「大学受験参考書/数学」の版間の差分

「大学受験参考書」なので、大学受験との関連が不明確な記述を除去
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(「大学受験参考書」なので、大学受験との関連が不明確な記述を除去)
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'''注意'''
:本頁では、読者がすでに、学校の検定教科書や、wikibooks『[[高等学校数学]]』などを読んでおり、該当する単元の計算法を習っている事を前提にしている。これらの教材では説明の省略された背景知識について本頁では追記する。
 
== 複素数 ==
=== 導入 ===
 
複素数を使うと、2次方程式を全ての場合において、因数分解できるようになる。
 
では、そもそも、「なぜ2次方程式を複素数を使ってまで因数分解する必要があるのか?」とか、「2次方程式を因数分解しても、3次以上の方程式で矛盾しないか?」という心配については、
:じつは3次方程式や4次方程式の解の公式で、因数分解を要求しているから、3次以下の2次方程式を因数分解しても大丈夫である。
 
3次方程式や4次方程式の解の公式で、実数解のある方程式を因数分解すると、実数解といっしょに虚数解も出て来る場合もある。
 
このため、けっして実数解と虚数解とは、対立しあうものではなく、3次以上の方程式において実数解を導出するために虚数解も必要になるのである。(説明 おわり)
 
また、大学レベルの話題になるが、「微分積分」(びぶん せきぶん)などの理論で、複素数を使った因数分解が必要になる場合などもある。
 
 
そういう応用を見越して、高校生は とりあえず、複素数をつかった2次方程式の因数分解を計算練習している事情もある。
 
 
 
さて、二次方程式 <math>ax^2+bx+c = 0</math> の解の公式 <math>x=\frac{-b\pm\sqrt{b^2-4ac}}{2a}</math> で、判別式 <math>\sqrt{b^2-4ac}</math> がマイナスの場合、x軸との交点は無かった。
 
 
二次関数の方程式で解の無い式を、解の公式に無理矢理に当てはめると、解の公式にあるルート部分 <math>\sqrt{b^2-4ac}</math> (「判別式」という)の中身がマイナスになる。たとえば <math>\sqrt{-2}</math> や <math>\sqrt{-3}</math>のようになる。
 
ヨーロッパの数学では、中世に2次関数の研究が行われていた当初、解の公式をあてはめてみてルートの中身がマイナスになる方程式の場合は、単に「解が無い場合」というふうに考えていたので、当初の理論では、2乗してマイナスになる数については考える必要が無いと思われていた。
 
ところが、それから数学の研究が3次関数や4次関数へと進み、3次方程式の解の公式 や 4次関数の解の公式 が発見された際、2乗してマイナスになる数が、解を持つ公式の中に出てきた。つまり、たとえば 3次関数の方程式
:<math> a x^3 + b x^2+ c x + d = 0 \qquad (a \ne 0)</math>
で解をもつ場合でも、つまり、<math> a x^3 + b x^2+ c x + d</math> をグラフに書いた時にx軸と交わる場合でも、解の公式のなかに2乗するとマイナスになる数があらわれる場合のあることが分かってきた。
 
 
このため、2乗してマイナスになる数の研究が中世〜近世ごろのヨーロッパで始まった。
 
このような、2乗してマイナスになる数というのが、これから読者の学ぶ「虚数」(きょすう)である。
 
 
さらに虚数の研究が進むと、数学の「三角関数」(さんかく かんすう)といわれる分野や、「微分積分」(びぶん せきぶん)と言われる分野などの公式の多くが、虚数をつかうと公式が簡単な形になったり、また理解しやすくなることが分かってきた。そして20世紀以降、数学にかぎらず物理学や電気工学などの色々な分野でも、それらの分野における式計算をラクにするために虚数が活用されるようになった。
 
 
さて、慎重な読者のなかには「二乗してマイナスになる数を式に導入しても矛盾しないだろうか?」と心配する人もいるかもしれないが、しかし大丈夫である。なぜなら、そもそも、3次関数などの解をもつ場合の公式から、虚数の理論が誕生したのであるから、3次関数などの解の公式に矛盾のないかぎり、虚数の理論にも矛盾のしようが無いだろう。
 
