「高等学校商業 経済活動と法/契約と意思表示」の版間の差分

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虚偽表示の図。
錯誤、瑕疵ある意思表示
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== 用語の予備知識 ==
・ '''売買'''(ばいばい) - 「売買」とは、日常語の「売り買い」とほぼ同じ意味だが、特に民法でいう売買とは、当事者の一方(売り主)がある財産権を相手方(買い主)に移転することを約束して、相手方(買い主)がその代金を支払うことを約束することによって、その効力を生ずる契約のこと。(民555)
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日常語の「善意」「悪意」とは、法律用語の「善意」「悪意」とは、意味が異なるので、注意のこと。
 
 
== 錯誤 ==
買い主が、ある物を10万円で買うつもりで、契約書に買い値を書くときに、まちがって100万円で買うと書いてしまったとする。このように、真意と表示に違いがあり、そして表意者がその違いに気づいてない場合を'''錯誤'''(さくご)という。
 
別の例をあげれば、買い主が、ある商品Aを買うつもりで、勘違いで、B商品を買うと言ってしまった場合も、錯誤である。
 
このように、思いちがいや言い違いなどによって、真意と表示に違いがあり、そして表意者がその違いに気づいてない場合が、錯誤(さくご)である。
 
 
心裡留保や虚偽表示と異なり、錯誤の場合では、表意者は、真意と表示のくい違いには気づいてない。
 
表意者にだって「だまそう」という意思はないので保護する必要もあるが、いっぽう、相手方だって、なんのマチガイもしてないのだから、相手方も保護する必要がある。
 
そこで民法では、つぎのように、一見すると矛盾するような2つの規定を置いている。
 
:まず、契約の重要な部分(これを「要素」という)の錯誤では、表意者を保護するので、その意思表示は無効とされる。(民95)
:しかし、表意者に重大な過失(これを「重過失」という)があった場合、表意者を保護されず、表意者は無効を主張できない。(民95但書)
 
というような規定を民法では置いている。
 
== 瑕疵ある意思表示 ==
詐欺や強迫をされて物を売ってしまうなど、詐欺や強迫によって行わた意思表示は、取り消すことができる。(民法96(1) )
:(※ 未記述)
 
なお、詐欺とは「だますこと」である。強迫とは「おどすこと」である。
 
詐欺や強迫をされて表示してしまった意思表示のことを'''瑕疵ある意思表示''' (かしある いしひょうじ)という。
 
しかし、加害者が、事情をしらない第三者(善意の第三者)に売ってしまった場合、詐欺や強迫にあった被害者は、はたして、取り消しを請求できるだろうか、というのが、ポイントである。
 
[[File:瑕疵ある意思表示(詐欺).svg|thumb|500px|]]
 
民法では、詐欺の場合、被害者よりも、事情を知らない第三者を優先して保護するので、取り消しの請求ができない。(民法96(3) )
 
いっぽう、強迫の場合、被害者は、第三者に、取り消しの請求をできる。
 
なお、詐欺の場合、被害者のした契約の、真意と表示は一致している。しかし、被害者には錯誤があり、しかもその錯誤の原因が加害者が意図的にダマした事が原因である。
 
:※ 刑法での「詐欺」や「脅迫」とも関わってくるようなので、詳しくは刑法の専門書なども参考するのが良いでしょう。
 
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== まとめ: 意思表示の法律効果 ==
{| class="wikitable"
|+ まとめ: 意思表示の法律効果
!   !! 当事者間の効力 !! 善意の第三者への取り消しの可否
|-
! 心裡留保
|  原則では有効。ただし、<br />相手方に悪意または過失がある場合は無効 ||  できない
|-
! 虚偽表示
|  無効 ||  できない  
|-
! 錯誤
|  無効 ||  できる  
|-
! 詐欺
|  取り消せる ||  できない  
|-
! 強迫
|  取り消せる ||  できる  
|-
|}