「高等学校数学I/数と式」の版間の差分

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多項式の用語は日本の高校教科書に合わせるべき。
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==数と式==
===式の展開と因数分解===
====単項式と多項 ====
3や12などの数(定数)や、''x'' や ''y'' などの文字(変数)を掛けあわせてできる式を'''項'''(こう、term)という。
 
次のようなものが項である。
* 3''x''
* 12''y''
* 0
* -''x''
* 256''xy''<sup>2</sup>
このように一つの項だけからできている式を'''単項式'''(たんこうしき、monomial)という。1つ以上の単項式を足しあわせてできる式を'''多項式'''(たこうしき、polynomial)という。
 
以下は多項式の例である。
*3''x'' + 12''y''
*5 + ''a'' - 13''x''<sup>2</sup>''y''
*''a''<sup>2</sup> + 2''ab'' + ''b''<sup>2</sup>
*x - y
*2
単項式も、項が1つしかない多項式の一つであると考える。''x'' - ''y'' のように減法を含む式は、''x'' - ''y'' = ''x'' + (-''y'') = -''y'' + ''x'' と減法を加法に直すことができるので、''x'', -''y'' を項にもつ多項式であると考えられる。すなわち、多項式の項とは、多項式を足し算の形に直したときの、一つ一つの足しあわさっている式のことである。たとえば 5 + ''a'' - 13''x''<sup>2</sup>''y'' = 5 + ''a'' + (-13''x''<sup>2</sup>''y'') の項は 5, ''a'', -13''x''<sup>2</sup>''y'' の3つである。
 
:(※ 重要: 「多項式」とは?) 中学では「'''多項式'''」(たこうしき、polynomial)とは、項が2つ以上の式だと習った。しかし、多項式の定義を変更して、項が1つ以上の式なら多項式と呼ぶことにすると、単項式と多項式との場合を分けをする必要がなくなり、証明問題などの歳に便利になる。実際、大学などでは日本だけでなく外国の大学でも、このような「多項式」の定義を使っている場合も多い。
:この教科書では単項式も多項式の特別の場合として考えるが、文字通り複数の(2つ以上の)項をもつ式だけを多項式と呼び、1つの項しかもたない単項式とは区別して考える流儀もある。この流儀では、多項式と単項式をあわせて'''整式'''(せいしき)と呼ぶ。整式は、この教科書における「多項式」と同義語である。
 
:ところが、「多項式」とは文字をみれば、「項の多い式」という意味なので、項を1つだと定義すると、定義と名前が一致しておらず、混乱の原因にもなる。
*問題
 
:そこで日本の高校教育では、高校の検定教科書では、「項が1つ以上の式」という概念については整式(せいしき)という用語を使っている。ここでいう「整」式とは、整理された式というような意味である。けっして、整数の式という意味ではない。なので、係数などは小数や分数でもよい。
 
 
※ あらためて「整式」を定義すると、次のような定義になる。
 
1つ以上の単項式を足しあわせてできる式を'''整式'''(せいしき)という。
 
以下は多項式の例である。
* 3''x'' + 12''y''
* 5 + ''a'' - 13''x''<sup>2</sup>''y''
* ''a''<sup>2</sup> + 2''ab'' + ''b''<sup>2</sup>
* x - y
* 2
 
単項式でも、項が1つしかない整式の一つであると考えることができるので、「整式」という概念を使うことにより、多項式と単項式との区別の必要がなくなる。
 
単項式も、項が1つしかない多項式の一つであると考える。''x'' - ''y'' のように減法を含む式は、''x'' - ''y'' = ''x'' + (-''y'') = -''y'' + ''x'' と減法を加法に直すことができるので、''x'', -''y'' を項にもつ多項式であると考えられる。すなわち、多項式の項とは、多項式を足し算の形に直したときの、一つ一つの足しあわさっている式のことである。たとえば 5 + ''a'' - 13''x''<sup>2</sup>''y'' = 5 + ''a'' + (-13''x''<sup>2</sup>''y'') の項は 5, ''a'', -13''x''<sup>2</sup>''y'' の3つである。
 
