「高等学校倫理/近代思想の展開Ⅱ」の版間の差分

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これまでの学問、とくにスコラ学はこうした幻影に惑わされて、自然を勝手にゆがめて解釈してきたゆえに不毛なものになってしまったという。ベーコンはこれらの偏見を取り除き、自然をありのままに観察し、そこから自然の法則を明らかにしようとした。そのための方法が帰納法である。
====帰納法====
'''帰納法'''とは個々の経験や実験・観測による事実から共通するものをとりだして一般的な法則を見出す方法である。帰納法そのものはすでにアリストテレス以来認められていたが、自説に都合のいい事実をピックアップしたり、膨大な事実をただ集めるだけで終わってしまうことが多かった。
 
また、スコラ学者のような人々は現実に即していない空理空論を振り回すだけだとベーコンは考えた。
 
ベーコンはこれまでの帰納法もスコラ学も批判する。経験派(従来の帰納法を使う人々や当時の科学者)はアリのように物事を集めるだけであり、独断派(スコラ学者およびアリストテレスなど)はクモのように頭の中で空論や独断を紡ぎだす。しかし、新しい哲学は、あたかもハチが材料を花から集めながらハチミツを作りだすように、自然の観察や実験によって見出された材料をもとにして知性によって自然の法則を見出す。
 
とはいうものの、自然は簡単にはその真の姿を見せてくれない。ベーコンは「自然の秘密もまた(中略)技術によって苦しめられるときいっそうよくその正体をあらわすのである」(『ノヴム・オルガヌム』第一巻・98)という<ref>このことを後世の人は「自然を拷問にかける」と、いささか物騒なたとえに言い換えている。</ref>。自然をただ観察するだけでは肝心なことは見えてこないのだから、いろいろな道具や技術を用い、都合のいい状態を人工的に作りだす。つまり実験を通じてデータを集め、一般的な法則を見出すという現代科学の方法を確立したのである。
 
===ホッブズとロック===