「学習方法/高校日本史」の版間の差分

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== センター日本史暗記問題じめに ==
高校の日本史は、小学校・中学校の歴史で習ったことと重なる部分が多い。しかし、一つ一つの出来事について覚えることが一気に増えるため、ボリュームに圧倒されがちである。
センター試験では、年代順を問う問題や、正誤判定を行う問題が、出題されやすい。年代はおおむね20年〜50年単位の近い時代のできごとが、3つか4つか選択肢に並んでおり、その出来事について、その順序を4択問題などで問う。このため年号を、結局、覚えなければならない(ただし、10年単位で良い)。高校教師などのいう「センター試験は良問」というのは、こと日本史に限れば、ウソである。
 
例えば、平安時代の政治について考えてみよう。中学校までならば、「平安時代に入ると、藤原氏の勢力が増していった。藤原氏は娘を天皇の后とし、その娘が産んだ子が次の天皇になると、天皇の祖父として幼い頃は摂政、成長すると関白となり、政治の実権を握った。こうした政治は摂関政治とよばれ、藤原道長・頼道のころに最盛期となる」という理解でよかった(これでも歴史が苦手な生徒にとってはうんざりかもしれないが……)。
よく、「私大の入試は悪問! センターの入試は良問!」などとホザく人がネット掲示板などに表れるが、ウソなので、鵜呑みにしないように注意。「センター日本史は悪問! 難関大学の日本史のマニアックな出題は、更なる悪問!」というのが真相だろう。
 
しかし、高校では「藤原冬嗣が嵯峨天皇の信頼を得て皇室と姻戚関係を結んだことをきっかけとし、息子の藤原良房が初めて皇族以外で摂政となる。そして、良房は承和の変で橘逸勢を、応天門の変で伴善男を失脚させて権力を固めた。良房の養子であった藤原基経がはじめて関白に就任する。その後も菅原道真や源高明を失脚させて多氏の排斥を完成させ、摂関は常置され藤原氏の長である藤氏長者が政治の頂点に立つようになった。しかし、今度は藤原氏内部で氏の長者をめぐる争いが起きる。その争いをせいしたのが藤原道長であり、内覧・摂政・太政大臣と位を上げ、三人の娘を皇后とした」といった具合(これでもかなり端折っている)となり、中学までは歴史が苦手ではなかった生徒も悲鳴をあげる内容となる。
正誤判定も同様に、やたらと細かいことを問われる場合もある。過去問などで、入試に問われやすいことを重点的に、勉強しよう。すべてを覚えるのは時間的に無理なので(すべて覚えようとすれば、数十年は掛かるだろう。一生、無理かも。)、過去問を活用しよう。
 
このように、ボリューム満点の高校日本史を効率よく学習するための方法について説明する。
「理屈と膏薬は、なんにでも着く」と言うコトワザがあるように、どんなセンター日本史の難問でも、参考書などで「このように理屈を考えれば、暗記しなくても分かる!」みたいな解説が付けられてしまう。しかし、実際には、いろいろと覚えないと解けないので、鵜呑みにしないように。
 
== 歴史の流れをおさえよう ==
== 出題頻度の低い分野 ==
=== 人物伝 ===
小学生むけの歴史書とかで、源頼朝とか織田信長とかの偉人伝の本が書店などにはありますが、一般にそれらの内容は大学入試には出ません。つまり、織田信長の家臣の名前と業績とか知らなくても、名門大学の文学部とかに合格できます。
 
前田利家とか、たぶん出ません。織田信忠とか、まず入試に出ません。織田の家臣ですら、入試に出ないんですから、まして徳川や上杉や武田の家臣なんて、さらに出ず、北条や毛利の家臣はもっと出ず、姉小路なんて家臣どころか大名の名前すら知られてないかもしれません。
 
忍者で有名な服部半蔵は徳川の家臣、とか知らなくても、名門大学の文学部に合格できます。合格したその人が、そのまま大学を卒業して、うまく官公庁や大企業などの大組織に就職して出世すれば、そういう人が、その大組織で権力を持ちます。
 
