「高等学校情報/社会と情報/情報社会の権利と法」の版間の差分

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コラム|※ 範囲外: 著作権法はアイディアを保護しない|
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ただし、知的財産権には、著作権以外にも商標権や商号権や実用新案権などの多様な権利もあるし、知的財産に関連する法として「不正競争防止法」などのその他の法律もあり、なので難しく、場合によっては、たとい著作権法では合法な「引用」であっても、その引用が商標権や商号権などに違反してしまう場合もありうる。企業によっては、自社の著作物のなかにあるキャッチフレーズや映像的なデザインなどを、商標などとして登録している場合もあり、その場合にそのフレーズやデザインを第三者が転載することが、たとい著作権法では合法だとしても、商標権などに違反する場合もありうる。

なので、もし法的な事情について、よく分からない場合は、権利者の推奨する方法で引用を試みたり、もし権利者が確認を取ってくれるなら、確認を依頼するのが安全な場合もある。}}
 
 
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中学や高校で習うことって、なんだかんだで、レベルが高くって、大切なんですね。
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{{コラム|※ 範囲外: 著作権法はアイディアを保護しない|
大学などの論文指導などでは、「他人の先行研究を、あたかも自分が最初に発見したかのように紹介してはいけない」というルールを教育されるかもしれません。このルール自体は妥当でしょう。さて、著作権法では、このような論文のルールについては、言及していません。つまり、「他人の先行研究を、あたかも自分が最初に発見したかのように紹介してはいけない」というルールは、単に先進国の学会のなかでの自主規制にすぎません。もちろん、この論文のルールは、論文執筆時には守らなければなりません。
 
しかし、けっして著作権法の根拠にもとづくルールではありません。
 
そもそも著作権法では、アイディアは保護されないのです。著作権法とは、文章や絵画・映像や音楽などの具体的な表現の成果物の権利を守る法律であり、けっして、そのアイディアを保護しないのです。
 
 
* マンガを例に考えよう
たとえば、マンガの著作権の例なら、たとえば『サザエさん』の設定をまねて、昭和の時代に東京に住む一家の日常をコメディ調に描いたマンガを発表したとしても、著作権法では、きっと合法でしょう。なぜなら、昭和の時代を描くこと自体には著作権による規制はありません(もしそうだとしたら、誰も昭和時代を描いた著作物を創作できなくなってしまう。もしそうだとしたら(『サザエさん』以降のマンガ家が昭和の時代の日常をコメディ調に描くこと自体に著作権による規制があるとしたら)『ちびまこちゃん』すらも著作権侵害になってしまう)。また、東京に住む一家の日常をマンガで描くことも、著作権では、きっと合法でしょう(主人公が東京都の住人のマンガや小説、映画なんて、たくさんある。ウィキペディア『[[w:東京を舞台とした漫画・アニメ作品一覧]]』)。 『サザエさん』の原作者の長谷川町子の画風をまねて、自分で形状を新しく考えたキャラクターを描くことにすら、著作権は保護しません(画風に著作権など、ない)。
 
しかし、もし具体的なサザエやカツオなどのデザインを真似たり、カツオやワカメなどの個々の人物の性格や言動などを真似たりすれば、裁判所に訴えられたときに著作権侵害としての判決を受ける確率が、ぐっと高まるでしょう。
 
また、画風を『ちびまるこちゃん』風または『アンパンマン』風などにしてサザエやカツオたちのような風貌と性格の人物を描いたり、その人物を主人公にしてマンガやアニメを発表することは、たとえ画風が『サザエさん』風でなくても、裁判所に訴えられたときに著作権侵害としての判決を受ける可能性が、高いかもしれません。
 
このように、著作権法では、アイディアは保護されません。著作権法で保護されるのは、具体的な表現だけなのです。(実際の著作権裁判では、アイディアと表現の境界が複雑な場合もあるが、しかし高校の段階では、そこまで考えなくてもいいだろう。)
 
 
* 論文の例にもどろう
なお、論文を書くさいの「他人の先行研究を、あたかも自分が最初に発見したかのように紹介してはいけない」というルールは、大学では、かなり厳しく運用されており、先進国各国の教育行政もそれを容認しています。
 
もし「他人の先行研究を、あたかも自分が最初に発見したかのように紹介してはいけない」というルールにある学生が違反した場合、最悪の場合、その学生はその大学を退学させられる処分になる可能性すら、あります。また、文部科学省などの教育行政も、そういう論文不正者への退学処分を容認しています。それほどまでに、このルールは厳格に運用されています。
 
 
しかし、そのことと、著作権法とは別です。
 
しばしば、大学教員のなかには、この厳格な論文ルールの根拠を勘違いして、「著作権法の根拠によるもの」だという勘違いをしている人が、時々います。
 
しかし、そうではないのです。著作権法とは無関係に、大学制度の教育行政の慣習として、適用されているルールなのです。
 
裏をかえすと、この論文ルールを、論文以外の発表の場所で要求することもまた、著作権法に反している行為でしょう。たとえば「豚が、ぶった。」「布団が、ふっとんだ。」という、よくあるダジャレを発表するさいに、いちいち「誰が発明者か? 先行研究者か?」とか、紹介する義務はないし、そのダジャレを聞いた相手がそのダジャレの発明者を勘違いしてもダジャレ発言者に責任はないし、もしダジャレ発表にそんな先行者紹介の義務(?)とやらを要求してきたり裁判を起こす人がいたら、きっと裁判官には違法な要求だと判断されるでしょう。
 
しばしば、大学教員のなかには、厳格な論文ルールの根拠を「著作権法によるもの」だと勘違いして、論文発表以外(あるいは学術書以外)の出版物でも、そのルールを要求してくる人がいます。しかし、著作権法では、先行研究者紹介の義務などは、ありません。
 
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