「制御と振動の数学/第一類/演算子法の誕生/演算子法の合理化」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
編集の要約なし
編集の要約なし
19 行
このような疑問もあって,彼の仕事は生前は必ずしも正しく評価されなかったという.
しかしその成果の豊かさには目をみはるものがある.
そのことが,幾人かの数学者の注意を引き、1920 年前後には,[[w:en:Thomas_John_I%27Anson_Bromwich|T. Bromwitch]],[[w:de:Karl_Willy_Wagner|K. W. Wagner]],[[w:en:John_Renshaw_Carson|J. R. Carson]] などにより,正当化が試みられ,
多くの応用を生み,これらは,[[w:en:Gustav_Doetsch|G. Doetsch]] による [[w:%E3%83%A9%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%B9%E5%A4%89%E6%8F%9B|Laplace 変換]]による厖大な著作<ref>
[https://link.springer.com/book/10.1007/978-3-0348-6984-3 Handbuch der Laplace-Transformation] 3巻 (1950, 1955, 1956, Springer)
102 行
式 [[制御と振動の数学/第一類/演算子法の誕生/演算子法の合理化#eq:1.20|(1.20)]] と [[制御と振動の数学/第一類/演算子法の誕生/演算子法の合理化#eq:1.21|(1.21)]] は我々が求めていた関係である<ref>
さらに [[制御と振動の数学/第一類/演算子法の誕生/演算子法の完成#eq:1.13|式(1.13)]] については,
<math>e^{at} \mapsto p \int_0^\infty e^{at}e^{-pt}dt = p\int_0^\infty e^{(a - p)t}dt = \frac{p}{a - p} \left[ e^{(a - p)t} \right]_0^\infty = \frac{p}{p - a}</math>.(ただし <math>p > a</math>を仮定しなければならない.)<br />
 
</ref>.
つまり,変換式 [[制御と振動の数学/第一類/演算子法の誕生/演算子法の合理化#eq:1.19|(1.19)]] によって <math>t</math> の関数を <math>p</math> の関数に変換すれば,
<math>t</math> の領域での微分や積分が,<math>p</math> の領域では <math>p</math> を乗除することに対応することが証明されたのである.
ここでは <math>p</math> は数であるから,<math>p</math> に関する演算に係わるわだかまりは氷解するのである.
このようにして,少なくとも,1930 年頃までには,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\tilde{F}(p) = p\int_0^\infty f(t)e^{-pt}dt</math>}}
{{制御と振動の数学/equation|<math>f(t) = \frac{1}{2\pi i}\int_{c - i\infty}^{c + i\infty}\frac{\tilde{F}(p)}{p}e^{pt}dp</math>}}
なる関係式が見出だされ,演算子法の合理化が完成したのである.しかし現在では,
{{制御と振動の数学/equation|<math>F(s) = \int_0^\infty f(t)e^{-st}dt</math>|tag=(1.22)|label=eq:1.22}}
{{制御と振動の数学/equation|<math>f(t) = \frac{1}{2\pi i}\int_{c - i\infty}^{c + i\infty}F(s)e^{st}ds</math>|tag=(1.23)|label=eq:1.23}}
が用いられている.この方が部分分数分解などを行う際の計算が楽になるのである.
この式は,これより以前に [[w:%E3%83%94%E3%82%A8%E3%83%BC%E3%83%AB%EF%BC%9D%E3%82%B7%E3%83%A2%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%A9%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%B9|Laplace (1749-1827)]] によって用いられていたので,
式 [[制御と振動の数学/第一類/演算子法の誕生/演算子法の合理化#eq:1.22|(1.22)]] を [[w:%E3%83%A9%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%B9%E5%A4%89%E6%8F%9B|Laplace 変換]](Laplace 積分),
式 [[制御と振動の数学/第一類/演算子法の誕生/演算子法の合理化#eq:1.23|(1.23)]] を Laplace の逆変換(Bromwich 積分, または Laplace 積分の反転公式)と呼んでいる.
この対応を,
{{制御と振動の数学/equation|<math>f(t) \sqsubset F(s)</math>}}
あるいは,
{{制御と振動の数学/equation|<math>\mathcal{L}[f(t)] = F(s)</math>}}
などと記す.この対応(変換)により,微分・積分が,<math>s</math> の乗・除という代数演算に変換され,それに伴い微分方程式が代数方程式となる.そして,
この原理によって,微分方程式を解くことができるのである.このような方法で,ある種の積分方程式や差分方程式を解くこともできる.
このような考え方は,特に新奇なものではない.これと類似の演算技法はすでに経験済みである.
対数をとることによって,掛け算を足し算に変えたあの技法を思い出せばよいのである.