「民法第436条」の版間の差分

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:文言通り、他の連帯債務者は相殺権を行使でき、その場合に債権は絶対的に消滅するのだという説。
:判例の立場(大昭和12.12.11)。
;抗弁権説(改正民法の立場)
:反対債権を他の連帯債務者が勝手に行使するのは私的自治のゆきすぎた制約になるとする立場からは、他の連帯債務者は反対債権に相当する額だけ弁済を拒絶できるに過ぎないという説。
 
;改正民法第439条
#連帯債務者の一人が債権者に対して債権を有する場合において、その連帯債務者が相殺を援用したときは、債権は、全ての連帯債務者の利益のために消滅する。
#前項の債権を有する連帯債務者が相殺を援用しない間は、その連帯債務者の負担部分の限度において、他の連帯債務者は、債権者に対して債務の履行を拒むことができる。
 
第2項について、次の例で考える。連帯債務者S1とS2が債権者をGとする債務を負っているが、S2がGに反対債権をもっている。しかしS2が相殺適状にあるにも関わらず相殺しないままGがS1に全額について請求した。
 
この場合、もしS1が全額を弁済すると、S1はS2に求償する。S2は、S1に求償するぶんを調達するため、Gにもっていた反対債権を取り立て、S1に弁済する。確かに、これで妥当な結論が得られるが、まわりくどい。そこで、改正民法はS1がGからの請求に対して弁済を拒絶することができることを規定した。つまり、S1は、S2がS2自身の負担部分とS2がもっている反対債権でS2が相殺するまで、S1自身の負担部分だけを弁済すればよい。
 
==参照条文==