「民法第891条」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
20 行
; 2号 : 但書は注意を要する。たとえば被相続人を殺害した者が自分の息子であった場合、これを告訴しなくても欠格事由にはあたらない。
; 5号 : 「隠匿」については、もっぱら自らの利益を図るための隠匿のみが欠格事由にあたると限定解釈されている。
 
 
<ref>穂積陳重「続法窓夜話」(岩波書店1980.3.17)P.354巻末脚注、より条文の来歴について解説するために引用した。</ref>民法891条は戦前の民法969条であり、とくに第2号は民法起草時から論点になった。法典調査会では穂積陳重が説明した。その中で日本では讐討(かたきうち)は許されなくなったが「法律ニ訴ヘルコトハ少ナクモ徳義上ノ義務デアルト思フ」といい、これに対して委員高木豊三、横田国臣は削除説を主張し、穂積八束はこれに反対した。評議の結果少数で否決された(採用)。起草委員の富井、梅は削除して構わぬという態度であった。この規定については外国でもフランス法以外にはあまり類がない規定であり、穂積重遠は「相続法大意」(大正15年)で、この条項は削除すべしとし「いつまでに告発告訴しなければ欠格になるのか、他から告訴告発があった場合は如何、指定又は選定家督相続人にも適用があるか、等解釈上の疑問があるのみならず、此等の疑問に対しては相当な解決を下し得るとしても、元来此規定は血族復讐の観念に由来する私訴公訴混同時代の産物で、告発及び告訴が私人の法律上の義務でない今日の制度たるべきでない」と説いている<ref>穂積・岩波版1980.3.17、引用ここまで</ref>。
 
==参照条文==