そして21世紀の現在まで、3次関数の公式には、間違いは知られてなく、今でも3次関数の解の公式は正しい公式である。
 
なお現代では、3次関数や4次関数の公式には、あまり実用性が無いので、高校では学ばない。高校生の読者の勉強時間にも限りがあるので、3次関数や4次関数の公式に深入りする必要は無い。
 
 
さて、虚数の性質については、通常の数とは性質のちがう部分がいくつかのあるので、注意ぶかく学習する必要がある( たとえば虚数には、大小関係が無い)。
 
== 微分積分 ==
=== 発展:リーマン和による積分の定義 ===
高校数学においては、上述のように積分は微分の逆演算として定義される。そしてそれがグラフに囲まれる領域の面積と一致することは定理であるという立場をとる([[高等学校数学III/積分法#区分求積法]]も参照)。しかし、高校数学以外では、面積を積分の定義として、それが微分の逆演算で計算できることを定理とするのが標準的である。この節では、そのような積分の定義について解説する。
 
[[File:区分求積法にもとづく積分 求めたい場所.svg|thumb|400px|区分求積法にもとづく積分 求めたい場所]]
 
関数 y=b x<sup>2</sup> など、2次以上の関数で、x軸とグラフの囲む面積を、x=0 から x=a の範囲まで計算して、文字式で答えを記述したいとする。
 
どうやって計算すれば良いか。
 
ここではそもそも面積が定義できるかという点には立ち入らない。
 
[[File:区分求積法にもとづく積分 求めたい場所 四角面積分.svg|thumb|300px|left|面積を、いくつもの四角で近似。]]
直感的には、面積を求めるべき領域を四角形や三角形などでできる限り埋め尽くせば面積の近似値がわかるので、分割を極限まで細かくしたときの面積をその領域の面積と考えればよい。厳密には分割の仕方によらず値が一致することを示さねばならないが、ここでは触れない。
 
{{-}}
[[File:区分求積法にもとづく積分 下極限.svg|thumb|400px|区分求積法にもとづく積分の説明図。下側(s<sub>e</sub>)で計算した場合の図。]]
[[File:区分求積法にもとづく積分 上極限.svg|thumb|400px|区分求積法にもとづく積分の説明図。上側(S<sub>f</sub>)で計算した場合の図。]]
 
近似する際の分割の仕方によらず面積が等しいことを認めてしまえば、次のようにして面積を計算することが考えられる。面積を、いくつもの棒グラフの面積の足し合せとして計算するのである。本当の面積よりも大きめの面積になる棒グラフと、小さめの面積になる棒グラフを考える。求めたい本当の面積を S として、小さめの棒グラフの面積を S<sub>e</sub> とし、大きめの面積の棒グラフを S<sub>f</sub> としよう。
すなわち、
: S<sub>e</sub> < S < S<sub>f</sub>
である。
 
もし正確に面積を求めたいなら、より細かい棒グラフで、面積を測ればよい。つまり、棒グラフ1個あたりの幅を細かくしていって、(そうすると、そのかわり棒グラフの本数が増えるが、)たとえば100個の棒グラフで近似、もっと細かくしていって1000個の棒グラフで近似、もっと細かく・・・、としていけば、どんどん面積が正確になる。つまり、面積の差は、無視できるほどに、小さくなる。(厳密には証明が必要だが、ここでは省略する)
 
そして、この、棒グラフを「どんどん細かくする」というような操作を、極限の操作と見なそう。すると、今までに習った極限の計算法を利用して、ひょっとしたら面積を文字式でも表せそうである。
 
結論を先にいうと、この「棒グラフをどんどん細かくする」という方法を極限で立式して、式をすすめていくと、面積を、文字式で表せる。
 
そして、このような面積の文字式による計算方法が、これから習う、積分(せきぶん)の正体である。
 
 
* 極限の実行
では、じっさいに極限計算を実行していって、面積を正確に求めてみよう。
 
まず、面積を、じっさいより小さく評価する場合について、計算していこう。
 
n本の棒グラフで面積を近似した場合を考える。棒グラフ1本の横幅(x軸方向の幅)は、<math> \frac{1}{n}a </math> である。そして、
左からk本目の棒グラフ高さは、図のように、<math> b({\frac{k}{n}a})^2 </math> である。
 