 
* 問題
次の式のうち単項式であるものを答えよ。
#:(1)  ''ax''<sup>2</sup> × ''bx'' × ''c''
# :(2) -(''x''<sup>3</sup>''y''<sup>4</sup>)(''z''<sup>5</sup>)
#:(3)  ''a''<sup>2</sup> + ''b''<sup>2</sup> + ''c''<sup>2</sup> - ''ab'' - ''bc'' - ''ca''
 
* 解答
(1.), (2.) が単項式。 (3.) は項が6つあるため単項式ではない。
 
* 備考
*解説
ここでは全ての単項式を多項式に含めるため、上の全ての式は多項だと言える。
 
====同類項 整式の整理 ====
3''x''<sup>2</sup> + 5''x''<sup>2</sup> + 8''x'' の 3''x''<sup>2</sup> と 5''x''<sup>2</sup> のように、多項式の文字と指数がまったく同じである項を総称して'''同類項'''(どうるいこう、like terms)という。
 
同類項は分配法則 ''ab'' + ''ac'' = ''a''(''b'' + ''c'') を使ってまとめることができる。たとえば 3''x''<sup>2</sup> + 5''x''<sup>2</sup> + 8''x'' = (3 + 5)''x''<sup>2</sup> + 8''x'' = 8''x''<sup>2</sup> + 8''x'' である。8''x''<sup>2</sup> と 8''x'' は文字は同じであるが指数が異なるので、同類項ではない。
 
* 問題
次の多項式の同類項を整理せよ。
#  <math>4x^3 - 3xy - 2 + 1 - 3x^3 + 4xy</math>
#  <math>2a^2 - 4ab + 2a - 4ab^2 - 4a^2b</math>
#  <math>9 x^2 y^3 z^4 - 8 z^2 y^3 x^4 + 7zyx - 6xyz + 5 x^2 yz - 4 y^2 x z + 3 z x^2 y - 2 x^4 y^3 z^2</math>
 
*
#  <math>x^3 + xy - 1</math>
#  <math>2a^2 - 4ab + 2a - 4ab^2 - 4a^2b</math>
#  <math>-10 x^4 y^3 z^2 + 9 x^2 y^3 z^4 + 8 x^2 yz - 4 x y^2 z + xyz</math>
 
==== 次数 ====
*解答
3''x'' という単項式は、3という数と ''x'' という文字に分けて考えることができる。数の部分を単項式の'''係数'''(けいすう、coefficient)という。たとえば -''x'' = (-1)''x'' という単項式の係数は-1である
# <math>x^3 + xy - 1</math>
# <math>2a^2 - 4ab + 2a - 4ab^2 - 4a^2b</math>
# <math>-10 x^4 y^3 z^2 + 9 x^2 y^3 z^4 + 8 x^2 yz - 4 x y^2 z + xyz</math>
 
たとえば ー''x'' = (ー1)''x'' という単項式の係数は ー1 である。
====次数====
3''x'' という単項式は、3という数と ''x'' という文字に分けて考えることができる。数の部分を単項式の'''係数'''(けいすう、coefficient)という。たとえば -''x'' = (-1)''x'' という単項式の係数は-1である。
 
256''xy''<sup>2</sup> という単項式は、256という数と ''x'', ''y'', ''y'' という文字に分けて考えることができるので、この単項式の係数は256である。一方、掛けあわせた文字の数を単項式の'''次数'''(じすう、degree)という。256''xy''<sup>2</sup> は ''x'', ''y'', ''y'' という3つの文字を掛けあわせてできているので、この単項式の次数は3である。0という単項式の次数は 0 = 0''x'' = 0''x''<sup>2</sup> = 0''x''<sup>3</sup> = ... と一つに定まらないので、ここでは考えない。