「政治学概論」の版間の差分

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==== 膨張主義的ナショナリズム ====
[[ファイル:Adolf Hitler Berghof-19331936.jpg|thumb|right|150px|アドルフ・ヒトラー(1889年-1945年)はドイツの政治家。オーストリアで生まれ、第一次世界大戦に従軍した後に後にナチ党となるドイツ労働党の活動に参加する。反ユダヤ主義と膨張主義的なゲルマン主義を主張し、政権についてからは再軍備と第二次世界大戦、そしてホロコーストを進めた。著作には『わが闘争』、『続・わが闘争』など。]]
膨張主義的ナショナリズムはより軍事的かつ好戦的な特徴を持つナショナリズムの形態である。ナショナリズムは集団の対内的な団結や統一の追求だけでなく、平行して対外的な独立や自立の追求をもたらす。膨張主義的ナショナリズムが出現するようになったのは19世紀末のヨーロッパ列強の間においてであり、列強は帝国主義的な政策を進めながら世界各地の植民地をめぐる対立を繰り広げていた。当時の国際情勢の中で列強の自国の優越感に基づく大衆的なナショナリズムと帝国主義的な膨張政策としての植民地化が次第に結びつくようになった。このような列強の膨張の対立は第一次世界大戦と第二次世界大戦をもたらす要因の一つとなった。第一次世界大戦ではフランス、イギリス、ロシアとドイツ、イタリア、オーストリア・ハンガリーの対立、第二次世界大戦では日本、イタリア、ドイツとソビエト、フランス、イギリス、中国、アメリカの対立が背景にあった。このような膨張主義的ナショナリズムを主張した人物としてフランスのシャルル・モーラスやドイツのアドルフ・ヒトラーを挙げることができる。モーラスは個人に対して国民こそが重要であると考えており、個々人の人生に比べれば国民の統合と存続こそが優先されるべきことだと論じた。さらに彼の議論はこのようなナショナリズムにとって自由民主主義的な政治制度は望ましくないという主張によっても特徴付けられる。なぜならば、モーリスは国民という存在は古典的な美徳とキリスト教の価値観により形成されているものであるためである。モーラスの見解に示されているように、膨張主義的ナショナリズムは自由主義的ナショナリズムや保守主義的ナショナリズムと比べて自由民主主義を基礎付けている自由や平等の理念に対して敵対的である。ヒトラーのナショナリズムは膨張主義的ナショナリズムの他国民に対する敵対的または好戦的な性格を表している。このような考え方においては他の国民との関係が自己と他者の明瞭な関係に置きなおされ、それは時に急進的な人種主義や排外主義をもたらすことになる。ヒトラーは自らの政治的主張として急進的な反ユダヤ主義を主張しながら、ドイツの対外的な膨張主義に結びつけた。自著の中でこの主張は三段階の計画として提案されている。第一にドイツだけでなく周辺諸国にも居住するドイツ人を結集し、第二にドイツの生存圏を確保しながら強力な帝国を建設する。そして最後にはヒトラーがアーリア人による世界支配を実現する。これは一国を超えた国民的統合を目指す汎ナショナリズム(pan-nationalism)の主張であると言える。