戦国時代だけに関わらず、近現代史の太平洋戦争でも山本五十六とか知らなくても、大学入試に合格できそうですし。戦艦大和とか知らなくても、入試に合格できそうだし。
 
まあ、世界史でも、三国志とかが似たような状況ですし。劉備は出ても、関羽も張飛も出てこないわけですし。国語科目だって、里見八犬伝を知らなくても源氏物語とかを知ってればいいわけですし、漢文も孫子の兵法を知らなくても老子を知ってればいんだし。
 
つまり、大学入試の「日本史」科目では、日本史の通史ばっかりが問われます。世界史の通史は問われません。中学で習った範囲での世界史の知識ですら、「日本史」大学入試では、ろくに問われません。そして、中学の日本史では習わない用語の知識などが、大学入試では出ます。
 
:・通史やその用語の知識を入試で問う ← まあ分かる
:・伝記や偉人伝の知識がまったく問われない ← はあ?
 
というわけです。
 
 
=== 史料問題 ===
市販の参考書では、古文書などを現代仮名づかいで表記した、史料集が市販されている。また、検定教科書にも、そのような史料の一文が紹介されている。しかし、史料の具体的な文章は、入試では出題されづらい傾向がある。実際にセンター試験の日本史の過去問を見ても、史料問題は数が少ない。
 
また、たとえ入試に出題されても、細かく語句の意味を問うことはない。せいぜい、「この史料は、何について記述しているかを次の選択肢の中から選べ」的な問題が出るくらいである。
 
このような出題になる理由は、古文書などの史料を読み解くには、[[w:史料批判|史料批判]]という分析方法が必要だからだ。しかし、史料批判には専門的な知識が必要であり、一般的な高校で実施される教育([[w:普通教育|普通教育]])の片手間でできるものではない。そのため、入試では「日本国民の一般常識」の範囲内で読める程度の史料しか扱えない。
 
だから、史料集は、一通りの通読をするぐらいで充分だろう。その上で、各大学の出題傾向や赤本・予備校の分析をもとに取り組めばよい。
 
=== 神話 ===
歴史とは関係のない神話が出ることはない。もちろん、日本神話が書かれている『古事記』の書物名じたいは、日本最古の歴史書であり、その研究も盛んであることから、当然高校生であれば覚えておかねばならないし、入試で出題の可能性がある。世界史のほうでも、西洋の神話の書物などの名前(聖書やギルガメッシュ叙事詩やアヴェスターなど)は検定教科書にも出ている。しかし、あくまで書物の名前と教科書や用語集で説明されている程度の簡単な内容を知っておくだけで十分である。
 
(このようなことを一々書く必要はないのだが、少し補足する。『古事記』などの神話的な出来事を史実だと思いこんでいる、戦前からの亡霊のような人間が現代にも一定程度いる。そうした人々の中には社会的影響力を持っている人もおり、「神話を歴史の一部としてもっと教えるべきだ」と教育内容にも口出しをすることもある。だが、こうした意見に惑わされてはならない。そのため、蛇足だが説明しておくのである)
 
== 教科書の傾向と対策 ==
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== 小中学で習った用語の暗記には、深入りすべきではないことについて ==
=== 人物伝 ===
大学入試では、小学校と中学校で習った用語も平気で出題されますが、しかし、それら小中レベルの用語の復習・暗記ばかりに学習時間を使ってしまうと、高校で習う新規の話題の学習時間が不足します。
小学生むけの歴史書とかで、源頼朝とか織田信長とかの偉人伝の本が書店などにはありますが、一般にそれらの内容は大学入試には出ません。つまり、織田信長の家臣の名前と業績とか知らなくても、名門大学の文学部とかに合格できます。
 
