「経済学基礎」の版間の差分

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完全雇用とか季節的失業とか
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スティグリッツは、循環的失業の増加は低インフレをもたらし、循環的失業の増加は高インフレをもたらす、と述べているが、しかし彼以外のクルーグマンもマンキューも、スティグリッツのような主張は(調べたかぎりでは)していないようである。
 
 
== 「ケインズ政策」のアレコレ ==
よく、アメリカの1940年代のニューディール政策の経済学的根拠として、それまでのアダム=スミス的な古典派経済学では説明が困難なので、1930年代のケインズの新理論をニューディール政策の根拠として挙げる例が多かった。
 
しかし近年の研究の結果、実はニューディール政策よりも前に、1930年代の日本の高橋是清・蔵相の不況対策で、似たような不況対策のための積極的な財政政策がとられていることが、しだいに分かってきた。<ref>福田慎一・照山博司『マクロ経済学・入門』、有斐閣、2016年3月30日 第5版 第1刷、194ページ</ref>。
 
また、2008~2009年ごろのリーマンショックやサブプライムショックなどの対策としても、銀行の救済や公共事業などによる積極財政や金融政策がとられた。
 
このような、不況対策や経済発展などのために政府が積極的に公共事業や融資や民間への資金援助などを行う政策を一般に「ケインズ政策」といい、また、そのような積極財政が不況対策に効果的だと信じる経済思想のことを一般に「ケインズ主義」という。
 
 
リーマンショック対策でケインズ政策がひとます成功したので、近年ではケインズ政策が不況対策として有効だと、多くの経済評論家に指示されている。
 
 
しかし、もしケインズ政策が正しいとしても、そのことと「ケインズ経済学」といわれるものは、別である。
 
 
ケインズは、利子の理論なども考えている。ケインズ政策が有効だという統計があるとしても、それはケインズの利子の理論が有効だという統計にはならない。
 
この、ケインズの利子の理論などと、そのケインズの理論を彼のニューディール政策的な経済思想と結びつけたのが「ケインズ経済学」である。
 
 
高橋是清の業績が知れ渡っていなかったころは、ケインズの利子の理論などが正しいとも思われており、なので経済学生からケインズがのちのニューディール的な政策の価値を予言できたのも、彼の利子の理論が正しいからだろうとナイーブに思われていた。
 
しかし、高橋是清というモデルがあるとすると、話は別であろう。
 
リーマンショックで有効性が実証されたのは、あくまで「ケインズ政策」だけである。
 
なので、もしケインズの利子の理論を学ぶときは、リスクを覚悟して自己責任で学ぼう。
 
 
 
さて、ケインズ政策を実行すると、その国は一般に財政が悪化する。具体的には、国債を増発するようになる。
 
実際、第二次大戦後のアメリカ合衆国はそうなった。
 
なので、歴史的には、ケインズ政策の実行による借金体質の問題点をなくすために、ケインズ政策に代わる新しい経済思想がアメリカやイギリスで必要になり、1980年代にはレーガン大統領のレーガノミクスやサッチャー首相のサッチャリズムのような「新自由主義」(ニュー・リベラリズム)などが必要とされたという背景がある。