そして、その棒グラフ1本の面積は<math> b({\frac{k}{n}a})^2 (\frac{1}{n}a) </math> である。
 
 
そして、棒グラフを足し合わせるのだから、Σ計算を用いればよく、
:<math> S_e = \sum_{k=1}^N {b({\frac{k}{n}a})^2 (\frac{1}{n}a) } </math>
となる。
 
kについて、まとめると、
:<math> s_e = {( b{\frac{a^3}{n^3}} )} \sum_{k=1}^N {k^2} </math>
となる。
 
<math> \sum_{k=1}^N {k^2} </math>は[[高等学校数学B/数列#簡単な数列の和]]にある通り、<math> \sum_{k=1}^N {k^2} = \frac{n(n+1)(2n+1)}{6} </math> である。代入すると、
 
すると、
:<math> S_e = {( b{\frac{a^3}{n^3}} )} \frac{n(n+1)(2n+1)}{6}=b\frac{a^3(1+\frac{1}{n})(2+\frac{1}{n})}{6} </math>
となる。
 
そして、棒グラフを細かくするためには、n→∞に極限をとればよいのであるから、極限計算をすると、
:<math> \lim_{n \to \infty} S_e = b{ \frac{a^3}{3} } </math>
こうして、<math> S_e </math> の極限が求まった。
 
 
同様に、面積を大きめに評価した場合の面積 <math> S_f </math> を計算しても、
:<math> \lim_{n \to \infty} S_f = b{ \frac{a^3}{3} } </math>
になる。
 
そして、大小関係
: S<sub>e</sub> < S < S<sub>f</sub>
を思い起こすと、[[高等学校数学III/極限#数列の極限]]にあるはさみうちの原理により、面積Sの値は
:<math> S = b{ \frac{a^3}{3} } </math>
と求まる。
 
これが、積分である。
 
特にb=1とすれば、x<sup>2</sup>を 0 から a まで積分すると、<math> \frac{a^3}{3} </math> となる。この文字aを文字xで置き換えることで関数が得られる。この関数を不定積分という。二次関数の場合はこれが微分の逆と一致していることが式を見ることでわかる。
 
先述したとおり、積分の定義について、高校の検定教科書に書いてあるような定義(「微分の逆演算を積分という」のような定義)は、高校以外では標準的ではない。上述したような微小分割の無限和をとる極限計算を定義とするのが標準的である。
 
そして、大学などで習う、ベクトルの線積分(高校物理に例えると、「位置エネルギー」や(物理学的な意味での)「仕事」の計算のようなもの)などを理解するには、微小分割の無限和の極限計算にもとづいた積分に慣れ親しむ必要がある。
 
:(※ 上記の例題では、2次関数についてのみ、積分が微分の逆演算になってることを、実際に計算例で示した。本来は、一般の関数について積分が微分の逆演算になっていることを計算で証明する必要はあるが、ここではそこまで立ち入らない。)
 
 
* シグマと積分記号との関係
さて、
:<math> S_e = \sum_{k=1}^N {b({\frac{k}{n}a})^2 (\frac{1}{n}a) } </math>
だった。
 
ここで、棒グラフ1本あたりのx軸方向の幅 <math> (\frac{1}{n}a) </math> を、
: <math> \Delta x = (\frac{1}{n}a) </math>
と書くことにする。また、
:<math> x_k = \frac{k}{n}a </math>
とおく。これらを代入すると、
:<math> S_e = \sum_{k=1}^N { b{x_k}^2 \cdot \Delta x } </math>
さて、比較のため、積分の式を記載する。
:<math>F(x) = \int f(x)dx </math>
 
級数和の式と積分の式で、式の形が似ていることに注目しよう。級数和の <math> \sum </math> は積分記号<math> \int </math>に対応し、 <math> \Delta x </math> は <math> dx </math>に対応している。
 
 
== ベクトルの内積の意義 ==
2つのベクトルのつくる内積は、座標系が回転しても、大きさは同じままである。(座標の平行移動では、当然、ベクトルの内積は同じままである)
 
 
数学や物理学では、ある操作をしても大きさが変わらない量があるとき、その量を「不変量」(ふへんりょう)という。
 
2つのベクトルのつくる内積は、座標の回転という操作に関して、不変量なのである。
 
座標の回転や平行移動により、個々のベクトルの各次元の値は変わっても、ベクトルどうしのつくる内積の大きさは同じままなのである。
 
 
このため、「個々のベクトルの大きさや各次元の値よりも、ベクトルどうしの内積のほうが本質的に重要な量である」と解釈する人も、よくいる。
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