「著作権法/概論」の版間の差分

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→‎建築の著作物: 「見なす」により言葉を濁している場所を修正。その前の「建築物としての保護を与えられる」とも符合しない。また形式としては決定であって判決ではない。
美術の原作品の所有者の権利、コンピュータ修理のための複製 、障害者福祉のための利用、・・・など
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しかし例外的に、俳句の1句ていどの場合、その句全体を引用する事は許される。俳句の一部分を取り出しても、作品としての意味をなさないからである。
 
引用は、かならずしも必要最低限でなくてもかまわない、とする判決がある。(<脱ゴーマニズム宣言事件>東京地判平11・8・31判時1702・145)原著者の、引用は最小限とするべき、という主張をしりぞけた判決である。しかし学説では、この判決には批判的な意見もついており、けっして引用者が主観的に限度を設定できるわけではないだろう、という批判の学説もある。(高林龍『標準 著作権法』(有斐閣)などで、そのような批判学説が紹介されている。)
 
 
== 美術の原作品の所有者の権利 ==
* 予備知識
美術の原作品を売買したり、写真の原作品を売買しても、あるいは売買でなく譲渡しても、著作権者は、原作品を創作した人物に著作権があるままである。
 
たとい、画廊などで展示しているような絵画作品の原作品の売買であっても、著作権者は創作した本人のままである。
 
* 本題
さて、著作権法25条による展示権の原則では、著作権者が展示権を有するが、しかし、原則どおりでは、原作品を購入するなどして適法に入手した者が、画廊で展示できなくなってしまう。
 
そこで例外的に、屋内での展示なら、著作権者の許可なくして展示できるというような規定が著作権法46条にある。しかし、屋外での展示には、著作権者の許諾が必要である。なお、このような許諾ない展示ができる場合の要件は、あくまで「原作品」であるのが要件である。
 
つまり、複製品は、第46条の範囲外。(※ 参考文献: 有斐閣『著作権法』、中山信弘)
 
なお、屋外の著作物については、一般公衆が写真を撮影したり写生するなどの利用をできる権利が、著作権法46条で認めらている。なので、著作権者がいったん屋外展示を許諾してしまうと、かなり広範な権利を一般公衆に与える事になる。
 
== コンピュータ修理のための複製 ==
パソコンを修理業者に頼んで修理する際、修理業者は、いったんパソコン内のデータやプログラムを複製する必要がある可能性がありうる。
もし、パソコン内のデータやプログラムに他人の著作物があれば、修理業者は、その著作物を無断で複製する事になる。
 
コンピュータの修理のためなら、そのコンピュータ内の著作物を、修理のあいだ、一時的に複製する事は合法である。(著作47条の3)
 
著作権法では、原則的には他人の著作物は複製できないが、しかし例外的にいくつかの場合、複製が認められてる。
 
 
== 障害者福祉のための利用 ==
視覚障害者のために、著作物を点字化する場合がある。著作権法では、点字化は「複製」である、と扱われる。つまり、点字化をする行為には、創作性は無い、と扱われている。
 
:(※ 調査中) 著作権法第37条で、障害者の福祉利用の場合について、例外的な配慮が定められているようだ。 ※ しかし、私がまだ調査中。(詳しい人がいれば、ぜひWikibooksのこの教科書の執筆に協力ください。)
 
※ 私が何が分からないかというと、以下の点。
:<br /> 点字化による複製は合法らしい。まあ意図は分かる。しかし、それが脱法的な複製の抜け穴に使われないだろうか?というのが私の疑問。あるいは、目的外利用を禁じる規定でも、あるのだろうか?
 
 
聴覚障害者のために映像著作物などに手話を追加したりすることも、著作権法では「複製」として扱われる。
 
著作権法では、手話の追加についても、聴覚障害者のためとして、例外的な便宜がされている。
また、字幕の追加が、聴覚障害者のためとして、著作権法37条にて便宜がされている。2000年(平成21年)に、聴覚障害者のための字幕についての規定が著作権法に加わった。
 
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