「高等学校生物/生物I/遺伝情報とDNA」の版間の差分
削除された内容 追加された内容
現代では高校3年の専門生物に移動したことを追記。 |
不完全優性など、現代カリキュラムでは後回しにされてコラム送りになってることを追記。 |
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<small> [[高等学校生物]] > 生物I > 遺伝 </small>
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=== 性染色体 ===
==== 入門的な知識 ====
:(※ 編集者への注意: ) 2010年代の現代の中学校(高校ではなく)の理科や保健体育では、性染色体を教えてないかもしれません。この節を書く場合、読者が人生で始めて性染色体について習うかもしれない事を念頭に、平易に記述することをお願いします。
: なお、2010年代の現代の中学理科で習うこととして、メンデルの遺伝の法則と、中学生むけに簡略化した減数分裂の理論を習います。
ヒトの体細胞には46個の染色体があり、つまりヒトには23対の染色体がある。(2n=46)
そのうち22対は、男女に共通して存在する染色体であり、これを'''常染色体'''(じょうせんしょくたい、Autosome)と呼ぶ。
いっぽう残りの2本の染色体によって、ヒトの性別が決定されるので、これを'''性染色体'''と呼ぶ。
ヒトの場合、男女に共通して存在する染色体のことを'''X染色体'''という。いっぽう、ヒトでは男性にのみ存在する染色体のことを'''Y染色体'''という。
{{コラム|※ 範囲外: クラインフェルター症候群やターナー症候群など|
:ヒトなどの場合、X染色体があると女性ぽくなり、Yふがあると男性ぽくなるのが、なぜそうだと言い切れるのか、注意ぶかい学生には、気になるかもしれない。だって、YYの組み合わせについては、教科書では何も言及してないからだ。
:つまり、教科書で習った範囲では、まだ「XXやYYだと女性」というYYについての可能性もありうるからだ。
:答えは実は、通常は性染色体YYの産まれてこないが、まれに産婦から分娩(ぶんべん)される子が性染色体YYの場合があり、子が性染色体YYだと死産になる、という医学的事実がある。(ただし、これは大学の専門課程のレベルの話題であるので、暗記しなくていい。)
:このことから、まずYYの組み合わせについては、高校生は、もう考えなくてよくなる。
:では、次に「X染色体が女、Y染色体が男」ということの分かった理由も学ぼう。答えは、ごくまれに性染色体がXXYやXXXやXYYの子が産まれてくる事例がある。XYYのようにY染色体が多いと男性的な特徴が比較的に強い子が産まれてくることが医学的に分かっている。
:いっぽう、XXYの場合の子は、XYと比べると女性的な傾向が比較的に強い(なおこのXXYの人をクラインフェルター症候群という)。
:このほか、XXXの場合、女性的な傾向がある。XOだと(Oは染色体が無い場合)、女性的である(ターナー症候群)。
:このように、一般的にヒトの場合、どの性染色体異常でもX染色体の数が多ければ、そのぶん女性的な特徴をもつ。同様に、Yが多ければ、そのぶん男性的な特徴を持つ。ヒトの場合、Y染色体を一つでも性染色体に持つと、男になり、男性器および精巣をもつのが一般的である。(※ これらの話題は大学レベルであり、医療系学部のレベルなので、高校の時点では暗記は不要である。)
:なお、これらは、あくまでヒトの場合であり、ほかの動物の場合は、後述するように、かならずしも、同じような結果になるとは限らない。
}}
==== 参考 ====
:※ 教科書には「参考」(数研出版の教科書)としてコラム的にページ下部に書かれている。啓林館の教科書では、本文中に書かれている。
ヒト以外の動物も含めると、性の決定には、XY型、XO型、ZW型、ZO型の4つがある。
XY型は、雌が同形のXX、雄が異形のXYの性染色体をもち、
[[w:ショウジョウバエ|ショウジョウバエ]]や、[[w:ヒト|ヒト]]などの[[w:哺乳類|哺乳類]]が行う。
XO型は、雌が同形のXX、雄がXの1つだけの性染色体をもち、
[[w:トンボ|トンボ]]や[[w:バッタ|バッタ]]などが行う。
ZW型は、雌が異形のZW、雄が同形のZZの染色体をもち、
[[w:ニワトリ|ニワトリ]]、[[w:ヘビ|ヘビ]]、[[w:カイコガ|カイコガ]]などが行う。
ZO型は、雌がZの1つだけ、雄が同形のZZの染色体をもち、
[[w:スグリエダシャク|スグリエダシャク]]などが行う。
:※ 範囲外: (※ 検定教科書(生物基礎・生物)に記述なし)
:ただし、性の決定を性染色体以外で行う生物も多くいる。
:例えば、[[w:アカウミガメ|アカウミガメ]]は、卵が孵化する際の温度で雌雄が決まる。
:また、[[w:カタツムリ|カタツムリ]]は、雌雄同体で、一つの個体が精巣と卵巣を持つ。
== 遺伝の法則 ==
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その遺伝子が互いに影響しないことを'''独立の法則'''(law of independence)と呼ぶ。
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:※ この節の話題は、かつ2000年代ごろまで、下記の不完全優性~抑制遺伝子、伴性遺伝などの話題は、むかしは高校生物の教科書や参考書に良くある話題だったが、しかし現代の高校教育では重要度が低いと考えられるように教育状況が変化しており(『もういちど読む』シリーズの高校生物にその事情が書いてある)、検定教科書では「参考」などのコラムに送られている。
==== 不完全優性 ====
優性と劣性の関係が不完全な遺伝の仕方を'''不完全優性'''(incomplete dominance)と呼ぶ。
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==== 伴性遺伝
性染色体の中にあるが、性の決定以外の働きをもった遺伝子の遺伝現象のことを'''伴性遺伝'''(sex-linked inheritance)という。
伴性遺伝は形質の発現が性別によって異なり、
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女性では、X<sup>A</sup>X<sup>A</sup>、X<sup>A</sup>X<sup>a</sup>、X<sup>a</sup>X<sup>a</sup>の3種類の遺伝子型があり、X<sup>a</sup>X<sup>a</sup>の場合のみ色覚異常となる。
このように、伴性遺伝は性別によって遺伝の仕方が異なる。
=== 連鎖と組み換え ===
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