「高等学校生物/生物I/細胞とエネルギー」の版間の差分
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:※ 個人的意見?: 実際には、呼吸などの異化で生産されたエネルギーを用いて、その生物自身の体内で使う何らかの素材を生産する同化を行っていたりするように、異化と同化の関係は、 |
ATPを節「異化(いか)と同化(どうか)」よりも先に紹介。異化・同化は後回しに。 |
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== 代謝とATP ==
[[File:異化と同化.svg|thumb|400px|同化と異化。]]▼
呼吸や消化など、生体内で行われる化学反応をまとめて'''代謝'''(たいしゃ、metabolism)という。
代謝のうち、複雑な物質を分化してエネルギーを取り出すことを'''異化'''(いか、catabolism)という。呼吸は異化であり、有機物を分解して水と炭素にしている。▼
いっぽう、代謝のうち、合成する反応のことを'''同化'''(どうか、anabolism)という。同化の目的は、たとえばエネルギーを蓄えたり、あるいは体を構成する物質を生産するために行われる。例として、光合成における糖の合成は、同化である。▼
ふつう同化では、簡単な構造の物質を材料に、複雑な構造の物質が作られる。エネルギーが同化をするために必要である。したがって反応に用いたエネルギの一部は、合成した物質に吸収されている。▼
同化によって合成物に吸収されたエネルギーを取り出して使うには、呼吸などの異化を行って分解する必要がある。▼
同化のうち、二酸化炭素などの炭素無機物から有機物を合成することを'''炭酸同化'''という。多くの植物は、光合成による炭酸同化によって有機物を合成している。▼
同化のうち、タンパク質などの窒素化合物を合成することを'''窒素同化'''(nitrogen assimilation)という。▼
:※ 個人的意見?: 実際には、呼吸などの異化で生産されたエネルギーを用いて、その生物自身の体内で使う何らかの素材を生産する同化を行っていたりするように、異化と同化の関係は、入り組んでいる。また、同化で生産した素材が、いずれ異化で消費される場合もある。▼
:このため、(高校生物の教科書での「異化」と「同化」の分類のように、)単にエネルギーに注目することで分類するのが良いだろう。代謝の分類において、特別な事情のないかぎり、とりあえずエネルギーを放出するのを異化と分類して、エネルギーを蓄積するのを同化と分類する、・・・というワケである。▼
=== ATP ===
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細胞内でのエネルギーのやりとりには、仲立ちとして'''ATP'''( '''アデノシン三リン酸'''、adenosine triphosphate)が用いられる。
ATPの構造は、'''ADP'''('''アデノシン二リン酸''')という物質に'''リン酸'''が結合した構造である。
ADPにリン酸を結合させる際、エネルギーが必要になる。結合によって合成されたATPは安定であり、エネルギーを蓄えることができる。そして異化によってATPのリン酸結合が切れてADPとリン酸に分解される際に、エネルギーを放出する。
呼吸など異化(いか)の際に、ADPとリン酸からATPを合成している。(「異化」については、のちの節で後述する。) ATPは、アデノシンという物質に、直列に3つのリン酸がついている。ATPでのリン酸どうしの結合のことを'''高エネルギーリン酸結合'''といい、リン酸間の結合が切れるときにエネルギーを放出する。
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ATPのエネルギーの利用先は、生体物質の合成のほかにも、筋肉の収縮や、ホタルの発光などにも、ATPのエネルギーは用いられている。
[[File:Atpadp.jpg|thumb|300px|center]]
=== 異化(いか)と同化(どうか) ===
▲[[File:異化と同化.svg|thumb|400px|同化と異化。]]
▲代謝のうち、複雑な物質を分化してエネルギーを取り出すことを'''異化'''(いか、catabolism)という。呼吸は異化であり、有機物を分解して水と炭素にしている。
▲いっぽう、代謝のうち、合成する反応のことを'''同化'''(どうか、anabolism)という。同化の目的は、たとえばエネルギーを蓄えたり、あるいは体を構成する物質を生産するために行われる。例として、光合成における糖の合成は、同化である。
▲ふつう同化では、簡単な構造の物質を材料に、複雑な構造の物質が作られる。エネルギーが同化をするために必要である。したがって反応に用いたエネルギの一部は、合成した物質に吸収されている。
▲同化によって合成物に吸収されたエネルギーを取り出して使うには、呼吸などの異化を行って分解する必要がある。
▲同化のうち、二酸化炭素などの炭素無機物から有機物を合成することを'''炭酸同化'''という。多くの植物は、光合成による炭酸同化によって有機物を合成している。
▲同化のうち、タンパク質などの窒素化合物を合成することを'''窒素同化'''(nitrogen assimilation)という。
▲:※ (個人的意見? :) 実際には、呼吸などの異化で生産されたエネルギーを用いて、その生物自身の体内で使う何らかの素材を生産する同化を行っていたりするように、異化と同化の関係は、入り組んでいる。また、同化で生産した素材が、いずれ異化で消費される場合もある。
▲:このため、(高校生物の教科書での「異化」と「同化」の分類のように、)単にエネルギーに注目することで分類するのが良いだろう。代謝の分類において、特別な事情のないかぎり、とりあえずエネルギーを放出するのを異化と分類して、エネルギーを蓄積するのを同化と分類する、・・・というワケである。
=== 独立栄養生物と従属栄養生物 ===
植物のように、外界から水H<sub>2</sub>Oや二酸化炭素CO<sub>2</sub>などの無機物および、光などのエネルギーだけを取り入れて、生存できる生物を'''独立栄養生物'''(どくりつえいようせいぶつ、autotroph)という。
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従属栄養生物も炭酸同化や窒素同化などの同化を行っているが、それら従属栄養生物の行う同化のもとになる材料の物質は、有機物であって無機物でない。
=== 代謝と酵素 ===
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