「中学校理科 第1分野/物質のすがた」の版間の差分
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== 身の回りの物質 ==
我々の身の回りには様々な物がある。例えば、教科書やノートなどの本は紙でできており、机や椅子などの家具のうち多くは、木でできている。他にも物を作るための材質としてプラスチックや金属があるが、金属はどれも同じなのではなく、それぞれが異なった性質を持つ。例えば、[[w:鉄]](てつ)や[[w:銅]](どう)、[[w:アルミニウム]]ではそれぞれ色が異なっている。
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この記事では、物質の性質について学び、物質どうしで共通な部分とそうでない部分について学習する。物質の性質としては、上であげた色という性質以外にも、[[w:密度]](みつど)、[[w:電気伝導度]](でんきでんどうど)、[[w:融点]](ゆうてん)、[[w:沸点]](ふってん)などがあげられる。ここではそれらの性質の定義と代表的な物質での傾向についても後に解説する。
== 物質のすがた ==
ここでは物質の性質について調べる。まず上であげた物質の性質について簡単に解説する。最初にここで扱う物質の分類について説明する。
物質の中にはいくつかの物質が混ざってできているものがある。 例えば、空気は[[w:酸素]](さんそ)や[[w:窒素]](ちっそ)などいくつかの気体が混ざってできている。このようにいくつかの物質が混ざってできている物質のことを[[w:混合物]](こんごうぶつ、mixture)と呼ぶ。いっぽう、混合物でなく、混じりけのない物質のことを[[w:純物質]](じゅんぶっしつ、pure substance)と呼ぶ。
<!--純物質の中にはある手順を取ることで更に分解できる物質があるが、その物質が純物質であるためには、この手順は必ず[[w:化学変化]]を含んでいる必要がある。-->
純物質についての詳細は、化学変化を扱う項で説明する。
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* 有機物の例
: 砂糖、紙、木、プラスチックなどがある
有機物は、加熱すると、こげる。加熱した有機物の周囲の気体は、二酸化炭素をふくむので、石灰水の入った集気びんなどで集めて、びんをふって石灰水にまぜれば、白くにごる。
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いっぽう、ガラスや食塩などのように炭素を含まない物質や、燃えても二酸化炭素をふくむ物質を出さない物質を無機物(むきぶつ inorganic compound)という。
* 無機物の例
: 鉄(スチールウール)、水、ガラス、食塩、アルミウム、(二酸化炭素)などがある
二酸化炭素じしんは、無機物に分類するのが普通である。
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有機物は、生き物の体内でなくても、科学実験で、人の手によって人工的に合成できる。1828年にウェーラーによって、尿素(にょうそ)が世界で初めて人工的に合成された。それ以前は、有機物は、生き物の体内でないと、つくれないと思われていた。
==== プラスチック ====▼
▲====プラスチック====
[[File:Plastic bottle.jpg|thumb|150px|ペットボトル容器(画像の左側)の例。右上の試験官のような形のものを金型で圧延して、ボトルの形にしている。]]
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中学校で有機物として習うようなプラスチックは、つまり、ポリエチレン・ポリスチレン・ポリエチレンテレフタラート・ポリプロピレン・ポリ塩化ビニルは、燃やすと二酸化炭素が出てくる。これらのプラスチックを燃やして出た気体を集気ビンなどで集め、石灰水に通すと、二酸化炭素をふくむため、石灰水は白くにごる。
また、プラスチックは一般に熱や電気を通しにくい性質をもっている
[[File:LDPE_bottle.jpg|thumb|100px|ポリエチレンの容器.]]
