「大学生活ガイド/理系」の版間の差分

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また、定期テストの後の復習は、評価されません。大学受験ではありませんので、定期テスト本番(あれば追試)で合格点を取らないと、どんなに勉強熱心に復習をする人でも、不合格と
2016年5月15日 (日) 14:26‎ 126.27.62.185 が削除した記述を復活。彼の主張内容は、数学科と情報工学科など、数理系のごく一部の学科でしか成り立たない主張をしているので。
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また、文科系の博士課程の場合だと、卒業時の年齢の高さ(30歳近く)等の理由により、一部業種では敬遠される可能性があります。しかし、理系の修士課程では、そういう事はありません。
 
 
 
== 履修科目の選択 ==
大学では、必修科目のすべてを履修するとともに、選択科目を規定の単位数以上履修する必要があります。選択科目のどれを何単位履修すべきか、という規定を自分でよく理解し、その規定に沿うように選択する必要があります。科目ごとの単位数は明示されているはずですが、授業時数が同じならば異なる科目でも同じ単位数を取得することになるのが普通です。つまり、むずかしい科目に合格しようが、簡単な科目に合格しようが、授業時間の量が同じなら、合格でもらえる単位数も同じということです。
 
理系は文系と比べて必修科目が多い傾向にありますので、専門外の科目を履修するには限度があります。この現状は広く教養を身につけるという観点では不適切なのですが、修士までのわずか6年間で高度な専門教育をしなければいけない中ではしかたないのかもしれません。
 
=== 第二外国語について ===
多くの大学で第二外国語が必修です。何語を選択するかについて、理系の読むべき文献は英語以外ではドイツ語が多い、ただし数学ならフランス語が多い、いやこれからビジネスに役立つのは中国語だ、などいろいろと言われることがありますが、特に理系の学生の場合、第二外国語が使えるレベルでものになることはほぼ期待できませんので、好きなものを履修すればよいです。どうせ、たかが学校で週に2時間程度習ったくらいでは、流暢な語学なんて身につきません。英語ですら、中学高校あわせて6年間も学んでも、なんとか英語文献を読めても、自分で英語で書いたり話したりするとなると、とても難しいのです。ましてやドイツ語やフランス語なんて、まず、書いたり話したりするようになれるのは絶望的です。また、せっかく第二外国語をより深く習得しても、実用性はかなり限定的です。
 
以下に、各言語の大まかな特徴を述べます。
* ドイツ語
ドイツ語は、英語より文法が難しいものの、フランス語よりは文法がかなり簡単です。また、ドイツ語の単語は、歴史的経緯から比較的英語に近いです。すくなくともロシア語と英語の遠近と比べたら、はるかにドイツ語は英語に単語が近いです。また、単語の発音はローマ字通りに近いので、そういう意味でもなじみやすいでしょう。医療系などの学部や学科では、第二外国語にはドイツ語を必修にしている場合もあります。昔の医学用語で、ドイツ語に由来する用語が多いからです。明治以降の近代の大学教育で、ドイツ語が第二外国語として必修的に教育されてきたという歴史もあり、教える大学側にもノウハウが蓄積されています。
 
* フランス語
まず、フランス語は文法が不規則で、とても覚えることが多いので、手間がかかります。そしてフランス語は、単語があまり英語とは似ていません。発音も、ローマ字とは程遠く、一般的な日本人にはハードルの高い言語でしょう。歴史的に、数学の世界では他の理系分野とは違ってフランスが先進国であり、数学専攻の場合はフランス語が役に立つ場面がある、かもしれません。
 
* ロシア語
ロシア語は、文字がキリル文字で、とっつきづらいです。文法も、英語やドイツ語よりは難しいです。単語も、英語とはかなり違います。
 
* スペイン語やイタリア語やポルトガル語など
スペイン語やイタリア語やポルトガル語なども、文法が複雑です。イタリア語はラテン語の影響があったりして興味ぶかいかもしれませんが(ラテン語は中世では学問の共通語だった)、しかしイタリア語の習得には時間が掛かり、理系学生には負担が大きいでしょう。
 
* 中国語
漢字を使用するのでとっつきやすいですが、発音は難しいといわれます。もっとも、定期テストに限るならば筆記試験にはスピーキング問題は出せないわけですが。なお、大学によっては、理系の学部では、中国語が履修不可能の場合もあります。日本の科学の世界では、あまり中国語を使う機会が無かったからです。これからの時代は多くの人口を抱える中国に進出することがビジネスチャンスになる、ということで学生への人気が高まっていますが、そこまで使えるレベルでものにするのはかなり難しいでしょう。
 
