「高等学校生物/生物I/細胞とエネルギー」の版間の差分

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嫌気の意味は前の版のとおりで正しい。偏性嫌気と勘違いしていた。
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グリセルアルデヒドリン酸が、いくつかの反応を経て、ピルビン酸になる。この間の反応で、電子e<sup>-</sup>とプロトンH<sup>+</sup>が生じて、補酵素NADに渡されNADHになる。ここで生じたNADHはミトコンドリアに入り、あとの電子伝達系で利用される。また、ATPが4分子できる。よって、差し引きグルコース1分子につき、2分子ATPが、解糖系で生じる。
 
* クエン酸回路
ピルビン酸が、ミトコンドリア内に入り、ミトコンドリアのマトリックスという内膜にある酵素で、ピルビン酸がコエンザイムA(CoA)と結合してアセチルCoA(活性酢酸)というC2化合物になり、段階的に分解される。二酸化炭素が、ピルビン酸がアセチルCoAになる際に生じる。
アセチルCoA以降の反応図は回路上であって、回路のはじめにクエン酸(citric acid)が生じることから、'''クエン酸回路'''(Citric acid cycle)という。
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コハク酸以外での脱水素反応では、NADが水素を受け取っている。(「NAD」とは「ニコチン アデニン ジヌクレオチド」のことである。)
 
* 電子伝達系(Electron transport chain)
ミトコンドリアの内膜に'''シトクロム'''(cytochrome)というタンパク質がいくつもあり、このシトクロムは電子を受け渡しできる。解糖系やクエン酸回路で生じたNADHやFADH2から、電子e<sup>-</sup>と水素イオンH<sup>+</sup>が分離し、電子はシトクロムに渡される。そしてシトクロムどうしで電子を受け渡す。このとき、H<sup>+</sup>が、いったんマトリックスから膜間にくみ出され、それから水素イオンの濃度勾配に従ってATP合成酵素を通ってマトリックス側に戻る。このH<sup>+</sup>が'''ATP合成酵素'''を通る際のエネルギーを利用して、ADPからATPが生成される。最終的に生成するATPの数は、グルコース1分子あたりATPを最大で34分子を生じる(生物種によって生成数が異なる)。
これらの反応ではNADHなどが酸化される反応が元になってATPを生成しているので、一連の反応を'''酸化的リン酸化'''(oxidative phosphorylation)という。シトクロムのことをチトクロームともいう。
625 行
好気呼吸でのATPの収支は、グルコース1分子あたり解糖系で2分子のATP、クエン酸回路で2分子ATP、電子伝達系で最大34分子ATPであり、合計で最大38分子のATPになる。
 
:※ 電子伝達系で生産されるATPの個数が、解糖系やクエン酸回路のATPの個数(2分子)と比べて、(電子伝達系では)桁違いに多い(34分子)。