「初等整数論/多項式」の版間の差分
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今から一般に変数が1つの多項式を扱う。多項式は <math>P(x)</math> で表す。何が変数なのか明らかな場合は <math>P</math> と省略して書く。
2つの多項式が
つまり <math>P(x) \equiv Q(x)</math> とは <math>P(x)-Q(x)</math> の係数がすべて 0 であることを意味し、<math>P \not\equiv Q</math> は <math>P(x)-Q(x)</math> が 0 ではない多項式であることを意味する。
さて、整数と同様の公理を満たすことを確認しなければならない。
45 ⟶ 46行目:
その前にいくつか他の定理を準備する。
0 ではない多項式の次数、すなわち <math>a_n\neq 0</math> となる最大の <math>n</math> を <math>|A|</math> と表すこととする。(普通は <math>\deg A</math> と書くがここでは省略のためこう書くことにする)
'''定理 i''' <math>|A| > |B|</math> のとき、<math>|A+B| = |A|.</math>
58 ⟶ 59行目:
'''定理 ii''' <math>A(x) \
<math>B = b_mx^m + b_{m-1}x^{m-1} + \cdots + b_1x + b_0 \ \ (b_m \neq 0)</math> とする。
81 ⟶ 82行目:
さていよいよ次の定理を証明する。
'''定理 iii''' <math>A(x)C(x) \equiv B(x)C(x) \wedge C(x) \
よって定理は背理法によって証明される。
224 ⟶ 221行目:
多項式 <math>A(x) = a_nx^n + a_{n-1}x^{n-1} + \cdots + a_1x + a_0</math> について、
<math>A(x) = 0</math> が恒等式 <math>\iff A(x)\equiv 0\iff a_n = 0 \wedge a_{n-1} = 0 \wedge \cdots \wedge a_1 = 0 \wedge a_0 = 0.</math>
'''証明'''<br />
295 ⟶ 292行目:
====== 定理 5 ======
'''証明'''<br />
仮定より <math>L = A'B = AB'</math> とおける。<math>AB</math> は公倍多項式なので、定理 3 より <math>AB = DL \cdots (1)</math> とおける。
<math>G \, | \, A, B \iff DE \, | \, DA', DB'</math> となる。ここで、
<math>L = EA''B = EB''A</math> を得る。ここで <math>|E| > 0</math> とすれば、<math>A''B = B''A</math> が公倍多項式となり、<math>L</math> の最小性に反する。従って <math>E</math> は定数項となり、<math>E = e</math> とおけば (2) より <math>G = eD.</math> (1) より
309 ⟶ 306行目:
====== 定理 6 ======
<math>A, B</math> が互いに素で
'''証明'''<br />
仮定より <math>BC</math> は <math>A, B</math> の公倍多項式。定理 3 より <math>
よって定理 iii より <math>A \, | \, C.</math>
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注意 : 係数比較の定理は、有理数や実数上、あるいは代数体上では正しいが、有限体上ではかならずしも正しくない。すなわち有限体上では値がつねに 0 であるが、多項式として 0 ではないものが存在する。そのため、一般に多項式と、多項式の表す関数(多項式関数)は区別しなければならない。
[[Category:初等整数論|たこうしき]]
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