「経済学基礎」の版間の差分

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確定申告と減価償却と国民純生産。フローとストックの
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=== フローとストック ===
 
たとえば、現時点で貯金が10億円あって1億円の家に住んでいるけど、就職しておらず給料の収入が0円の人(仮にAさんとする)がいたとします。
 
いっぽう、貯金は1000万円で3000万円の親元の実家に住んでるだけど、会社勤めしてて賃金収入が500万円の人(Bさん)がいたとします。
 
 
AさんとBさんについて、どちらの人が金持ちでしょうか?
 
問題を簡単にするため、AさんもBさんも株投資や不動産投資はしてないとします。
 
 
答えは、論者によって考えは違います。貯金を重視する人もいれば、収入を重視する人もいます。
 
 
経済学や経営学では、貯金や、保有する不動産や保有株式そのものの相場での購入費用などの金銭的価値などを、あわせて「ストック」 stock といます。
 
 
いっぽう、収入や、株の配当益、不動産などを他人に貸したときの賃貸収入などの運用益をあわせて「フロー」 flow といいます。
 
 
複式簿記などの会計の勉強をするときは、簿記では「フロー」と「ストック」という用語こそ使ってないものの、フローとストックを区別することになります。
 
 
さて、経済学の指標にあるGDPやGNPは、フローしか測定していません。
 
経済学では、あまりストックを精度よく測定できないようです。
 
 
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減価償却の基準は(1年ごとに何割減らしていくかとか)省令や法律や業界の制度などによって、あらかじめ決まっているので、経理の際には、その制度に従って経理処理する。
 
 
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なお、GDPやGNPの計算(国民経済計算)では、減価償却費のことを「固定資本減耗」(こていしほん げんもう)という。
 
 
 
 
=== 確定申告と減価償却と国民純生産 ===
日本国の省庁が国民純生産などのネット計算のできる前提として、行政が企業の減価償却の金額を把握しているという前提があります。
 
 
行政が減価償却を把握できる理由のひとつとして、税務署などによる徴税の際に、多くの企業が確定申告で自社の減価償却の金額を税務署などに申告しています。
 
企業も確定申告をしています。大企業でも確定申告をします。
 
 
では、なぜ企業は、わざわざメンドウな減価償却などの計算をするのでしょうか。
 
 
ひとつには、もちろん自社の資産の状況を把握しやすくするためです。
 
もうひとつは、税金の確定申告の際、減価償却などの損失分を計算することで、実は税金が安くなります。
 
 
もちろん、減価償却の計算のルールは、日本の国税庁などの省令や、または経理業界などの制度によって、厳密に定められています。
 
なので、けっして勝手に過大に減価償却の金額を申告することはできませんし、もし企業がそう過大に減価償却を申告したら、税務署によって脱税などの容疑をかけられかねません。
 
そして、どこの大企業も、支払う税金を安くしたいでしょうから、減価償却の申告をするだろうし、かといって脱税の容疑をかけられたくないので過大に申告はしないでしょうから、
 
なので、おおむね減価償却の金額は正確だろうと思われています。
 
 
なお、確定申告には実は2種類あって、
:比較的に簡単に計算できるけど(税の)控除の特典の少ない「白色申告」と、
:事前の申し出が必要でさらに計算方法も厳密で難しいけど控除の特典の多くて、税務署から企業の納税額を少なくしてもらえる「青色申告」があります。
 
大企業などは普通、青色申告で確定申告をしています。
 
 
 
=== フローとストック ===
 
たとえば、現時点で貯金が10億円あって1億円の家に住んでいるけど、就職しておらず給料の収入が0円の人(仮にAさんとする)がいたとします。
 
いっぽう、貯金は1000万円で3000万円の親元の実家に住んでるだけど、会社勤めしてて賃金収入が500万円の人(Bさん)がいたとします。
 
 
AさんとBさんについて、どちらの人が金持ちでしょうか?
 
問題を簡単にするため、AさんもBさんも株投資や不動産投資はしてないとします。
 
 
答えは、論者によって考えは違います。貯金を重視する人もいれば、収入を重視する人もいます。
 
 
経済学や経営学では、貯金や、保有する不動産や保有株式そのものの相場での購入費用などの金銭的価値などを、あわせて「ストック」 stock といます。
 
 
いっぽう、収入や、株の配当益、不動産などを他人に貸したときの賃貸収入などの運用益をあわせて「フロー」 flow といいます。
 
 
複式簿記などの会計の勉強をするときは、簿記では「フロー」と「ストック」という用語こそ使ってないものの、フローとストックを区別することになります。
 
 
さて、経済学の指標にあるGDPやGNPは、フローしか測定していません。
 
経済学では、あまりストックを精度よく測定できないようです。
 
 
 
 
さて、ストックの計算をする場合、
 
過去のある年度から現在までの各年ごとのGDPの累積額をストックとする計算法もあります。
 
 
しかし、国によってストックのスタートラインが違うし、スタートラインのストックは計算不可能なので、信頼性に疑問が残ります。
 
 
 
なお、この累積のGDPの計算には、グロス(粗利の)計算なので、減価償却は考慮されていません。
 
 
資産を測定するなら減価償却を考慮するほうが正確でしょうから、ネット計算で、つまり国民純生産(NNP)の累積額で計算する方式もあります。