「中学校理科 第1分野/化学変化とイオン」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
→‎酸性とアルカリ性: アンモニアNH<sub>3</sub>は、分子中にOHを含んでいないが、アンモニアの水溶液はアルカリ性をしめす。
517 行
このような性質を'''酸性'''(さんせい)と言った。また、酸性を示す物質を'''酸'''(さん、acid)と言った。酸性の水溶液のこれらの性質の理由は、イオンの観点で見ると、実は水素イオンH<sup>+</sup>の性質である。したがって、酸とアルカリをイオンの観点から定義しなおすと次のようになる。
 
酸とは、水に溶けたときに水素イオン H<sup>+</sup> を出す物質である。アルカリとは、水に溶けたときに水酸化物イオン OH<sup>-</sup> を出す物質である。
 
たとえば塩化水素HClの水溶液は、
これまでに学んだ酸である塩酸 HCl や硫酸 H<sub>2</sub>SO<sub>4</sub> などは、化学式に水素原子 H を含んでいた。この水素原子が水素イオンになるというわけである。ただし、水素原子Hを含んでいれば酸性になるとは限らない。たとえば、アンモニアNH<sub>3</sub>は水に溶けると次のようにして電離するのでアルカリである。
: HCl → H<sup>+</sup> + Cl<sup>-</sup>
と電離しているので、塩化水素は酸である。
 
アルカリとは、水に溶けたときに水酸化物イオン OH<sup>-</sup> を出す物質である。
:NH<sub>3</sub>+H<sub>2</sub>O→NH<sub>4</sub><sup>+</sup>+OH<sup>-</sup>
 
たとえば水酸化ナトリウムは、水溶液中では電離して、
: NaOH → Na<sup>+</sup> + OH<sup>-</sup>
と電離しているので、水酸化ナトリウムはアルカリである。
 
 
{{コラム|発展: アンモニア水がアルカリ性をしめす理由|
アンモニアNH<sub>3</sub>は、分子中にOHを含んでいないが、アンモニアの水溶液はアルカリ性をしめす。
 
アンモニアNH<sub>3</sub>は水に溶けると次のように電離して、水溶液中の水分子から水素イオンをうばってNH<sub>4</sub><sup>+</sup>をつくり、水酸化物イオンOH<sup>-</sup>を発生させるので、アンモニアはアルカリである。
 
:NH<sub>3</sub>+H<sub>2</sub>O→NHO → NH<sub>4</sub><sup>+</sup>+OH<sup>-</sup>
 
アンモニアは、分子中にOHを含んでいないが、しかし上式のように水溶液中でOH<sup>-</sup>を発生するので、アンモニアはアルカリである。
}}
 
 
このように、ある物質が酸かアルカリか、または、どちらでもないかは、イオン反応式も知らなければ判断できないので注意が必要だ。
 
アンモニアの例からも分かるように、もし化学式中に水素原子Hを含んでいても、その水溶液が酸性とは限らない。
 
これまでに学んだ酸である塩酸 HCl や硫酸 H<sub>2</sub>SO<sub>4</sub> などは、化学式に水素原子 H を含んでいた。この水素原子が水素イオンになるというわけである。ただし、水素原子Hを含んでいれば酸性になるとは限らない。たとえば、アンモニアNH<sub>3</sub>は水に溶けると次のようにして電離するのでアルカリである。
 
このように、ある物質が酸かアルカリかどちらでもないかは、イオン反応式も知らなければ判断できないので注意が必要だ。
 
さて、つぎの節では、小学校以来これまでに習った酸とアルカリの基本的な性質を復習する。イオンの観点による酸やアルカリの定義と、これまでに習った酸やアルカリの基本的な性質や実験例、具体的な反応式などを関連付けてしっかり理解しよう。
714 ⟶ 737行目:
反応式を書くときは、塩だけでなく、水も生じることを忘れないように。
 
 
なお、硫酸バリウムは、医療用の放射線検査でもちいる造影剤(ぞうえいざい)である。
 
・炭酸カルシウム CaCO<sub>3</sub>