「大学受験参考書/数学」の版間の差分

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高等学校数学II/微分・積分の考え』 2017年7月15日 (土) 03:34‎ より、2019年現在の版では除去されているリーマン積分の記述をこちらに移動。
 
高等学校数学II/式と証明・高次方程式』 2019年6月17日 (月) 09:41‎ から、現在の版では除去されている複素数の導入と3次方程式との関係について、こちらに移動。
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== 複素数 ==
==== 発展:リーマン和による積分の定義 ====
=== 導入 ===
二次方程式 <math>ax^2+bx+c = 0</math> の解の公式 <math>x=\frac{-b\pm\sqrt{b^2-4ac}}{2a}</math> で、判別式 <math>\sqrt{b^2-4ac}</math> がマイナスの場合、x軸との交点は無かった。
 
 
二次関数の方程式で解の無い式を、解の公式に無理矢理に当てはめると、解の公式にあるルート部分 <math>\sqrt{b^2-4ac}</math> (「判別式」という)の中身がマイナスになる。たとえば <math>\sqrt{-2}</math> や <math>\sqrt{-3}</math>のようになる。
 
ヨーロッパの数学では、中世に2次関数の研究が行われていた当初、解の公式をあてはめてみてルートの中身がマイナスになる方程式の場合は、単に「解が無い場合」というふうに考えていたので、当初の理論では、2乗してマイナスになる数については考える必要が無いと思われていた。
 
ところが、それから数学の研究が3次関数や4次関数へと進み、3次方程式の解の公式 や 4次関数の解の公式 が発見された際、2乗してマイナスになる数が、解を持つ公式の中に出てきた。つまり、たとえば 3次関数の方程式
:<math> a x^3 + b x^2+ c x + d = 0 \qquad (a \ne 0)</math>
で解をもつ場合でも、つまり、<math> a x^3 + b x^2+ c x + d</math> をグラフに書いた時にx軸と交わる場合でも、解の公式のなかに2乗するとマイナスになる数があらわれる場合のあることが分かってきた。
 
 
このため、2乗してマイナスになる数の研究が中世〜近世ごろのヨーロッパで始まった。
 
このような、2乗してマイナスになる数というのが、これから読者の学ぶ「虚数」(きょすう)である。
 
 
さらに虚数の研究が進むと、数学の「三角関数」(さんかく かんすう)といわれる分野や、「微分積分」(びぶん せきぶん)と言われる分野などの公式の多くが、虚数をつかうと公式が簡単な形になったり、また理解しやすくなることが分かってきた。そして20世紀以降、数学にかぎらず物理学や電気工学などの色々な分野でも、それらの分野における式計算をラクにするために虚数が活用されるようになった。
 
 
さて、慎重な読者のなかには「二乗してマイナスになる数を式に導入しても矛盾しないだろうか?」と心配する人もいるかもしれないが、しかし大丈夫である。なぜなら、そもそも、3次関数などの解をもつ場合の公式から、虚数の理論が誕生したのであるから、3次関数などの解の公式に矛盾のないかぎり、虚数の理論にも矛盾のしようが無いだろう。
 
そして21世紀の現在まで、3次関数の公式には、間違いは知られてなく、今でも3次関数の解の公式は正しい公式である。
 
なお現代では、3次関数や4次関数の公式には、あまり実用性が無いので、高校では学ばない。高校生の読者の勉強時間にも限りがあるので、3次関数や4次関数の公式に深入りする必要は無い。
 
 
さて、虚数の性質については、通常の数とは性質のちがう部分がいくつかのあるので、注意ぶかく学習する必要がある( たとえば虚数には、大小関係が無い)。
 
== 微分積分 ==
==== 発展:リーマン和による積分の定義 ====
高校数学においては、上述のように積分は微分の逆演算として定義される。そしてそれがグラフに囲まれる領域の面積と一致することは定理であるという立場をとる([[高等学校数学III/積分法#区分求積法]]も参照)。しかし、高校数学以外では、面積を積分の定義として、それが微分の逆演算で計算できることを定理とするのが標準的である。この節では、そのような積分の定義について解説する。