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<small> [[高等学校生物]] > 生物I > 細胞とエネルギー </small>
== 代謝とATPATP ==
呼吸や消化など、生体内で行われる化学反応をまとめて'''代謝'''(たいしゃ、metabolism)という。
 
=== ATPATP ===
[[File:ATP模式図.svg|thumb|400px|ATP]]
[[File:ADP模式図.svg|thumb|300px|ADP]]
 
細胞内でのエネルギーのやりとりには、仲立ちとして'''ATPATP'''( '''アデノシン三リン酸'''、adenosine triphosphate)が用いられる。
ATPATPの構造は、'''ADPADP'''('''アデノシン二リン酸''')という物質に'''リン酸'''が結合した構造である。
ADPにリン酸を結合させる際、エネルギーが必要になる。結合によって合成されたATPは安定であり、エネルギーを蓄えることができる。そして異化によってATPのリン酸結合が切れてADPとリン酸に分解される際に、エネルギーを放出する。
 
呼吸など異化(いか)の際に、ADPとリン酸からATPを合成している(「異化」については、のちの節で後述する。)
 
ATPは、アデノシンという物質に、直列に3つのリン酸がついている。ATPでのリン酸どうしの結合のことを'''高エネルギーリン酸結合'''といい、リン酸間の結合が切れるときにエネルギーを放出する。
 
しばしば、ATPは「エネルギーの通貨」に例えられる。
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[[File:Atpadp.jpg|thumb|300px|center]]
 
=== 異化(いか)と同化(どうか) ===
[[File:異化と同化.svg|thumb|400px|同化と異化。]]
 
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:このため、(高校生物の教科書での「異化」と「同化」の分類のように、)単にエネルギーに注目することで分類するのが良いだろう。代謝の分類において、特別な事情のないかぎり、とりあえずエネルギーを放出するのを異化と分類して、エネルギーを蓄積するのを同化と分類する、・・・というワケである。
 
 
=== 独立栄養生物と従属栄養生物 ===
植物のように、外界から水H<sub>2</sub>Oや二酸化炭素CO<sub>2</sub>などの無機物および、光などのエネルギーだけを取り入れて、生存できる生物を'''独立栄養生物'''(どくりつえいようせいぶつ、autotroph)autotroph)という。
植物は、光合成によって無機物を炭酸同化できるのでも、独立栄養生物である。
 
いっぽう、ウシやライオンなどの動物のように、ウシなどの草食動物のように植物など他の独立栄養生物を食す必要のある生物や、ライオンやトラなどの肉食動物のように草食動物を食べる必要があったりと、ともかく他の独立栄養生物を直接的・間接的に食す必要のある生物を'''従属栄養生物'''(じゅうぞくえいようせいぶつ、heterotroph)heterotroph)という。いわゆる動物は、肉食動物も草食動物も、ともに、多くの動物は従属栄養生物である。
 
従属栄養生物も炭酸同化や窒素同化などの同化を行っているが、それら従属栄養生物の行う同化のもとになる材料の物質は、有機物であって無機物でない。
 
 
=== 代謝と酵素 ===
なおぬⓢびdw;wcうぃおr;qb3333333333333333333333333333333333333333333b8おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
 
=== 発展:筋肉とクレアチンリン酸 ===
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== 光合成と呼吸 ==
=== 光合成(同化) ===
植物は光エネルギーにより、水と二酸化炭素から、グルコースを合成している。
水と二酸化炭素から、
グルコースを合成している。
これを'''光合成'''(photosynthesis)と呼ぶ。
 
==== 光合成の仕組み ====
[[File:光合成のしくみ.svg|thumb|900px|光合成のしくみ<br />(※ くわしくは生物IIで説明する。)]]
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チラコイドにある色素が光エネルギーを吸収する。この吸収のとき、特定の波長の光を吸収している。赤や青の光が葉緑体に吸収される。緑色の光は吸収しない。吸収しなかった波長の光は反射される。植物の緑色は、反射した光の色であり、光合成には使用していない光である。
 
