「民法第186条」の版間の差分

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#無過失
上記の要件のうち、1~4まではその立証に非常に手間がかかる為、第186条1項はこの証明責任を転換し時効取得や即時取得の適用を容易にするようにしたものである。更に、時効取得の場合、上記の占有の態様に関する要件とは別個に善意占有なら10年、悪意占有なら20年の占有継続を立証しないといけないが、この立証は容易ではない。すべての時点においての占有を立証するのは事実上不可能だからである。そのため、民法はここでも占有者の証明責任を緩和し、第186条2項によって占有者の証明をニ時点のみに抑え、時効取得の成立を容易にしている。
 
ここで、取得時効に関する[[民法第162条]]1項の条文上は、所有意思・平穏公然が時効取得という法律効果の発生要件に読めるが、実際には、186条1項により、所有意思のないこと・凶暴隠秘が時効取得の発生の障害要件であり、186条1項の要件は162条1項と合わせて解釈するための'''暫定真実'''(ざんていしんじつ)だといわれている。つまり、162条1項の法律効果を主張する者は、原則通りなら、主要事実として20年の経過、所有意思・平穏公然の立証責任を負うが、所有意思・平穏公然は占有の被推定事実なので、実際には(推定原因事実として)20年間の占有を立証すればよい。この所有意思・平穏公然が暫定真実である。
 
===論点===
判例や学説がこの条文で論点としている部分は以下のようなものがある。矢印の後は判例の立場、