「高等学校政治経済/政治/保守と革新、右翼と左翼」の版間の差分

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右翼・左翼の特徴について加筆。
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=== 予備知識 ===
※ 検定教科書では、「保守」「革新」の意味を説明せず、教科書に「保守」「革新」という用語を使用している。また、「左翼」「右翼」の意味を説明せず、「左右」などの用語を用いている。(検定教科書の政治的な中立性とも絡んで、説明しずらいのだろうか?)
 
※ 本節では、これから「右翼」「左翼」、「保守」「革新」の用語の意味を説明し、また、自由民主党および日本社会党の大まかな政策傾向について説明する。もし読者が知ってれば、読みとばして、そのまま「55年体制」についての節へと進んで良い。
 
==== 参考: 政策の傾向 ====
政策の分野には、経済・外交・教育・安全保障・医療・科学技術など、様々な政策があるが、日本における各党の政策傾向については、自衛隊の扱い方を基準に考えると、分かり易いだろう。
 
では、まず、大きな政党の、自衛隊の扱い方について、傾向を述べる。
 
* 自由民主党(じゆう みんしゅとう)、略称は「自民党」(じみんとう)
日本の自由民主党は、憲法改正によって自衛隊を軍隊として憲法で正式に認めさせるすることに、他党よりも比較的、積極的である。そもそも、第二次大戦後の自民党の結党の目的のひとつが自衛隊を軍隊として追認させるために憲法改正することであり、現在も改憲を目指している。なお、自民党は'''1955年'''に結成された。
 
また、自民党は、日米安保およびアメリカを同盟国とすることに積極的である。
 
 
* 社民党や民主党について
まず、第二次大戦後のころの日本には「社会党」(しゃかいとう)という、けっこう規模の大きな政党があった。正式名称は「日本社会党」である(「社会党」は略称)。(2016年の時点では、「社会党」「日本社会党」という名称の政党は、日本には存在しない。)
なお、日本社会党は1945年に結成されたが母体となった戦前の政党の対立関係から一時分裂する。'''1955年'''に結成分裂が解消された。
 
この日本社会党は、自衛隊を国防軍のようにする憲法改正には反対であった。自衛隊反対の根拠は、平和主義[[w:非武装中立|非武装中立]]論である。
 
また、アメリカを同盟国となることも、「アメリカの戦争に巻き込まれる」的な理由で、アメリカとの軍事的な連携には消極的・批判的であった。
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なお、現在の「社会民主党」は、その日本社会党の系統の政党である。また、2009年に政権与党にもなった民主党(2016年に「民進党」と改名)には、それ以前に社会党から民主党に移った議員も多かった。
 
==== 「左翼」と「右翼」 ====
自国や自民族が持っている元来の文化、伝統、風習、思想等を重視した政治思想とその支持者のことを'''右翼'''とよぶ。一方、現在の政治・経済のあり方に批判的で、特に国王・貴族・特権層による専制政治や資本主義のあり方に対して変革を求める政治思想とその支持者を'''左翼'''とよぶ。
* 「右翼」(うよく)とは
現代の政治では(日本だけではなく多くの外国でも)、もし(外国からの侵略などに対抗する防衛戦争などで)軍事力が必要とあらば軍事力の行使も躊躇(ちゅうちょ)しない、というような思想を「右翼」(うよく)という。
もしくは、自国に軍事力があることで、自国への侵略戦争を回避できるので、自国の軍事力を肯定的に扱おう、というような立場である。
 
なお、英語でも、右翼思想のことを「right」(ライト)という。みぎ方向をあらわす英単語 right と同じ つづスペルである。左翼思想のことは「left」(レフト)という。ひだ方向をあらわす英単語 left と同じスペルである。
どちらにせよ、「右翼」とは、他の思想よりも、自国の戦争への参加を想定してる。
 
政治学や政策の議論で「右寄り」(みぎより)・「左寄り」(ひだりより)とか言ったら、それぞれ、「右寄り」なら右翼寄りの思想のことであり、「左寄り」なら左翼寄りの思想のことである。
なお、英語でも、右翼思想のことを「right」(ライト)という。みぎ方向をあらわす英単語 right と同じ つづり である。
あるい政治学などで「左右」(さゆう)とか言ったら、右翼と左翼の両方をまとめて言及してるのである。
 
===大まかな右翼・左翼の理念・政策の違い===
{| class="wikitable" style="text-align:center;"
|-
!左翼!!理念・政策!!右翼
|-
|インターナショナリズム||世界観||ナショナリズム
|-
|権利を優先||権利と義務||義務を優先
|-
|国家に対して批判的・懐疑的||国家に対する態度||国家への忠誠を優先
|-
|否定的。<br />権限に制限を加えるか廃止をめざす。||国王・皇帝・天皇||肯定的。<br />場合によっては王の直接政治(親政)を望む。
|-
|検討||伝統に対して||保持
|-
|否定的||軍事力の強化||肯定的
|-
|多様性や変化を認める||家族や郷土に対して||旧来のものを重視する
|-
|侵略戦争または[[w:帝国主義|帝国主義]]戦争||太平洋戦争について(日本)||自国の防衛戦争またはアジアの解放戦争
|-
|場合によっては認める、もしくは全面肯定||妊娠中絶について(米国)||原則として認めない
|}
 
