「有機化学/有機化学の化学結合」の版間の差分

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共鳴理論の限界 上述のように、共鳴理論はベンゼンの六員環を説明できる。 しかし、四員環も五員環も八員環も説明できない。
フェナントレンやアントラセンなどの古典ケクレ論では説明しづらい分子の紹介。
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共役だけにかぎらず、一般に実験科学における理論には適用限界があるので、けっして杓子定規(しゃくしじょうぎ)に理論を実用に適用してはならず、実例を把握したうえで吟味する必要がある。
 
 
 
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== ケクレ理論の限界 ==
[[File:Anthracene2.png|thumb|アントラセン]]
[[File:Phenanthrene.png|thumb|フェナントレン]]
 
ベンゼン環どうしが結合した分子を見ると、そのなかに、反応性の高い部分と、低い部分が、ひとつの分子に混在している場合もある。
 
たとえば、アントラセンという分子は、ベンゼン環どうしが3つ直線状に結合した形なのに、中央の分子だけが反応しやすい(図の9位と10位)。
 
また、フェナントレンという分子は、まがりかどの部分が(図の9位と10位)、反応しやすい。
 
 
このように、高校で習うような、古典的に解釈した場合のケクレの理論だけでは、説明しづらい現実の現象も、いろいろと知られている。
 
 
このため、学者の中には、不安定な環には、「ベンゼン環どうしの結合の化合物の構造式で、機械的に環の内部には「〇」を書かないようにすべきである」という主張をしている者もおり、安定な環にだけ「〇」を環内部に書くようにすべきである、というような主張をする学者(たとえばスコットランドの化学者 E.クラール など)もいる。(※参考文献 [http://www.takeda-foundation.jp/cafe/cafe_RepView.html?pmt=cafe_201201_pmt.html 細矢 治夫『化学 × 数学 「ベンゼンの亀の甲をあばく」』] )