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酵素の単元を高等学校生物/生物I/細胞 2018年12月3日 (月) 03:14‎ から、こちらに移動。酵素は細胞ではないので。古い1990年代の参考書でも、酵素はATPなどの単元で紹介されてる。
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従属栄養生物も炭酸同化や窒素同化などの同化を行っているが、それら従属栄養生物の行う同化のもとになる材料の物質は、有機物であって無機物でない。
 
=== 代謝と酵素 ===
 
=== 発展:筋肉とクレアチンリン酸 ===
 
=== 代謝と酵素 ===
[[File:酵素と活性化エネルギー.svg|thumb|300px|酵素と活性化エネルギー。物質が化学反応をするときに超える必要のあるエネルギーのことを活性化エネルギー(かっせいかエネルギー)という。通常は安定な物質では、この活性化エネルギーがあるため、その物質は安定してられる。]]
[[File:酵素と最適pH.svg|thumb|300px|酵素と最適pH]]
デンプン(starch)の分解には、硫酸水溶液などの強酸中で100℃以上の高温で分解するという方法がある。しかし、だ液(saliva)は常温付近でデンプンを分解してマルトース(maltose、麦芽糖のこと)に変える。
特定の化学反応を促進し、自身は反応の前後で変化しない物質を触媒(しょくばい、catalyst)という。
生物の細胞内や細胞外で触媒として作用し、生物現象を維持している物質を'''酵素'''(こうそ、enzyme)と呼ぶ。酵素はすべて有機物であり、酵素の本体はタンパク質である。先ほど説明した だ液にも、酵素がふくまれており、アミラーゼ(amylase)という酵素がだ液にふくまれている。
 
さて、例えば、過酸化水素水(H<sub>2</sub>O<sub>2</sub>)に二酸化マンガン(MnO<sub>2</sub>)を加えると、二酸化マンガンが触媒として作用し、水(H<sub>2</sub>O)と酸素(O<sub>2</sub>)が発生するが、
同様に、過酸化水素水に肝臓の細胞を加えると水と酸素が発生するのだが、この理由は細胞内に含まれる'''カタラーゼ'''(catalase)と呼ばれる酵素が触媒として作用して、過酸化水素を分解して水と酸素が発生するからである。
 
 
細胞外で働く酵素もある。
体外から摂取したデンプン(starch)やタンパク質(protein)は、そのままでは大きすぎて小腸の細胞に吸収できないため、
各消化器官から分泌される消化酵素によって、吸収しやすくなるように分解される。
デンプン(starch)は、唾液(だえき、saliva)に含まれるアミラーゼ(amylase)によって、マルトース(maltose)に分解される。
タンパク質(protein)は、胃液に含まれるペプシン(pepsin)によってペプトン(peptone)に、すい臓から分泌されるトリプシン(trypsin)によってさらに小さなアミノ酸(amino acids)に分解される。トリプシンはpH8付近が最適pH(optimum pH)である。
 
ヒトが持っている酵素の種類は数千種類といわれている。
酵素が作用する相手の物質のことを'''基質'''(きしつ)という。酵素はそれぞれ反応する相手の物質が決まっており、これを'''基質特異性'''という。二酸化マンガンや白金などの無機物質では、基質特異性は見られない。基質特異性の正体は、酵素を構成しているタンパク質の立体構造によるものである。酵素の各部のうち、その酵素が基質と結合する部位のことを'''活性部位'''あるいは'''活性中心'''という。酵素は活性部位で基質と結合する。
酵素は、'''酵素-基質複合体'''(こうそ-きしつ ふくごうたい)をつくって、基質に触媒としての働きをする。
[[File:酵素基質複合体 模式図.svg|thumb|600px|center|酵素基質複合体の模式図]]
このように酵素は細胞内や細胞外で作用することにより、生命現象を維持している。
 
多くの酵素は、常温の付近で働く。
また、70℃程度以上の湯などで高温で熱してしまった酵素は、触媒の働きを失ってしまう。高温で働きを失った酵素を低温に冷ましても、もう触媒の働きは戻らない。このように、酵素が触媒の働きを失ってしまい戻らないことを'''失活'''(しっかつ)という。
 