前田利家とか、たぶん出ません。織田信忠とか、まず入試に出ません。織田の家臣ですら、入試に出ないんですから、まして徳川や上杉や武田の家臣なんて、さらに出ず、北条や毛利の家臣はもっと出ず、姉小路なんて家臣どころか大名の名前すら知られてないかもしれません。
たとえば、「源頼朝」(みなもとのよりとも)も「義経」(よしつね)も、大学入試には出題されますが、しかし高校生の勉強では、源義仲(よしなか)などの、高校で新しく習う人物を中心に勉強したほうが良い、と思います。
 
忍者で有名な服部半蔵は徳川の家臣、とか知らなくても、名門大学の文学部に合格できます。合格したその人が、そのまま大学を卒業して、うまく官公庁や大企業などの大組織に就職して出世すれば、そういう人が、その大組織で権力を持ちます。
なので、小中で習った用語を、あまり覚えていなくても、どんどんと高校レベルの内容の学習をしましょう。
 
戦国時代だけに関わらず、近現代史の太平洋戦争でも山本五十六とか知らなくても、大学入試に合格できそうですし。戦艦大和とか知らなくても、入試に合格できそうだし。
 
まあ、世界史でも、三国志とかが似たような状況ですし。劉備は出ても、関羽も張飛も出てこないわけですし。国語科目だって、里見八犬伝を知らなくても源氏物語とかを知ってればいいわけですし、漢文も孫子の兵法を知らなくても老子を知ってればいんだし。
このため、東京書籍などの うすめの教科書よりも、山川出版や実教出版などの 厚めの教科書を読んだほうが、復習に振り返る時間が減るので、効率的だと思います。
 
つまり、大学入試の「日本史」科目では、日本史の通史ばっかりが問われます。世界史の通史は問われません。中学で習った範囲での世界史の知識ですら、「日本史」大学入試では、ろくに問われません。そして、中学の日本史では習わない用語の知識などが、大学入試では出ます。
 
:・通史やその用語の知識を入試で問う ← まあ分かる
:・伝記や偉人伝の知識がまったく問われない ← はあ?
 
というわけです。
 
 
=== 史料問題 ===
市販の参考書では、古文書などを現代仮名づかいで表記した、史料集が市販されている。また、検定教科書にも、そのような史料の一文が紹介されている。しかし、史料の具体的な文章は、入試では出題されづらい傾向がある。実際にセンター試験の日本史の過去問を見ても、史料問題は数が少ない。
 
また、たとえ入試に出題されても、細かく語句の意味を問うことはない。せいぜい、「この史料は、何について記述しているかを次の選択肢の中から選べ」的な問題が出るくらいである。
 
このような出題になる理由は、古文書などの史料を読み解くには、[[w:史料批判|史料批判]]という分析方法が必要だからだ。しかし、史料批判には専門的な知識が必要であり、一般的な高校で実施される教育([[w:普通教育|普通教育]])の片手間でできるものではない。そのため、入試では「日本国民の一般常識」の範囲内で読める程度の史料しか扱えない。
 
だから、史料集は、一通りの通読をするぐらいで充分だろう。その上で、各大学の出題傾向や赤本・予備校の分析をもとに取り組めばよい。
 
=== 神話 ===
歴史とは関係のない神話が出ることはない。もちろん、日本神話が書かれている『古事記』の書物名じたいは、日本最古の歴史書であり、その研究も盛んであることから、当然高校生であれば覚えておかねばならないし、入試で出題の可能性がある。世界史のほうでも、西洋の神話の書物などの名前(聖書やギルガメッシュ叙事詩やアヴェスターなど)は検定教科書にも出ている。しかし、あくまで書物の名前と教科書や用語集で説明されている程度の簡単な内容を知っておくだけで十分である。
 
(このようなことを一々書く必要はないのだが、少し補足する。『古事記』などの神話的な出来事を史実だと思いこんでいる、戦前からの亡霊のような人間が現代にも一定程度いる。そうした人々の中には社会的影響力を持っている人もおり、「神話を歴史の一部としてもっと教えるべきだ」と教育内容にも口出しをすることもある。だが、こうした意見に惑わされてはならない。そのため、蛇足だが説明しておくのである)