「高等学校理科 生物基礎/遺伝情報とタンパク質の合成」の版間の差分

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備考 RNAは上述のようにタンパク質の合成に必要なので、(ウイルスなどの生物かどうか不明な物体を例外として除けば)全ての生物がRNAを持っている、と考えられている。(※ 2016年センター試験『生物基礎』追試験の赤本(教学社)の見解)。
検定教科書ではmRNAを他RNAに優先して説明してるので、それに合わせて順序を変更。
2 行
 
まず、DNAの情報をもとに'''RNA'''(ribonucleic acid, '''リボ核酸''')という物質に写し取られる。RNAは1本鎖である。
 
 
 
 
 
=== RNAとアミノ酸合成までのしくみ ===
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RNAポリメラーゼの働きによって転写される。
 
 
RNAの種類は、働きによって、メッセンジャーRNAとトランスファーRNAとリボソームRNAの3種類に分けられる。
 
* メッセンジャーRNA
メッセンジャーRNA(mRNA)は、DNAの情報を写し取るためのRNAである。また、真核生物の場合、mRNAはリボソ-ム内へ移動し、そこでトランスファーRNAを正しくならべるための鋳型(いがた)としての役割を持つ。
 
{{-}}
* トランスファーRNA
<gallery widths=250px heights=250px style="float:right" >
File:TRNA 簡略図.svg|トランスファーRNA(略称:tRNA)
Image:TRNA-Phe yeast 1ehz.png|トランスファーRNAの分子モデル
</gallery>
 
トランスファーRNA(tRNA)は、リボソ-ムまでアミノ酸を運ぶためのRNAである。なので、アミノ酸がトランスファーRNAに結合している。
後述するが、mRNAの塩基3個ぶんの並びによってアミノ酸が決定される。なので、この塩基3つぶんの情報しか、トランスファーRNAは情報をふくまず、タンパク質を構成する多くものアミノ酸の並びについての情報はふくんでいない。
 
アミノ酸を正しく配列するためには、真核生物の場合、メッセンジャーRNAが必要である。
 
 
* リボソ-ムRNA
タンパク質の合成はリボソーム(ribosome)で行われ、トランスファーRNAの運んできたアミノ酸からタンパク質をつくる合成がリボソームで行われる。リボソームのもつRNAは、mRNAとは別の系統であり、DNAにもとづく別系統のRNAをリボソ-ムが持っているので、リボソームRNA(rRNA)という。
 
真核生物の場合、メッセンジャーRNAが核膜孔から出てきてリボソ-ムへ移動し、トランスファーRNAを正しく並べることで、結果的にアミノ酸を正しく並べる。
 
このように真核生物では、リボソーム内で、メッセンジャーRNAとトランスファーRNAが再開することになる。
 
このように、リボソ-ムで合成されるタンパク質でのアミノ酸の並びの決定方法は、おもにメッセンジャーRNAの配列にもとづくのであり、いっぽうリボソームRNAの配列は直接にはアミノ酸の並びの決定には関わっていない。
 
==== タンパク質の合成の過程 ====
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</tr>
</table>
たとえばAUGはメチオニンを指定する。またAUGは翻訳を開始するコドンでもある。
AUGのように、翻訳を開始するコドンを'''開始コドン'''(initiation codon)という。
 
いっぽう、UAA、UAG、UGAは対応するアミノ酸がなく、翻訳を終了させるので'''終止コドン'''(termination codon)という。
 
たとえばUUUはフェニルアラニンを指定する。
 
生物学者のニーレンバーグは1961年、塩基としてウラシル(U)だけを持つRNAをリボソ-ム溶液に加えたところ、フェニルアラニンが大量に合成されたことで、フェニルアラニンの遺伝暗号がUUUであることが発見された。
 
その後、生物学者コラーナなどのによって、遺伝暗号が解読された。
 
:※ コドン表の読みかたは『生物基礎』の範囲外なので、高校1年生は分からなくても気にしなくて言い。
 
* セントラルドグマ
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:※ 逆転写酵素については『生物基礎』の範囲外なので説明を除外する(いちおう、数研出版の教科書には逆転写について書かれているが、しかし他社の『生物基礎』教科書では説明していない。)。エイズは免疫不全の病気であるが、そもそも生物基礎では、DNAの単元の次あたりに、これから免疫について習う。なので、まだ逆転写酵素について習うような段階ではない。
:なお、遺伝やDNAとの関係については、よく「エイズを起こすHIVウイルスが逆転写酵素を持つ」と言われるが(専門『生物』科目で習う)、だからといってエイズが子孫に遺伝するわけではない。
 
== RNAの種類 ==
 
* メッセンジャーRNA
メッセンジャーRNA(mRNA)は、DNAの情報を写し取るためのRNAである。また、真核生物の場合、mRNAはリボソ-ム内へ移動し、そこでトランスファーRNAを正しくならべるための鋳型(いがた)としての役割を持つ。
 
{{-}}
* トランスファーRNA
<gallery widths=250px heights=250px style="float:right" >
File:TRNA 簡略図.svg|トランスファーRNA(略称:tRNA)
Image:TRNA-Phe yeast 1ehz.png|トランスファーRNAの分子モデル
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トランスファーRNA(tRNA)は、リボソ-ムまでアミノ酸を運ぶためのRNAである。なので、アミノ酸がトランスファーRNAに結合している。
後述するが、mRNAの塩基3個ぶんの並びによってアミノ酸が決定される。なので、この塩基3つぶんの情報しか、トランスファーRNAは情報をふくまず、タンパク質を構成する多くものアミノ酸の並びについての情報はふくんでいない。
 
アミノ酸を正しく配列するためには、真核生物の場合、メッセンジャーRNAが必要である。
 
 
* リボソ-ムRNA
タンパク質の合成はリボソーム(ribosome)で行われ、トランスファーRNAの運んできたアミノ酸からタンパク質をつくる合成がリボソームで行われる。リボソームのもつRNAは、mRNAとは別の系統であり、DNAにもとづく別系統のRNAをリボソ-ムが持っているので、リボソームRNA(rRNA)という。
 
真核生物の場合、メッセンジャーRNAが核膜孔から出てきてリボソ-ムへ移動し、トランスファーRNAを正しく並べることで、結果的にアミノ酸を正しく並べる。
 
このように真核生物では、リボソーム内で、メッセンジャーRNAとトランスファーRNAが再開することになる。
 
このように、リボソ-ムで合成されるタンパク質でのアミノ酸の並びの決定方法は、おもにメッセンジャーRNAの配列にもとづくのであり、いっぽうリボソームRNAの配列は直接にはアミノ酸の並びの決定には関わっていない。