このように、「右翼」「左翼」の分類には色々な要素が絡むので、組み合わせのパターンは複雑である。しかも、各国ごとに「右翼」の経済政策と「左翼」の経済政策が違うし、同じ国であっても時代ごとに「右翼」の経済政策と「左翼」の経済政策とは違う。そのため、きれいに「右翼」「左翼」と分けられないことも珍しくない
* 「左翼」(さよく)
いっぽう、「左翼」とは、なるべく平和的に話し合うことで解決しよう、という立場であり、戦争を起こさないためなら、自国の損失も構わない、のような立場である。そして、「そのような話し合いこそが、戦争を回避するのだ」という立場である。
つまり、右翼と左翼は、安全保障に関しての政策が、反対どうしの立場である。
 
#日本の戦時中の政治体制は治安維持法による言論の抑圧などから、ふつう「右翼」とされる。しかし、経済政策はソ連の五か年計画の影響を強く受けていた(参考:[[w:革新官僚]])。
なお、英語でも、左翼思想のことを「left」(レフト)という。ひだり方向をあらわす英単語 left と同じ つづり。
#環境政策。例えば、ドイツの[[w:同盟90/緑の党|緑の党]]は、結成時には右翼的な環境保護グループが中心となっていたが、のちに学生運動出身の左派グループが合流して成立した(ただし、後に右翼的なグループは党を離脱する)。
 
このように、右翼と左翼が必ずしも対立するわけではなく、場合によってはお互いに協力することさえある。特に右翼と左翼とで考え方が対立することが多いのは、軍事力や民族についてである。
じっさいには、「右翼」「左翼」の分類には、軍事力にくわえて、さらに経済政策なども絡むので、組み合わせのパターンは複雑である。
===軍事力に対する考え方===
しかも、各国ごとに「右翼」の経済政策と「左翼」の経済政策が違うし、同じ国であっても時代ごとに「右翼」の経済政策と「左翼」の経済政策とは違う。
====右翼====
右翼の場合、現代の政治では(日本だけではなく多くの外国でも)、もし(外国からの侵略などに対抗する防衛戦争などで)軍事力が必要とあらば軍事力の行使も躊躇(ちゅうちょ)しない、というような思想を「右翼」(うよ持つことが多い。もしは、自国に軍事力があることで、自国への侵略戦争を回避できるので、自国の軍事力を肯定的に扱おう、という立場である
 
どちらにせよ、「右翼」とは、他の思想よりも、自国の戦争への参加を想定してる。
政治学や政策の議論で「右寄り」(みぎより)・「左寄り」(ひだりより)とか言ったら、それぞれ、「右寄り」なら右翼寄りの思想のことであり、「左寄り」なら左翼寄りの思想のことである。
 
あるい政治学などで「左右」(さゆう)とか言ったら、右翼と左翼の両方をまとめて言及してるのである。
====左翼====
いっぽう、「左翼」とは、なるべく平和的に話し合うことで解決しよう、という立場である。そして戦争軍事力起こさない最小限とする(まは撤廃する)ことでこちらから攻なら、自国の損失も構わ込まないことをアピールする一方軍事力以外力で交渉を有利に進めような立場であとする。そして、「そのよう軍事力に頼ら話し合安全保障政策こそが、戦争を回避するのだ」という立場である。
 
つまり、右翼と左翼は、安全保障に関しての政策が、反対どうしの立場である。
 
===民族観===
====右翼====
右翼の場合、自国の民族の伝統や歴史を重視し、それらを守っていこうという立場である。そして、個人は民族的な文化と伝統によって育まれていることを重視する考え方のため、一人一人の個性よりも、民族が持つ大まかな特徴をとらえようとする。
 
ただし、自民族が他民族に対して<ruby>優越<rt>ゆうえつ</rt></ruby>すると考える極端な思想もある。
====左翼====
左翼の場合、ナショナリズムが戦争につながっていったことに対する反省から、自国の民族を中心に考えるよりも互いに尊重しようという立場をとることが多い。また、民族もまた変化するものであり、個人個人によって差があることを重視するため、「Aという民族はBである」というような[[w:ステレオタイプ|ステレオタイプ]]な民族観には否定的である。
 
==== 「保守」と「革新」 ====
日本では、第二次大戦後、自民党のような政策が、「保守」(ほしゅ)な政策と言われた。いっぽう、社会党のような政策が「革新」(かくしん)な政策と言われた。