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失業率
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農産物に限らなければ、下限価格規制は、消費者に不要なオーバースペックなサービスや過剰品質の商品につながり、消費者の不利益につながるとクルーグマンなどは説明している。
 
 
 
=== 失業 ===
==== 摩擦失業と構造的失業 ====
よく「失業」が経済問題にされるが、転職のさいにも数週間~数か月ていどの一時的な失業の発生する場合があるから、不況対策などの問題を語るときには、このような短期間の失業は除外する必要があるだろう。
 
(転職などに伴うとされる)数週間~数か月ていど(高々3か月ていど)といった比較的に短期の失業のことを摩擦失業という。
 
 
さて、失業の発生原因とは、単純に言うと、その職につきたい希望者の人数が、現行賃金のもとで雇用者側が必要としている人数よりも多いから、発生するわけだ(細かい例外はあるだろうが、ひとまず除外する)。
 
で、このような場合の失業は、通常は短期ではないと考えられており、構造的失業といわれる。
 
 
構造的失業の例としてよく言われる例は、IT産業など新産業の急激に変化した時代などでは、
直前までの時代には土建業などの比較的に古い産業の希望者が多く、それら古い産業の需要が減って、
 
しかし、解雇された労働者には新しいIT産業などの能力がないために失業が長期化する、といった例がある(たとえばスティグリッツがそう言っている)。
 
==== 自然失業率 ====
「自然失業率」という言葉があるが、じつは定義が何通りかに分かれている。
 
(wikibooks追記: )どうやら「自然失業率」という呼び名に反して、あまり自然ではなさそうな失業率であるので、この用語を見聞きした際には注意が必要だろう。
 
 
市場経済の国なら、どんなに景気のいい時代でも、かならずといっていいほど、少数の割合だが失業者がいるとされるので(だいたい数%ていど)、自然失業率と呼ばれるようになった。(主にフリードマンが提唱した。なお、フルードマン以前は、インフレによって失業率を減らせるという理論(フィリップス曲線)があったので、このフィリップス曲線に対する反対意見・批判・修正でもある。)
 
 
このように、景気にかかわらず一定割合でいる失業者によって発生する失業率失業率のことを自然失業率という場合がある。
 
ただし、この自然失業率の算出方法に、あまり客観性がなさそうである(学者によって、定義の説明が違う)。
 
「自然失業率」として算出された数値が、ほんとうに自然なものか、吟味する必要がある。
 
===== 定義1 =====
たとえば、クルーグマンは、構造的失業と摩擦失業の合計値が、自然失業だと説明している。
 
===== 定義2 =====
いっぽう、スティグリッツは、(wikibooks追記: 好景気の場合で)実際の失業率はやや周期的に波上に上限に変動するので、
それを一定期間の平均的な高さの曲線でならしたものが自然失業だと言っている。
 
なお、この平均曲線の失業率と、実際の失業率とのズレのぶんを、循環的失業(率)などという。