「高等学校生物/生物I/環境と動物の反応」の版間の差分

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免疫グロブリンは血液中に溶けていること。B細胞が免疫グロブリンを生成すること。
抗原と抗体の言い間違いの部分を修正。ノーベル賞の利根川進も高校の範囲なので記述。
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* 免疫グロブリンの構造と機能
免疫グロブリンはY字型をしたタンパク質である。
免疫グロブリンはY字型をしたタンパク質である。先端部に'''可変部'''(かへんぶ、variable region)という抗体ごとに構造の変わる部分があり、この部分で抗体と結合して、一連の免疫反応をする。可変部の配列によって、認識する抗原の構造が異なる。
免疫グロブリンの構造は、H鎖とL鎖といわれる2種類のタンパク質ポリペプチド2個ずつ結合した構造になっている。図のように、免疫グロブリンは、合計4本のポリペプチドから構成されている。
 
免疫グロブリンはY字型をしたタンパク質である。H鎖とL鎖の先端部に'''可変部'''(かへんぶ、variable region)という抗体ごとに構造(免疫グロブリンの可変部の)アミノ酸配列の変わる部分があり、この部分(可変部)が特定のと結合する。そして免疫グロブリンの可変部が抗原と結合することにより、免疫機能は抗原を認識して、一連の免疫反応をする。可変部の配列によって、認識する抗原の構造が異なる。
免疫グロブリンの構造は、H鎖とL鎖といわれる2種類のタンパク質が結合した構造になっている。
 
1種類の抗原に対応する抗体は1種類だけであるが、しかし上述のように可変部が変わりうるので、多種多様な抗原に対応できる仕組みになっている。
 
免疫グロブリンの構造において、可変部以外のほかの部分は'''定常部'''(ていじょうぶ、constant region)という。
また、H鎖同士、H鎖とL鎖は'''ジスルフィド(S-S)結合'''でつながっている。
 
1種類の抗原に対応する抗体は1種類だけであるが、しかし上述のように可変部が変わりうるので、多種多様な抗原に対応できる仕組みになっている。
 
 
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そもそも免疫グロブリンはB細胞で生成される。免疫グロブリンの可変部の遺伝子も、そもそもB細胞の遺伝子が断片的に選択されて組み合わせされたものである。このような遺伝子配列の組み合わせによって、配列のパターンが膨大に増えて何百万とおりにもなるので、このような仕組みによって多種多様な病原体(抗原)に対応している。
 
より細かく言うと、下記のような順序で、される。
 
樹状細胞などの食作用によって分解された断片が、抗原として提示される(抗原提示)。 そして、その抗原が、'''ヘルパーT細胞'''(ヘルパーティーさいぼう、helper T cell)によって認識される。
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抗原抗体反応によって、抗体と結合された抗原は毒性が弱まり、またマクロファージによって認識されやすくなり、マクロファージの食作用によって抗原が分解されるようになる。
 
* 利根川進(とねがわ すすむ)の業績
ヒトの遺伝子は数万種類であるといわれているが(※ 参考文献: 東京書籍の教科書、平成24検定版)、しかし抗体の種類はそれを膨大に上回り、抗体は数百万種類ていどにも対応する。
 
その仕組みは、B細胞の遺伝子から、選択的に抗体の遺伝子が選ばれるという仕組みになっている。この辺の抗体の種類の計算の仕組みは、1970年代ごろに日本人の生物学者の利根川進などによって研究されており、1987年には利根川進(とねがわ すすむ)はこの業績でノーベル医学・生理学賞を受賞した。
 
 
 
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なので、高校の段階では、「可変部」の変化だけを教えることも、それなりに合理的である。
 
 
また、クラススイッチの現象が起きて、ある抗体のクラスがスイッチされても、抗体の可変部は前のままであるので、抗原特異性は変わらない。(参考文献: 東京化学同人『ストライヤー生科学』、Jeremy M.Bergほか著、入村達郎ほか訳、第7版、928ページ。)