「高等学校倫理/近代の合理的・科学的な思考と方法」の版間の差分

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椎楽 (トーク | 投稿記録)
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==近代科学の幕開け==
古代ギリシャから中世に至るまで、ヨーロッパにおける自然観を支配していたのはアリストテレスの自然学であった。これは古代ギリシャの頃から判明していた様々な自然現象を統一的に説明するために体系化されたものであった。のちにキリスト教の神学がアリストテレスの哲学と結びついていくと、アリストテレス自然学は神学と合致する自然観とされるようになった。また、プトレマイオスの天動説はトマス=アクィナスによって認められたことから教会公認の学説として権威づけられた。
 
しかし、ルネサンスや宗教改革は、人々を神を中心とする価値観から解放した。そして、人間の現実的な欲望は肯定され、壮大な理想のもとに行動し、個人の自由な考え方や生き方が求められるようになった。それにともない、自然への見方もまた、従来のアリストテレス自然学を元にしたものからの転換が求められたのである。
===地動説===
===学問の方法===
アリストテレスの自然学の特徴は「目的」を重視したことにある。アリストテレスによれば、あらゆる自然物は自分の中になんらかの本性を持っており、その本性を実現することを目的としている。例えば、石が地面に落ちるのは、土から生まれた石が本来の場所である土に帰ろうとする「目的」があるから、つぼみが花開くのは、花こそが本性でありそれを目指そうとするからである。そのため、アリストテレスの方法では現象や物事の目的を探ることが目指される。このような方法を目的論という。
 
しかし、ルネサンスによってソクラテス以前のギリシャ哲学も見直されるようになると、目的論と対立する方法や自然観が注目されるようになる。特にデモクリトスの原子論は自然現象から目的や神の意志といったものを排除し、それぞれの要素が機械的に運動することによって説明する'''機械論的自然観'''に大きな影響を与えた。
 
===経験論と合理論===