「高等学校数学II/式と証明・高次方程式」の版間の差分

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コラム: 5次方程式の「解の公式」は無い ※ 検定教科書では、章末コラムや巻末の見開きなどで、目立たずに書いてある。
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{{コラム| 複素数では大小関係が無い |
 
検定教科書では説明が大幅に省略されてるが、複素数そのものや虚数そのものには、大小関係が定義されない。つまり、2個以上の複素数について、不等号は定義されない。
 
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複素数では、数直線のように一直線には書けないので、そもそも順序を明確な基準で定義できない事などが理由だろう。
 
もちろん、ある複素数 z=a+bi にその共役の複素数を掛けて、絶対値の2乗 a^2 + b^2 をとれば、その絶対値は実数なので、不等号を使えるが、しかしそれは実数の大小関係であるので、わざわざ複素数の大小関係を定義する必要が無い。
 
また、もし絶対値の2乗 a^2 + b^2 で大小関係の定義をしたとすると、+1 と ー1 の絶対値が同じなので大小関係を比較できず、無価値な理論になってしまう。
 
このように、もし複素数の理論に、むりやりに大小関係を定義してみても、無価値な結論がいくつも出てきてしまい、無駄になってしまう。近世ヨーロッパで複素数の研究ですぐれた研究成果を達成した数学者オイラーですら、研究の当初はためしに複素数の大小関係を定義してみたが、役立たない結論ばかりが得られたので、発想を転換して、複素数には大小関係を定義すべきでない という発想に切りかえたほどである。
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== コラム: 5次方程式の「解の公式」は無い ==
:※ 検定教科書では、章末コラムや巻末の見開きなどで、目立たずに書いてある。
 
2次方程式には解の公式があり、日本の中学や高校でも習う。2次方程式の解の方程式では、方程式の係数が実数であるかぎりは、どんな係数であっても解を求められる。
 
 
3次方程式と4次方程式にも、高校ではあまり深入りしないが、じつは解の公式があり、係数が実数のどんな係数であっても解を求められる。
 
しかし、5次方程式では、そのような一般的な解の公式は無い。
 
 
もちろん、
 
<math> x^5 -32 = 0 </math> のような特別な場合の方程式には、個々の解がある。
 
たとえば、<math> x^5 -32 = 0 </math> は解のひとつとして <math> x=2 </math> をもつ。
 
しかし、特別な係数の組み合わせの場合に解の存在することと、一般的な解の公式の存在とは、意味が違う。
 
 
5次方程式に、一般的な解の公式が存在しないとは、どんな実数係数の組み合わせであっても適用できる、普遍的な解の公式が無いという事である。
 
 
 
その根拠として、数学者アーベルや数学者ガロアなどによって、5次以上の方程式では、解の公式が無いことが証明されてしまった。ただし、その証明は高度すぎるので、高校生は学習しなくて良い。(また、工業的な実用性もまったく無い。)