「高等学校数学A/場合の数と確率」の版間の差分

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「100までの自然数のうち、2または3の倍数は何個あるか?」の問題と解法などの追加。
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この章では場合の数と確率の計算法を紹介する。まず先に様々な事柄の場合の数の計算法を扱い、その結果を用いてある事柄が起こる確率を計算する方法を紹介する。
 
=== 場合の数 ===
:※ この単元では、単元『[[高等学校数学A/集合と論理]]』で習う集合の記号を使う。分からなければ、そちらのページも参照せよ。
 
一般に、ある有限集合 A の要素の個数を、n(A) で表す。
 
もし、ある有限集合をあらわす文字が B なら、 その集合の要素の個数は n(B) で表される。
 
とにかく、一般に 「 n( ) 」 の記法で、有限集合の個数を表す。
 
 
たとえば、10以下の自然数の集合を U として、そのうち 偶数の集合を A とする場合、
:A={2, 4, 6 , 8, 10}
なので、Aの要素の個数は5個なので
:n(A)=5
である。
 
なお、
U={1, 2, 3, 4, 5, 6 , 7, 8, 9, 10}
で要素の個数は10個なので
:n(U)=10
である。
 
 
次のような問題を解けるようにしたい。
100までの自然数のうち、2または3の倍数は何個あるか?
 
 
このような問題の解法を考えるため、準備の問題として、まず10までの自然数で考えてみよう。
 
 
先程の例題で2の倍数については考えたので、次の問題として10までの3の倍数の個数について考えよう。
 
10以下の自然数の集合を U として、そのうち 3の倍数の集合を B とする場合、
 
B={3, 6 , 9}
なので、Aの要素の個数は5個なので
:n(B)=3
である。
 
 
一般に、自然数 S までにある a の倍数は S÷a の商の個数である。
 
たとえば、10までの3の倍数の個数は 10÷3=3…1 なので 3個である。
 
 
さて、
 
:A={2, 4, 6 , 8, 10}
:B={3, 6 , 9}
 
には共通して 6 という要素が含まれている。
 
 
自然数10までにある2または3の倍数にあたる要素は、
:{2, 3, 4, 6, 8, 9, 10}
であり、要素の個数をかぞえると 7個である。
 
一方、
:n(A)+n(B)= 5+3 =8
であり、1個多い。
 
このように1個多くなってしまった原因は、 集合Aと集合Bに共通して含まれている要素 6 を二重に数えてしまっているからである。
 
 
:(※ 次の文章では、いったん、2または3の倍数の問題の個数のことを忘れて欲しい。)
 
一般にある、ある2種類の集合A,Bの個数 n(A) と n(B) を用いて、AまたはBの条件を満たす要素の個数をかぞえたい場合には、
 
AとBに共通して含まれている要素の個数を差し引かなければならない。
 
 
このことを公式で表すと
:n(A∪B) = n(A)+n(B)−n(A∩B)
になる。
 
ただし、「∪」とは和集合の記号で、 A∪B とは 集合Aと集合Bの和集合のことである。
 
「∩」とは共通集合の記号で、 「A∩B」とは 集合Aと集合Bの共通集合のことである。
 
 
では、この公式を参考にして
100までの自然数のうち、2または3の倍数は何個あるか?
の答えを求めよう。
 
 
100までの自然数のうちの、2の倍数の集合をAとして、3の倍数の集合をBとして、集合の個数を n( ) の記法で表すと
:n(A)= 100/2 =50   なので、Aの要素の個数(2の倍数の個数)は 50個、   整理すると n(A)= 50 である。
:n(B)については 100÷3=33…1 なので Bの個数(3の倍数の個数)は33個、   整理すると n(B)= 33 である。
 
 
 
さらに、2の倍数でもあり3の倍数でもある集合 A∩B とは、つまり6の倍数のことであるので(なぜなら 2 と 3 の最小公倍数が 6 なので)、
n(A∩B) の個数は、 100÷6=16…4 なので、A∩B の要素の個数 16 個である。
 
そして、公式
:n(A∪B) = n(A)+n(B)−n(A∩B)
を適用すると、
 
:n(A∪B) = 50 + 33 − 16 = 67
である。
 
 
よって、100までの自然数のうちの2または3の倍数の個数は 67個 である。