「高等学校倫理/近代思想の展開Ⅱ」の版間の差分

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しかし、ルネサンスによってソクラテス以前のギリシャ哲学も見直されるようになると、目的論と対立する方法や自然観が注目されるようになる。特にデモクリトスの原子論は自然現象から目的や神の意志といったものを排除し、それぞれの要素が機械的に運動することによって現象を説明する'''機械論的自然観'''に大きな影響を与えた。
=== 地動説 ===
機械論的自然観は力学と天文学の発達によって確立された。
 
ポーランドの天文学者であった'''コペルニクス'''は、従来の天動説では説明が困難な現象を説明するため、推理と計算を根拠として地球が太陽の周りをまわっているという地動説を提唱した。そして、自ら制作した望遠鏡の観測によって'''ガリレオ=ガリレイ'''は地動説が正しいことを実証した。
 
しかし、近代科学的精神の成立は容易だったわけではない。原子論は、つきつめれば魂や神も原子からなるとすることから神を否定する無神論とみなされた。そして、地球を中心とする宇宙の体系はキリスト教神学と密接に結びついていたため、地動説は天文学だけでなく、思想のあり方も世界観も変革を求められたのである。当然にも、この動きは教会の聖職者たちから激しい非難が加えられ、ときには厳しい弾圧を受けた。例えば、コペルニクスの影響を受けて地動説を支持したジョルダーノ=ブルーノは異端との判決を受けて処刑された。
 
ガリレイは1633年に宗教裁判にかけられて地動説を撤回させられた。そののちに「それでも地球は回っている」と言ったとされている。これは後世の創作とされているが、彼の科学的信念をあらわすものとして有名である。もはや宗教の権威をもってしても、科学的真理を否定することはできない。このことを象徴したのが「それでも地球は回っている」という言葉なのである。
 
事実、科学的探究はその後も歩みをとどめることはなかった。'''ニュートン'''によって万有引力の法則が発見され、天体の運動も地上の物体の運動も統一的に説明できる古典力学が確立したことは、この時代の探究の精華であるとともに新たな世界観の基礎となっていく。
 
===経験論と合理論===