== 学習の仕方 ==
大学での学習は高校までのような「受験」を意識したものではありません。各自がそれぞれ身につけたい内容を学ぶものです。したがって、科目によらない普遍的な学習のコツがあるわけではありません。基本的には、それぞれの科目のシラバスや授業内での指示に従って学習することになります。
 
出席を重視するか否かも授業によります。これも、すべての科目において出席が必須となる高校とは大きな違いといえます。傾向としては、数学の授業は出席を取らないことが多いです。講義を聴いているかいないかなどどうでもよく、数学の内容を身につけたかつけていないかを重視したい、ということのようです。対照的に、実験実習の科目は(授業の性質上当然ですが)出席していないのに単位が取れるということはまずありえません。
 
理系特有の事情として、理系の学問を学ぶためには高校までの知識では基礎知識がまだまだ足りませんので、特に低学年では高校で数学や理科を学んだのの延長線上のような授業、試験があるということがあります。したがって、その場合は高校でのいわゆる試験勉強に近い学習が有効です。大学教員の本務はあくまで研究ですので、教育への熱心さには個人差が大きく、毎年似たような問題を試験に出題する教員も散見されます。その場合、残念ながら過去問対策が有効です。サークルの先輩後輩の間などで、そのような教員の情報や、過去問そのものが受け継がれることも多いようです。
 
大学には学習指導要領はありませんので、どこの大学でも使われる共通の教科書というものはありません。よく使われる定番教科書のようなものはありますが、かといってそれを使わず教員が自分で執筆した教科書を指定することもあります。これも、基本的には授業での指示に従うことが無難でしょうが、どうしても合わないようならば、その科目の定番教科書を知り、併読するのも手です。なお、実験科目は、その大学の教員が共同で作った各大学のオリジナル教科書を使うことが多いようです。
 
== 課外活動について ==
大学生は学業と並んでサークル活動などに力を入れる人も少なくありません。それ自体は悪くはないですが、学業との優先順位をひっくり返してはいけません。特に理系の場合、卒業生の品質を保証するために、かなり厳格な基準で単位認定をする科目もあります。当然のことですが、大学側は課外活動を進級基準には組み込んでくれません。学業といかに両立させるかは完全に自己責任です。
 
== 研究室選び ==
工学系では、3年の後半ごろから、おそくても4年生になると、研究室に配属されます。いずれ企業の技術職として働くことを意識するのであれば、基本的には、志望業種に近いテーマを選ぶべきでしょう。他分野、あるいは学際的な研究が思わぬところで役に立つ、だなんてひねくれたことを考えても、一握りの優秀な人を除く凡人がそんな成果を出すことは不可能ですし、企業も直近の利益の役に立つかわからないことには手を出しません。大学に残って研究者としてやっていくというのなら遠回りも役に立ちますが、なにしろ一握りの優秀な人にしか関係のない話です。
 
研究分野を大くくりに見ると、実験系か理論系かという分類ができます。実験系は、手を動かせばある程度成果が出る、という部分でわかりやすい分野です。ただし、機材がなければ実験はできませんので、社会的評価が低いためにお金を持っていない大学ではたいしたことができません。理論系はおもしろい研究はとてもおもしろいのですが、外部の人にとってはどうしてもわかりにくい研究になりがちです。また、レベルの低い学生では、まともなことは何もできないまま終わります。
 
== 大学院への進学について ==
理系は就職が有利などとよく言われますが、ここでいう理系とは、技術者として役に立つと企業が判断した人物、です。けして、理系学部卒業生という意味ではありません。昨今のハイテク化した製造業において役に立つためには、大学院修士課程程度は卒業していることが必須です。東大であろうと東工大であろうと、理系学部を卒業してそのまま就職する人間は、企業には文系と同じ扱いしかされませんので注意しましょう。
 
そういった面で、早慶以外の私大理系学部の学生はかなり不利です。周囲に院進学志望者が少なく、情報が入らないうえに、進学へ向けて勉強するモチベーションが保ちにくくなります。しかし、学部卒では理系としての就職はできません。一見理系のように見える職種では、実態としては工業高校卒と同じ扱いをされることになるでしょう。それを避ければ文系と同じ土俵で就活をすることになりますが、そうすると大抵は文系学生の方がアピールポイントを持っています。かなり厳しい未来が待っていることを覚悟してください。
 
就職後に会社に籍を残したまま大学院へ進学する、という人が少数存在するため、「大手企業なら、もし学力が高ければ、大学や大学院に進学させてもらえる。しかも奨学金として学費を出してくれる」などという噂が流れることもあるようですが、現実にはかなり困難です。社内で指折りの幹部候補生に対してそのような待遇をすることはありうるでしょうが、果たしてあなたは、大手企業の社内で指折りの幹部候補生になれるのでしょうか。そもそもそれほどの能力があるのならば、最初から進学しておくべきでしょう。