「高等学校物理/物理II/電気と磁気」の版間の差分

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さきほどの磁性体と化学の電子軌道の関連を、「※ 範囲外: スピンと磁性体」として独立した節にまとめた。
== ※ 範囲外: 「強誘電体」と圧電体 == 「磁性体に『強磁性体』があるのなら、誘電体にも『強誘電体』があるのか?」のような疑問は、とうぜん、思うだろう。 チタン酸鉛 <ce>PbTiO3</ce> や
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元素や分子の種類によって、磁性のちがいがある理由として、化学結合での電子軌道に原因があると考えられてる。
 
化学の教科書の発展事項に、「s軌道」や「p軌道」などの理論があるが、この理論で、その理由を説明できるとされている。なお、答えを先にいうと、「d軌道」の特徴が、磁性の原因である。(証明は省略する。)

もともと、(化学結合で電子殻(でんしかく)に発生することのある)孤立電子には磁性があり、その磁性が電子が2個そろって(孤立でなくなり)電子対になる事で、磁性が打ち消しあっていると考えられる。なお、孤立電子がもともと持っている磁性のことを'''スピン'''という。よく化学の理論では、スピンを上矢印「↑」と下矢印「↓」の2種類であらわす事が多いのだが、その理由は、もとをたどれば、そもそも磁石の向きが2種類(たとえばN極とS極という2種類の極がある)だからである。
 
電子殻とは、化学Iの始めのほうでも習う、「K殻は8個の電子が入る」とかの、アレのことである。
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:* しかし、化学反応によって孤立電子は、化学結合として、すぐに周囲の分子や原子と結合してしまうので、孤立電子ではなく電子対になってしまい、2個の反対方向の磁性をもった電子対が、磁性を打ち消しあう。おそらく、このような理由により、多くの(化学結合の結果である)物質は、外部磁場との相互作用が弱い物質が多く、強磁性となる元素や分子の物質は少なく、多くの元素や分子の物質は常磁性または反磁性になってしまうであろう。
・・・である。
 
== ※ 範囲外: 「強誘電体」と圧電体 ==
「磁性体に『強磁性体』があるのなら、誘電体にも『強誘電体』があるのか?」のような疑問は、とうぜん、思うだろう。
 
チタン酸鉛 <ce>PbTiO3</ce> や、ニオブ酸リチウム <ce>LiNbO3</ce> が、「強誘電体」に分類される場合もある。
 
しかし、強磁性体が磁気テープや磁気ハードディスクなどの記録メディアに用いられている状況とは異なり、「強誘電体」は記録メディアには用いられていない。過去には、そのような「強誘電体メモリー」を目指す研究開発もあったが、しかし2017年の時点では、まだ「強誘電体メモリー」のようなデバイスは実用化していない。
 
しかし、他の用途で、これらの物質は産業に実用化されている。
 
チタン酸鉛やニオブ酸リチウムは、この物質に圧力をくわえると電圧が発生する事から、圧電体(あつでんたい)という素子として活用されている。
 
なお、これらの圧電体に、電圧をくわえると、物質がひずむ。
 
このため、圧電体に交流電圧を加えることで、圧電体が短時間で何回も周期的に振動することにより、圧電体の周囲にある空気も振動させる事ができるので、超音波を発生するための素子として、すでに実用化されている。
 
 
なお、ある種類の物質が、圧力をくわえると電圧が発生する現象が起きる物質の場合、そのような性質のことを圧電性(あつでんせい)という。
 
 
== 半導体 ==
ケイ素 Si やゲルマニウム Ge は、導体と絶縁体の中の抵抗率をもつことから、ケイ素やゲルマニウムなどは半導体と言われる。
 
この半導体の結晶に、わずかに、リンPなどの不純物を入れることで、抵抗率を大きく下げられる。