「経済学基礎」の版間の差分

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この「資源の希少性」は、よく経済学の教科書で、「経済学の原理」のひとつとして挙げられる、
 
 
=== 「法則」や「原理」とは ===
経済学などの社会科学の教科書では、「〇〇の法則」などの用語がいくつもあります。たとえば、「需要と供給の法則」などです。
 
では、そもそも「法則」 law とは、なんでしょうか?
 
経済学でいう「法則」とは、「現在でも、よくある傾向」のことです。ある程度の多くの国で、ある程度の長期や複数回にわたって、よく発生する現象で、今でもよくある現象なら、社会系の学問なら「法則」という場合もあります。
 
なので、「法則」とはいうものの、その法則に当てはまらない例外もあります。
 
たとえば、「需要と供給の法則」の例外のひとつとして「メニューコスト」という概念もあり、生産者側の価格改定には費用が掛かるので価格改定が後回しにされやすいという「メニューコスト」という概念もあります。
 
 
ですが、経済学の「法則」には例外もあるものの、どちらかというと法則どおりの現象のほうが遭遇しやすいだろうという、多数の経済学者の信念のもと、経済学では「法則」という用語が使われています。
 
 
日本語訳でこそ「法則」ですが、英語では law のことであり、法律も法則も英語では law です。
 
経済学の law を物理学などのlaw と同一視する訳をしてるのは、あくまでも日本国内の事情です。
 
 
とはいえ、日本やアメリカなどの中学生むけや高校生むけの教材や、市販の経済学入門書では、あたかも経済学の「法則」が、まるで物理学などの「法則」にすら並び立つような普遍性があるかのように説明しているものもあるかもしれませんが、
 
しかし、それはあくまでも比喩または誇張であり、おそらく中高生に社会科をサボらずに学習させるためのハッタリのようなものですので、真に受けないようにしましょう。
 
また、もしかしたら教育的な配慮かもしれず、中学生くらいの学習の初期で例外的な事例ばかり教えても混乱するので、あえて例外を説明してない教材もあるかもしれません。
 
 
場合によっては、大学の教科書でもこのような配慮をしますが、あくまで本来は中学生くらいの子供むけの配慮であり、本来なら経済学など社会科学の「法則」は、単なる、「よくある傾向」です。
 
 
おそらくですが、もともとは哲学や神学などの古代からある学問で「法則」lawや「原理」principle などの用語があったのを、
 
物理学などが流用したので、
 
学問の分野ごとに意味の食い違いが起きているのでしょう。
 
 
 
では、経済学でいう「原理」principle とは何でしょうか?
 
文脈や論者にもよりますが、「原理」とは普通の場合、いくつもある「法則」のうち、なかでも基本となる少数の法則のことです。
 
たとえば、「資源の希少性」の原理と、「需要と供給の法則」なら、
 
その因果関係は、おおむね「資源には限りがあるのが前提だからこそ、人々は節約して行動することになるので、よって消費者は注意ぶかく消費し、いっぽうの生産者も生産量には限りがあるので、結果として、『需要と供給の法則』の現象が発生する」のような思考過程になるわけで、原理が他の法則の思考過程の前提になっていることもよくあります。
 
ちなみに「原理」と「原則」はともに英語では principle です。日本語の訳が意訳して気を利かして「原理」と「原則」を分けているだけです。
 
=== 初歩の経理的なお話 ===