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: 密度 = 質量/体積
:: ※ 上式での「/」の意味は、「分子/分母」である。
密度は形状などによらず、同じ物質なら、密度は一定である。このため、ある物質の質量と体積は比例する。
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同じ体積の紙と銅を用意し、その重さの違いを確かめよ。重さの違いを確かめるには[[w:天秤]](てんびん、balance、バランス)などを利用することができる。
; 密度について
密度はあらゆる物質が持つ量であり、その値は物質によって非常に異なっている。水のような液体や、空気のような気体の密度は通常固体の密度よりも小さい。すぐ後で扱うが、多くの物質は温度(と圧力)によって、その状態を"気体"、"液体"、"固体"に変化させる。このとき、物質の状態変化に伴って、物質の密度はこの順に大きくなることが普通である。つまり、ほとんどの物質で、固体の密度がもっとも大きく、つぎに液体の密度が大きく、気体の密度はもっとも軽い。
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* いろいろな物質の密度
: (温度をしめしていない物は、20℃での密度の値)
{| style="width:100%"
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=== 天びんの使い方 ===
* 上皿てんびん
[[ファイル:Balance de type Beranger 1kg.jpg|上皿天秤|thumb]]
[[ファイル:Balance (PSF).jpg|thumb|上皿天秤に分銅を追加する図。<br />図では、薬包紙が見えませんが、理科の実験では、粉を乗せる時は薬包紙を使ってください。]]
: (※ 日本の中学校で使うような上皿てんびんの画像を募集中。だれか撮影するか描くかして作ってください。)
質量を測定するときは、'''上皿天びん'''(うわざらてんびん)などの'''天びん'''(てんびん)を用いる。
; 上皿天びんの操作方法
物質の質量を測定する場合は、片側に被測定物をのせ、反対側に分銅を載せる。分銅を質量の基準とする。
両方の皿の釣り合いを見て、質量を判断する仕組みである。
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===気体の性質===
==== 気体の集め方 ====
; 水上置換法
[[File:水上置換法svg.svg|thumb|300px|気体の集め方における、水上置換法。集気ビンは、水で満たしておく。集め始めの、最初のほうの気体には、空気がまざっているので、最初のほうの気体は集めない。]]
科学実験で発生させた気体を集める場合、気体が'''空気よりも軽い'''物質の場合は、空気中を上昇していくので、補集用のフラスコなどは'''下'''向きにして集める必要がある。
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水に溶ける物質でも、'''溶けにくい'''物質ならば、水上置換法で集める場合もある。
; 上方置換法
空気よりも'''軽い'''気体を集める場合で、'''水に溶けやすい物体を集める場合'''や、水に溶けにくい気体でも水に溶かしたくない場合などは、水を使わない方法で集める必要がある。フラスコの開いた口を'''下'''向きにし、そのフラスコの内部にガラス管などで気体を導く。このとき気体を導くための管は、フラスコの奥の上の方まで入れる必要がある。このような集め方を'''上方置換法'''(じょうほうちかんほう)という。
; 下方置換法
空気よりも軽い気体を集める場合は、補集用のフラスコなどは、開いた口を上向きにして集める必要がある。
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===== 二酸化炭素 =====
[[File:二酸化炭素の合成実験 svg.svg|thumb|400px|化学実験における、二酸化炭素の合成実験での、装置の組立て図。]]
* 作り方の一例
: 石灰石に、うすい塩酸をくわえると、作れる。石灰水のかわりに、貝殻や卵の殻、大理石やチョークを用いても良い。石灰石は、炭酸カルシウムという物質で出来ている。この炭酸カルシウムと塩酸が反応することで二酸化炭素が出来る。
:: <big>石灰石 + うすい塩酸 → 二酸化炭素</big>
*その他の作り方
性質
*:
*:
*:
* 関連事項など
二酸化炭素(にさんかたんそ、carbon dioxide、カーボン・ダイオキサイド)は、空気中に0.03%程含まれる気体であり、酸素原子に炭素原子が2つ結合した分子からなる気体である。二酸化炭素は我々に取って身近な気体である。我々は呼吸をする際、酸素を吸収して二酸化炭素を排出している。これは我々が食物からエネルギーを取り出すさいに酸素を消費すると同時に、二酸化炭素を排出することと対応している。一方、植物は[[w:光合成]](こうごうせい、photosynthesis、フォウトー・シンセシース)によって二酸化炭素を吸収しつつ、酸素を排出する。これは呼吸と逆の反応である。光合成について詳しくは、[[中学校理科 第2分野]]を参照。
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その他の作り方
※ 製品表示に「まぜるな危険」と書いてある漂白剤や洗剤などは、まぜてはいけない。有毒な気体が発生する恐れがある。
酸素の集め方
魚などの水中の生き物は、水に、わずかに溶けている酸素を呼吸している。
===== 水素 =====
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作り方
*:
集め方
性質
===== アンモニア =====
353 ⟶ 351行目:
アンモニアの作り方
