「高等学校化学I/化学結合」の版間の差分

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表を追加。イオンの名称とイオン式の表。
電子式
166 行
 
 
* イオン結晶の物質例
== 共有結合 ==
 
 
;酸化銅 CuO
構成している原子と価数
:Cu<sup>2+</sup> と O<sup>2ー</sup>
 
 
;炭酸カルシウム CaCO<sub>3</sub>
構成している原子と価数
:Ca<sup>2+</sup> と CO<sub>3</sub><sup>2ー</sup>
 
 
;硫酸アンモニウム (NH<sub>4</sub>)<sub>2</sub>SO<sub>4</sub>
構成している原子と価数
:NH<sub>4</sub><sup>+</sup> と SO<sub>4</sub><sup>ー</sup>
 
 
;塩化アルミニウム Al<sub>2</sub>Cl<sub>3</sub>
構成している原子と価数
:Al<sup>3+</sup> と Cl<sup>ー</sup>
 
 
== 分子と共有結合 ==
H<sub>2</sub>やO<sub>2</sub>やH<sub>2</sub>O のように、いくつかの原子が結びついてできたものが'''分子'''(molecular)である。
 
=== 共有結合 ===
一般に同種の非金属原子どうしが近づくと(たとえば水素原子どうしが近づくと)、各原子の電子軌道上にある電子を共有することができる。(ただし、共有できる原子数には限りがある。)
このような結合を'''共有結合'''(covalent bond)という。
 
:(※ 範囲外 ) なぜ、このような共有結合の現象が起きるかというと、原子規模の物理法則では、物質が狭い場所に押し込められると不安定になり広がろうという不確定性原理とよばれる性質を持つことに由来する。その不確定性原理による広がりの力が、電子どうしの反発力に勝る場合、複数の原子が、電子を共有する現象が起こる。<br />(不確定性原理の証明は、高校レベルでは困難なので、読者が高校生や中学生なら、ここでは不確定性原理の名前と概略を知っているだけで良い。)
 
共有結合は、おおむね、以下のような仕組みである。
例として、水素分子での水素原子どうしの結合で説明する。
 
# 水素原子が近づく。
# それぞれの原子核は、相手原子の'''価電子'''(かでんし、valence electron)を引き合う。
# 価電子は、もとの原子を引き付けるから、結局、電子を仲立ちとして、原子核どうしが近づく。原子核どうしが近づいた結果、電子軌道の一部は共有されるので、電子殻の一部が共有される。
# 共有された電子殻の一部では、水素原子の合計2個の価電子は1対になっている。このように価電子が対になったものを'''電子対'''(でんしつい,electron pair)という。
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対電子は、なにも結合だけではなく、1個の原子の電子殻上でも、価電子が多い場合は、対電子が生じる。
たとえば、L殻の原子では、5個の価電子を持つN原子は1組の電子対をもつ。6個の価電子を持つO原子は2組の電子対をもつ。7個の価電子を持つF原子は3組の電子対をもつ。比較のため、同じL殻のC原子を例に出すと、4個の価電子を持つC原子は0組の電子対をもつ。
 
=== 電子式 ===
<gallery widths=100px heights=100px>
ファイル:Lewis_dot_H.svg|
ファイル:Carbone lewis.svg|
File:窒素の価電子.svg|
ファイル:Lewis_dot_O.svg|
</gallery>
 
上図のように、元素記号のまわりに、最外殻電子を・で表した図のような化学式を'''電子式'''という。
 
 
=== 孤立電子対 ===
189 ⟶ 231行目:
電子対は、必ずしも全てが結合に寄与するわけではない。結合に寄与する電子は、他の原子の価電子と対を作る場合のみである。したがって、同じ原子内の電子どうしで対を作っている場合は結合に寄与しない。このような同じ原子内の価電子どうしで対を作っている電子対を'''孤立電子対'''(こりつでんしつい,lone pair)という。
 
=== 不対電子 ===
電子はなるべく軌道が広がったほうが安定であるから、電子殻上の電子はなるべく広がろうとする。その結果、1個の原子では、対を作らない価電子が出てくる。これを'''不対電子'''(unpaired electron)という。
たとえばL殻の原子では、4個の価電子を持つ炭素原子Cは不対電子を4個もつ。5個の価電子を持つ窒素原子Nは不対電子を3個もつ。6個の価電子を持つ酸素原子Oは不対電子を2個もつ。7個の価電子を持つフッ素原子Fは不対電子を1個もつ。
207 ⟶ 249行目:
なお、このような共有電子対を表す線を'''価標'''(かひょう,bond)という。
 
 
* 共有結合:
一般に原子が近づくと、各原子の電子軌道上にある電子を共有することができる。(ただし、共有できる原子数には限りがある。)
このような結合を'''共有結合'''(covalent bond)という。
電気陰性度がある程度高く、また電気陰性度が同じくらいの原子の結合で、共有結合が生じるのが一般的である。
 
なぜ、このような共有結合の現象が起きるかというと、原子規模の物理法則では、物質が狭い場所に押し込められると不安定になり広がろうという不確定性原理とよばれる性質を持つことに由来する。その不確定性原理による広がりの力が、電子どうしの反発力に勝る場合、複数の原子が、電子を共有する現象が起こる。
(不確定性原理の証明は、高校レベルでは困難なので、読者が高校生や中学生なら、ここでは不確定性原理の名前と概略を知っているだけで良い。)
 
複数の原子が電子を共有した結果、軌道も共有する。
 
== 多重結合 ==
297 ⟶ 329行目:
 
なおイオン結合は、電気陰性度の差が大きくて、電子対が完全に一方の原子に移動したものと考えることができる。
 
また、共有結合は、電気陰性度がある程度高くまたさらに電気陰性度が同じくらいの原子の結合で、共有結合が生じるのが一般的である。
 
 
=== 分子の極性 ===