これは、酵素のタンパク質が高温によって乱され、タンパク質の構造が崩れてしまったからである。酵素に限らず、タマゴや肉なども、高温で熱してしまうと、冷ましても常温にしても、もう働きは復活しない。この理由も、タマゴや肉のタンパク質が崩れてしまったからである。このようにタンパク質が熱で変わってしまうことを'''熱変性'''(ねつへんせい)という。
 
[[File:酵素の反応速度と温度.svg|thumb|300px|酵素の反応速度と温度]]
酵素が良く働く温度は、35℃~40℃くらいである場合が多い。酵素がもっとも良く温度のことを'''最適温度'''という。最適温度は酵素の種類ごとに違う。常温付近で、やや高めの温度が最適温度である。
いっぽう酸化マンガンなどの無機触媒では高温のほど反応速度が強く、無機触媒では最適温度は見られない。
 
酵素は、特定のpH(ペーハー、ピーエイチ)で良く働く。このpHのことを'''最適pH'''という。
たとえば、だ液にふくまれる酵素アミラーゼの最適pHは7付近である。だ液のpHは7である。胃液で働くペプシンの最適pHは2である。(ペプシンは、タンパク質を分解する酵素。) このように、酵素の最適pHは、その酵素が多く含まれる器官のpHに近い場合が多い。
すい液にふくまれる酵素リパーゼの最適pHは9であり、すい液のpHもややアルカリ性である。(リパーゼは脂肪を分解する酵素。)
 
実験として酵素濃度を一定にして、温度を一定にして、基質濃度を変えて実験すると、つぎのような結果が得られる。
[[File:酵素の基質濃度と反応速度.svg|thumb|300px|left|酵素の基質濃度と反応速度]]
・基質濃度が低いとき、基質濃度に比例して反応速度が増える。
 
・基質濃度が高い場合、酵素の数以上に基質があっても酵素-基質複合体ができすに効果がないので、基質濃度が低いときは、あまり反応速度は変わらなず、反応速度はしだいに一定値になる。
[[File:酵素の基質濃度と反応速度 模式図.svg|thumb|400px|center|酵素の数以上に基質があっても、酵素と結合できないので、基質が分解されない。]]
 
そのほか、活性部位に基質以外の物質が結合すると、基質が酵素に結合できなくなる場合がある。阻害物質が酵素の活性物質をめぐって基質と競争していると見なして、このような現象のことを競争的阻害という。
 
* やや発展 : 非競争的阻害
阻害物質が活性物質以外の場所に結合しても、その結果、活性部位の構造が変わってしまう場合があり、そのため酵素-基質の結合を阻害する場合もある。このような、活性部位以外への阻害物質の結合による阻害を、非競争的阻害という。
 
 
* 補酵素
ある種の酵素には、基質以外にも他の物質が必要な場合もある。このような酵素に協力している物質が有機物の場合で、その有機物が酵素に結合する場合、その有機物のことを補酵素(ほこうそ)という。補酵素は一般に低分子(=分子の大きさが小さい)であり、また酵素と分離しやすい。そのため半透膜(セロハンなど)を使って、補酵素を分離することができる。また、熱に対して、補酵素は、比較的、強い。
 
補酵素の代表的な例として、呼吸に関わる脱水素酵素の補酵素NAD<sup>+</sup>がある。脱水素酵素は、基質から水素を取り除く。NADとは「ニコチン・アミドアデニン・ジヌクレオチド」のこと。
脱水素酵素とNADは別の物質である。脱水素酵素とのNADという両方の物質があることで、NADが水素を受容できるようになるって、NADに水素水が結合しNADHに変わる。
 
酵素に協力している物質が金属または金属イオンなどで、有機物で無い場合もある。
 
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(執筆準備中)
 
[[File:Catalase_Structure.png|thumb|right|320px|'''カタラーゼの構造''']]
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== 光合成と呼吸 ==
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好気呼吸でのATPの収支は、グルコース1分子あたり解糖系で2分子のATP、クエン酸回路で2分子ATP、電子伝達系で最大34分子ATPであり、合計で最大38分子のATPになる。
 
 
 
 
[[Category:高等学校教育|生1さいほう]]