*:
*性質
*:
::(※ 画像を募集中。フェノールフタレイン溶液での噴水実験の説明図を、募集中。)
===== 窒素 =====
374 ⟶ 372行目:
性質
===== 空気 =====
大気中の空気は、主に、80%ちかくは窒素であり、
==== その他の気体 ====
危険な性質のため、中学校では実験をして生成する機会は無いが、他にも知っておくべき気体がある。
* 二酸化硫黄
* 塩素
プールの消毒剤や、水道水の消毒にも、塩素が用いられている。
* 塩化水素
* 一酸化炭素
不完全燃焼をふせぐため、物を燃やすときには、換気をする必要がある。
* メタン
* プロパン
都市ガスもプロパンガスも、主成分のメタンやプロパンそのものには、においが無い。ガスもれを気づきやすくするという、安全上のため、いやな臭い(におい)がつけてある。
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メタンは空気よりも軽いので、ガスが漏れたときは、上のほうに たまる。プロパンは空気よりも重いので、ガスが漏れたときは、下のほうに たまる。
* ブタン
{| class="wikitable"
450 ⟶ 448行目:
|-
| 塩化水素 || ない || 刺激臭 || 1.53 g / L <br />(空気の約1.3倍) || とても溶けやすい。<br />水溶液は酸性であり、塩酸である。 || 水溶液は酸性なので、赤色リトマス紙を青くする。
|}
456 ⟶ 453行目:
=== 水溶液の性質 ===
砂糖を水に溶かすと砂糖水ができる。食塩を水に溶かすとこのとき、食塩水ができる。
:溶質(ようしつ) ・・・ 水にとかした砂糖や食塩のように、水に溶けている物質を'''溶質'''(ようしつ、solute、ソリュート)と
:溶媒(ようばい )・・・ 砂糖水や食塩水での、水のように、溶質
:溶液(ようえき) ・・・ 溶質が溶媒に溶けた液を'''溶液'''(ようえき、solution、ソリューション)という。砂糖水や食塩水は溶液である。
:水溶液(すいようえき) ・・・ 溶媒が水の溶液を'''水溶液'''(すいようえき、aqueous solution)という。砂糖水や食塩水は水溶液である。
* 水溶液の性質
:
:
:* 水溶液は放置しても、温度が変わらなければ、溶質は溶けたままであり、透明なままであり、溶質がしずんだりしないし、にごったりもしない。
:
:
たとえば何も溶かしていない水100gが入ってるビーカーに、食塩を20gくわえて溶かすと、食塩水の水溶液の重さは120gになる。(なお、水100gに対し、温度20℃では食塩は37gくらいまで溶ける。) たとえ、溶質を多く くわえすぎて、溶けのこりが出ても、ビーカー内の重さは はじめの水の重さと加えた溶質の重さの合計であり、質量は失われない。
[[File:Paper filter folding and filtration.JPG|thumb|ろ紙は、折って、ろうと台に入れて、用いる。]]
:
:
:
* ろ紙の使い方
ろ紙の選び方は、折って開いたあとに、ろうとの8分目ぐらいの大きさになる物をえらぶ。
489 ⟶ 488行目:
::(※ 画像を募集中。ろ紙の折り方・使い方を説明する画像を、だれか描いてください。)
:
:
:
{{コラム|コラム: コロイド溶液|
506 ⟶ 505行目:
コロイド溶液を、無理に水と粒子に分けるには、遠心分離機(えんしん ぶんりき)という装置を使います。(※ 遠心分離機の装置が高度なので、中学生は、実験しなくていい。)
}}▼
▲}}
=== 質量パーセント濃度 ===
水溶液の溶質の濃さを数値化したものを'''濃度'''(のうど、concentration、コンセントレイション)と言う。
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である。
=== 飽和と溶解度 ===
ある物質を一定量の水に溶かしていき、その物質がもうこれ以上は溶けきれなくなったときのことを'''飽和'''(ほうわ、saturation、サチュレイション)という。
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|-
| 水酸化カルシウム || 0.14 || 0.13 || 0.11 || 0.09 || 0.07 || 0.05
|}
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水に限らず、物質は温度によって、状態が変わり、固体(こたい)、液体(えきたい)、気体(きたい)の三種類のうちのいずれかをとる。
食塩(塩化ナトリウム)は約800℃で液体になる。鉄は約1500℃で液体になる。窒素は約
食塩を融解させる実験はふつうの試験管では出来ない。耐熱試験管やルツボなどを用いる必要がある。
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一度、使用した沸騰石は再利用してはいけない。沸騰石が突沸を防止できるのは最初の一回だけである。また、長期間、液体につけた沸騰石も能力を失う。
=== 物質の融点と沸点 ===▼
▲===物質の融点と沸点===
ここでは物質の[[w:沸点]]と[[w:融点]]について説明する。物質は温度や圧力を変化させることで"気体"(きたい、gas、ガス)、"液体"(えきたい、liquid、リキッド)、"固体"(こたい、solid、ソリッド)の間を移り変わることが知られている。
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凝固点で凝固が開始しない場合に、凝固を開始させないように静かに冷却を続けていくと、凝固点より低い温度でも、液体でいられる。この現象を'''過冷却'''(かれいきゃく、supercooling、スーパー・クーリング)という。
== 電気的な性質 ==
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