。
 
商品名でベークライトという名称がある。
 
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=== アミノ樹脂 ===
アミノ基とホルムアルデヒドの付加合によってできる樹脂を<span style="font-size: large;">'''アミノ樹脂'''</span>(amino resin)という。
 
アミノ樹脂には、尿素樹脂や、メラミン樹脂がある。
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:ユリア樹脂ともいう。略称はUFRである。(urea formaldehyde resin)
 
尿素樹脂とは、尿素とホルムアルデヒドを縮合合させたアミノ樹脂である。透明で、また着色性が良い。酸およびアルカリに弱い。
用途は装飾品や電気器具、食器などに用いられる。
 
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:略称はMFR 。(melamimine formaldehyde resin)
 
メラミンとホルムアルデヒドを縮合合。
硬い。無色透明。
用途は装飾品や電気器具、食器などに用いられる。
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ファイル:Bisphenol A.svg|ビスフェノール
File:EpichlorohydrynaEpichlorohydrin for highscool jp.svg|エピクロロヒドリン
Image:Ethylene-oxide-2D.png|エポキシ基
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==== 不飽和ポリエステル樹脂 ====