吸収した光エネルギーで、ATPの合成やNADPHの合成を行っている。(「NAD」とは「ニコチン アデニン ジヌクレオチド」のことである。))。
 
 
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この反応には、光が当然に必要である。温度の影響をほとんど受けない。
 
(2):  水の分解とNADPHNADPHの生成<br />
1の反応に伴って、'''活性クロロフィル'''から電子が飛び出す。水が分解され、できた水素Hが、さらに水素イオンH<sup>+</sup>と電子e<sup>-</sup> に分解される。あまった酸素O<sub>2</sub>は、以降の反応では利用せず、このため酸素O<sub>2</sub>が排出される。
 
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(4):  二酸化炭素の固定<br />
ストロマで、(3)(3)の反応で作られたATPのエネルギーも利用して、いくつもの過程を経て、植物が気孔などを使って細胞外から取り入れた二酸化炭素から、有機物(グルコース C<sub>6</sub>H<sub>12</sub>O<sub>6</sub> )を合成する。
 
生成された物質の一部が同じ物質のもどる反応経路になっており、'''カルビン・ベンソン回路'''という。
このカルビン・ベンソン回路の過程で、(3)(3)の反応で作られたATPを用いている。
 
 
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==== 初期の光合成研究の歴史 ====
* プリーストリーの実験 (1772(1772年ごろ)
[[File:Experiments on photosynthesis by Joseph Priestley ja.svg|thumb|400px|プリーストリーの実験]]
密閉したガラス容器の中でろうそくを燃焼させたのち、植物(ミント)の新芽を入れて放置したびんと入れずに放置したびんを用意した。このびんにネズミを入れたり、ろうそくの火を入れたりしたとき、どのような影響を及ぼすか調べた。
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この実験から、生きている植物は、ろうそくの燃焼やねずみの生存に必要な気体、すなわち酸素を放出していることがわかる。
 
* インゲンホウスの実験 (1779(1779年ごろ)
さきほどのプリーストリーの実験では、酸素を発生するには光が必要である。インゲンホウスは、プリーストリーの実験で、光を当てた場合と当てなかった場合とで実験を行い、光が必要なことを突き止めた。
 
* ザックスの実験 (1862(1862年ごろ)
葉の一部を銀箔でおおって光を当たらなくすると、その部分ではデンプンが合成されないことを、ヨウ素デンプン反応の実験で突き止めた。
 
* エンゲルマンの実験 (1882(1882年ごろ)
アオミドロの細胞にスポット光を当てると、葉緑体にスポット光を当てた時に、酸素を好む細菌が光の当たった場所に集まることを発見。
 
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実験による測定で、直接にO<sub>2</sub>量を測定して得られる測定値は、真の光合成速度から呼吸速度を差し引いた値である。
 
: <big>'''真の光合成速度 = 見かけの光合成速度 + 呼吸速度'''</big>
: 測定値=見かけの光合成速度
 
 
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森林が陽樹林の場合、新たな陽樹は芽生えなくなるが、新たな陰樹は芽生えることが出切る。このような仕組みのため、森林は、陽樹から陰樹へと移っていくことが多い。
 
* まとめ
ひなたを好む'''陽生植物'''(sun plant)では、補償点や光飽和点は比較的高く、
弱い光でも生育できる'''陰生植物'''()では、補償点や光飽和点は比較的低い。
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空気中のCO<sub>2</sub>濃度が低下すると、光合成速度は低下する。
 
* '''限定要因'''(げんてい よういん)
光合成に必要なものは、光・温度・水・二酸化炭素という要因(よういん)である。どれかの要因を低下させた場合に光合成速度が低下する場合、その要因を'''限定要因'''(limiting factor)という。イギリスの[[w:フレデリック・ブラックマン|フレデリック・ブラックマン]]は、光合成速度は、光の強さ、二酸化炭素濃度、温度のうち最も不足したもの('''限定要因'''(limiting factor))によって決まるとする'''限定要因説'''()を唱えた。
 
光・温度・水・二酸化炭素のうち、どれが限定要因かは、どの程度に下げるかなどの実験条件によって異なる。