「法学入門」の版間の差分

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「法学入門」とは、大学法学部,他学部や短大の一般教育科目として、また専修学校や高校の一般知識教科として設けられているもの。科目名または教科名は、「法学入門」とは限らず、教科名では、「理工系学生のための法学概論」,文科省検定済商業科高校教科書などで「経済活動と法」というものもある。いずれにしても、大学法学部以外では、現行法の解説が主な内容となっている。
 
 全般的に見ると「法学入門」は、法(専門)的なものごとと一般的および政治的ものごととの違いを理解させることにひとつの意義がある。法の認識について、一般的には、既存のものごとの関わり合いに向けて法規が断片的に補完され理解される。これとは反対に、法解釈的には、既存の法体系に既存のものごとが断片つまり法的要素として組み込まれ理解される。法の認識についてのこの違いがものごとの真実と法(専門)的な事実の違いを理解させる。「法学入門」は、法体系について、一般的および政治的ものごとが外的ポジションにあり、場合によっては対峙的性質ないし新規的・立法的素因となる性質をもち、他方、法(専門)的なものごとが内的ポジションにあり、常に継続性のある性質をもつことが示される。前者については一般人の法への好き嫌い、後者については判例の運用が代表例である。法(専門)的なものの来歴は内田貴『法学の誕生』筑摩書房、法認識のポジションについてH.L.A.ハート(長谷部恭男訳)『法の概念第3版』筑摩学芸文庫が詳しい。なお、法的要素の認識について大村敦志『生活民法入門』東大出版会、法(専門)的なものごとと一般的および政治的ものごととの相剋について長谷部恭男『比較不能な価値の迷路』が参考になる。また、内的ポジションと外的ポジションの帰結的問題点について来栖三郎『法とフィクション』東大出版会が参考になる。
 
 
 
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=== 法学純理論書 ===
法学に対しては、実務的要請が、他のジャンルよりも強固な確信によって向けられている。このため、未だに、コンメンタールないし判例学説便覧のような書物以外は実益がないという考えさえ見受けられるため、法学理論の効用、例えば、母国語によって論理的な考え方が培われること、また、法および条文というある種のコードによって社会考察および分析がなされ得る点が没却されがちであるのる。下記は、これらを回復させるための書物の一例である。ただ、残念なことに絶版のものもあるので、図書館で参照されることをすすめる。
 
*『法律学における学説』([[w:宮沢俊義|宮沢俊義]] 有斐閣)
*『岩波講座 基本法学(全8巻)』(岩波書店)
*『比較不能な価値の迷路』([[w:長谷部恭男|長谷部恭男]] 東京大学出版会)
*『民法総論』([[w:大村敦志|大村敦志]] 岩波書店)
*『生活民法入門』([[w:大村敦志|大村敦志]] 東京大学出版会)
 
=== 法学一般 ===
大正時代から第二次世界大戦後にかけて活躍した学者による書物
*『法学入門』([[w:末弘嚴太郎|末弘嚴太郎]] 日本評論社)
 
主に第二次大戦後から昭和時代学説を展開かけて活躍した著名な学者による書物
*『法律学における学説』([[w:宮沢俊義|宮沢俊義]] 有斐閣)
*『法学入門』([[w:星野英一|星野英一]] 有斐閣)
*『法学の基礎』([[w:団藤重光|団藤重光]] 有斐閣)
*『現代法学入門』([[w:伊藤正己|伊藤正己]]・[[w:加藤一郎 (法学者)|加藤一郎]] 有斐閣)
*『法学入門』([[w:三ヶ月章|三ヶ月章]] 弘文堂)
*『実定法学入門』([[w:田中英夫 (法学者)|田中英夫]] 東京大学出版会)
*『法学入門』([[w:星野英一|星野英一]] 有斐閣)
法または法律について、「人」「企業」など法的要素を主軸として、法的現象を具体的に考察した叢書。絶版だが、小規模の公立図書館でも置いてあるところもある。
*『現代法学入門』([[w:伊藤正己|伊藤正己]]・[[w:加藤一郎 (法学者)|加藤一郎]] 有斐閣)
*『岩波講座 基本法学』(岩波書店)
 
現代の学者による書物
*『法学の誕生』([[w:内田貴|内田貴]] 筑摩書房)
 
 
=== 民法 ===
主に第二次大戦後から昭和時代に学説を展開した著名な学者による書物
*『民法案内 1 私法の道しるべ』([[w:我妻栄|我妻栄]] 勁草書房)
*『民法のすすめ』([[w:星野英一|星野英一]] 岩波書店・岩波新書)