「高等学校世界史探究/第二次世界大戦と新しい国際秩序の形成 学習のポイント」の版間の差分

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ドイツで皇室が消えたことにより議会の力が強まったという背景が、政治家ヒトラーが台頭(たいとう)しやすかったという理由の一つでしょう。
 
 
== ※ 欧州方面の国際関係の予備知識 ==
現代人のわれわれの視点では、ついつい、第二次大戦の最中の国際関係で、英独仏やヨーロッパ諸国やロシアの関係をみてしまがちである。
 
しかし、じつはWW2(第二次世界大戦の略語)戦前の国際関係は、戦中の国際関係とはやや違い、この戦前の時代は激動の時代でもあった。
 
戦前のヨーロッパ国際関係の要点を話すと、
:・ 当初、ドイツとロシアは比較的、協力的だった時期がある。理由は主に、独ソには、イギリスなど共通の敵がいたからである。
:・ イギリスは、決して戦前の当初から、民主主義や民族自決を標榜していたわけではない(そもそもイギリス自体がインドなどを侵略してる国家)。戦後、イギリスは植民地の民主化をせざるをえない国際状況になったのである。
:・ ソ連は民主国家ではない。戦中のドイツによるアウシュビッツなどの強制収容助での大量虐殺が有名だが、スターリン時代のソ連でも別の理由での民衆に対する大量虐殺があったことが解明されている(※ 中学の自由社の検定教科書にも記述されている)。ドイツが秘密警察(「ゲシュタポ」)を駆使して言論弾圧をしたのと同様に、スターリン時代のソ連でも類似の秘密警察による言論弾圧があったことが解明されている(※ 中学の自由社の検定教科書に記述あり)。
 
※ ここら辺の経緯は複雑なので、中学校では説明を省略しているのにも、それなりの合理性はある。
 
現代の歴史学では、このような第二次世界大戦前の国際関係や政治が解明されてきたので、歴史学では、けっして従来の「民主主義 対 ファシズム」という視点だけでなく、近年ではさらに、ソ連もドイツも全体主義国家という視点も提唱されている(※ 中学の自由社の検定教科書に記述あり)。
 
 
中高の検定教科書で、イタリアがいまいち「全体主義」の国家に分類されていないのは、どういう事か?
 
中高の検定教科書では特に理由は述べられてないが、じつはイタリアには王室があり、ムッソリーニを任命したのはイタリア国王である。しかもWW2後期、イタリア国王命令によりムッソリーニは解任されている。
 
ムッソリーニは軍国主義的であったし独裁的かもしれないが、しかし、けっして本当の独裁者であったわけではない(もしムッソリーニが独裁者だとしたら、彼ムッソリーニを首相に任命したり解任できるイタリア国王は何者か?)。ドイツの真の独裁者になったヒトラーとは、イタリアのムッソリーニは事情が違うのである。
 
※ 中学生にここまで理解を要求するのは酷なので、なるほど、中学の段階では「ファシズム 対 民主主義」という構図をメインにするのにも、それなりの合理性はあろう。