「線型代数学/ベクトル」の版間の差分

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<math>\bold K = \R</math>のとき<math>\R^n</math>は実数を成分とするn次列ベクトル全体の集合であり、<math>\bold K = \C</math>のとき<math>\C^n</math>は複素数を成分とするn次列ベクトル全体の集合である。
 
 
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:(※ 補足: ) 線形代数でいう「空間」や「次元」の定義は、物理学でいう「空間」や「次元」とは、内容が異なる。もし、たまたま似た内容が数学と物理の「次元」にあったとしても、数学と物理の「次元」はそれぞれ、独自の定義を持つ。物理学では、われわれの住んでる「空間」は3次元であり、時間も含めて「4次元時空」などという場合もある。しかし線形代数の「4次元ベクトル」は、単に、成分の数が4個のベクトルである。線形代数の「4次元ベクトル」には、まったく「時間」の意味は無い。
:数学史では、過去の中世や近世では物理学など理科の法則を参考に、数学の理論を構築していた時代もあったし、そのため中世ごろには考える空間の次元が3次元までだったり、(xの3乗のように)式の次数が3次元までの時代もあった。また、近代でも、そもそもベクトルの理論構築に物理学者ギブスなどが貢献してる。しかし現代の大学教養課程の線形代数の「ベクトル」は、物理学の空間や時間とは無関係である。物理学でも「ベクトル」や「行列」を用いるが、数学と物理学で、それぞれ独自の定義を持っているので、もし物理学の「ベクトル」や「行列」の定義を確認したいなら、「物理数学」などの教科の教科書を参考にする必要がある。
:物理学にかぎらず、経済学など他の学問でも「ベクトル」や「行列」を用いる場合もあるが、やはり数学とは別個にそれぞれの(経済学などの)学問で、用語は教科ごとにそれぞれ独自の定義を持っているので、学生はそれぞれの教科の教科書を参考にする必要がある。
:大学の教育およびそれ以上の教育課程では、高校までと違って、別々の教科間をまたいで用語の定義などの統一作業は、大学の教育では、していないのが通常である。
 
 
=== 相等関係 ===
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== ベクトル関数 ==
 
== 補足 ==
線型代数学でいう「空間」や「次元」は、物理的な意味の「空間」や「次元」のうち、一部の性質だけを取り出して定義した抽象的な概念である。したがって、大枠では類似しているが、物理的なイメージばかりを気にしすぎると細部の印象が異なることがある。たとえば、物理においてしばしば「空間3次元、時間1次元、合わせて4次元の線型空間である時空」を考えるが、数学的な意味での4次元線型空間は空間と時間という意味合いを持ってはおらず、単に一次独立なベクトルが4本取れるというだけの意味である。4次元線型空間の中でさらに特殊な性質を仮定したものを「ミンコフスキー空間」といい、これはただの4次元線型空間よりもより4次元時空の性質を反映したモデルだが、それでも数学的なモデルに過ぎないことに変わりはない。
 
一般に数学的な概念は、その定義を作る際には物理などのイメージを元に概念を作ることが多いが、ひとたび定義されたあとはそのイメージから離れて定義のみを基に議論を進めることができる。これが数学を発展させる原動力であり、また数学が汎用的に役に立つ理由である。しかし、数学の持つこのような特性は、初学者にとってはわかりにくく感じられるだろう。以上で述べたことは線型代数学に限った話ではないが、抽象的な数学理論に初めて本格的に触れるのが線型代数学という学生も多いだろうから、ここで述べておく。
 
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