「高等学校理科 生物基礎/内臓と体内環境」の版間の差分

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『高等学校生物/生物I/生物の体内環境の維持』 2018年12月21日 (金) 02:44‎ から内臓について引用。
 
ホルモンについては別単元で扱うので除去。
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=== 肝臓とその働き ===
[[画像:Surface projections of the organs of the trunk.png|thumb|right|ヒトの肝臓(liver)、腎臓(kidney)]]
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* 血糖値の調節
グルコースの一部は肝臓で'''グリコーゲン'''へと合成され貯蔵される。グリコーゲンは必要に応じてグルコースに分解されて、エネルギー源として消費される。このようにして、血液中のグルコースの量や濃度('''血糖値'''、血糖量)が、一定に保たれる。
 
* タンパク質の合成・分解
肝臓では血しょうの主なタンパク質の'''アルブミン'''(albumin)を合成しており、また血しょう中の血液凝固に関するタンパク質である'''フィビリノーゲン'''も肝臓で合成している。
 
* 尿素の合成
タンパク質の合成にはアンモニアなど有害な物質が生成するが、肝臓はアンモニアを毒性の低い'''尿素'''(にょうそ)に変えている。尿素は腎臓(じんぞう)に集められ、膀胱(ぼうこう)を経て、尿道から体外へと排出される。
 
:(※編集者へ ここに「オルチニン回路」の図を追加してください。)
哺乳類や両生類では、アンモニアを尿素に変えてから排出する。なお、魚類は生成したアンモニアを直接、外部に放出している。まわりに水が多いため、アンモニアを直接排出しても害が少ないため、と考えられてる。鳥類やハ虫類では、尿素ではなく尿酸を合成しており、尿酸を排出する。鳥類とハ虫類とも、陸で生まれて、かたい卵で生まれる動物である。
 
* アルコールなどの分解
そのほか有害な物質の解毒の例としては、アルコールを分解したりしている。
 
* 胆汁
胆汁は肝臓で作られており、胆汁は胆管(bile duct)を通り、胆のう(gallbladder)へ貯蔵され、十二指腸(duodenum)へ分泌される。
胆汁は脂肪を消化吸収しやすくする。胆汁に消化酵素は含まれていない。胆汁は脂肪を小さな粒に変える。このように脂肪を小さな粒に変えることを'''乳化'''(にゅうか)という。
 
* 古くなった赤血球の破壊
古くなった赤血球を破壊する。ヒトの胆汁中に含まれる色素の'''ピリルビン'''は、古くなって破壊した赤血球に含まれていたヘモグロビンに由来している。便(大便)とともに、ピリルビンは排出される。
 
* 体温の維持
合成・分解など様々な化学反応が行われるため、反応熱が発生し、体温の維持にも役立っている。
 
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そして原尿から水分が吸収されたことで、残された尿素などの老廃物や再吸収されなかったものが濃縮して'''尿'''(にょう、urine)となり、体外へ尿として排出される。なお尿素は肝臓で作られる。
 
ボーマンのう こし出される原尿は、ヒトの成人男性では1日あたり約170Lもあるが、その大部分は再吸収されるので、最終的に対外に尿として排出される液量は1L~2Lほどになる。99%ほど濃縮されたことになる。
 
 
*再吸収とホルモンとの関係
ヒトなどの場合、血液中の塩分濃度が低いと、Naの再吸収がホルモンによって促進される。このホルモンは'''鉱質コルチコイド'''(mineral corticoid)という。腎細管でほとんどのナトリウムが再吸収される。鉱質コルチコイドは副腎皮質から分泌されている。
 
 
水の再吸収については、脳下垂体から'''バソプレシン'''(vasopressin)というホルモンが分泌されることによって、集合管での水の再吸収が促進される。
塩類の過剰な摂取などで、血液中の塩類濃度が上昇して体液の浸透圧が上がったときにも、バソプレシンによって水の再吸収が促進され、塩類濃度を下げさせる。水が吸収された結果、尿の液量は少なくなり、尿は濃くなる。
 
:※参考  このように尿量を減らす作用がバソプレシンにあるため、バソプレシンは「抗利尿ホルモン」(ADH)とも呼ばれる。<ref>嶋田正和ほか『生物基礎』数研出版、平成26年発行、p.119</ref>(※ 検定教科書での「抗利尿ホルモン」の記載を確認。) 専門書などでは「抗利尿ホルモン」の名称のほうを紹介している場合もある。
 
*再吸収の計算例とイヌリン
 
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