「高等学校生物/生物I/環境と動物の反応」の版間の差分

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(※ 範囲外: )妊娠歴のある女性には、免疫抑制剤が効かなくなる場合がある。高校でこういう専門知識まで教えるわけにはいかないので、現在の高校理科ではあまり免疫抑制剤について教えてないことにも、それなりの理由がある。
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臓器移植で拒絶反応が起きる場合は、MHCが異なる場合であり、キラーT細胞が移植臓器を攻撃しているのである。
 
なお、ヒトでは、ヒトの白血球の細胞表面にある'''ヒト白血球型抗原'''('''HLA'''、Human Leukocyte Antigen)がMHCとして機能する。血縁関係の無い他人どうしで、HLAが一致する確率は、ほとんど無い。同じ親から生まれた兄弟間で、HLAの一致は4分の1の確率である。移植手術の際、これらの免疫を抑制する必要があり、免疫抑制のために、あるカビから精製した'''シクロスポリン'''(ciclosporin)という名前の薬剤が、よく免疫抑制剤(めんえきよくせいざい)として使われる。(※ シクロスポリンはいちおう、高校の範囲内教科書で紹介されている。)<ref>浅島誠『生物基礎』東京書籍、平成26年2月発行、P.121</ref> <ref>吉田邦久『チャート式シリーズ要点と演習 新生物IB・II』東京書籍、P.121</ref>
IB・II』東京書籍、平成26年2月発行、P.121</ref>
 
:(※ 範囲外: )妊娠歴のある女性や輸血を受けた経歴のある人には、免疫抑制剤が効かなくなる場合がある<ref>宮坂昌之ほか『標準免疫学』、医学書院、第3版、301ページ</ref>。※ 高校教育的には、高校でこういう例外的な専門知識まで教えるわけにはいかないので、現在の高校理科ではあまり免疫抑制剤について教えてないことにも、それなりの理由がある。
シクロスポリンは、T細胞によるサイトカイン(このサイトカインは細胞性免疫の情報伝達に関わる物質の一種であり、キラーT細胞などの他の免疫細胞を活性化させる役割を持っている)の産生を阻害することにより、細胞性免疫の作用を抑制している。(※ サイトカインは高校の範囲内)
 
臓器移植など移植手術での拒絶反応が起きる際の理由も、MHC(ヒトの場合はHLA)が異なって、T細胞が移植片を非自己と認識するからである(※ 参考文献: 第一学習社『高等学校生物』、24年検定版、26年発行、58ページ)、と考えられている。
 
なおシクロスポリンは、T細胞によるサイトカイン(このサイトカインは細胞性免疫の情報伝達に関わる物質の一種であり、キラーT細胞などの他の免疫細胞を活性化させる役割を持っている)の産生を阻害することにより、細胞性免疫の作用を抑制している。(※ サイトカインは高校の範囲内)
 
:※ 「サイトカイニン」(植物ホルモンの一種)と「サイトカイン」は全く異なる別物質である。
 
:※ 検定教科箇所では、MHCの和訳を「主要組織適合性複合体」というかわりに「主要組織適合抗原」などという場合もある。大学の教科書でも、教科書出版社によって、どちらの表現を用いているかが異なっており、統一されていない。たとえば東京化学同人『免疫学の基礎』では「主要組織適合抗原系」という表現を用いている。羊土社『理系総合のための生命科学』では、「主要組織適合性複合体」を用いている。
 
:※ 余談だが、ヒトのHLA遺伝子の場所は解明されており、第6染色体に6対の領域(つまり12か所の領域)があることが分かっている。高校教科書でも図表などで紹介されている(※ 数年出版や第一学習者の教科書など)。(※ 入試にはまず出ないだろうから、暗記しないくて良いだろう。)
 
:いきなり「HLA遺伝子」と言う用語を使ったが、もちろん意味は、HLAを発現する遺伝子のことである。
 
 
* ツベルクリン反応